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「長い眠りから覚めた兵庫県龍野城下町。重伝建地区登録までの物語」

ハロリノ編集部

こんにちは!兵庫県たつの市の城下町エリアで、「百年前の先人たちと百年後の担い手に喜んでもらえるまちづくり」を目指して活動しているNPO法人ひとまちあーとの木元です!2019年12月、兵庫県の龍野は国の重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)に選定されました。今回は「播磨の小京都」と称される、この美しい城下町を未来に残そうと努力した地域の先輩方の物語を紹介します。

「ふるさとを守りたい」。地域住民の熱意と行動力

緑豊かな鶏籠山(けいろうざん)のふもと、清らかに流れる揖保川の西側に位置するこのエリアは、16世紀末までに龍野城下町が形成され、江戸時代には西播磨の経済の中心地として大いに栄えた歴史があります。城下には「うすくちしょうゆ」発祥の醬油蔵が立ち並び、恵みをもたらす揖保川水系には小麦・木材・醬油などを運ぶ高瀬舟が往来するなど、多様な文化と人が行き交いながら歴史を刻み、文化を伝え、経済が循環し発展していきました。

時代とともに人やモノの流れは海や川から鉄道や自動車へと変化。昭和の高度経済成長のなかで発展の中心は揖保川の東側へと移り、まちのにぎわいは消え、城下町は長い眠りに入ります。学生は都会へ流出し、働き世代は京阪神エリアへ電車通勤し、龍野地域全体の活動人口が減少の一途をたどりました。

そんな龍野地区に現在まで歴史的町並みが残っているのは、約半世紀に及ぶ旧城下町全域での町並み保存・整備の様々な取り組みの成果だといえます。高度経済成長期が終わるころから、全国各地で町並み保存・再生運動の取り組みが活発となり、龍野旧城下町の町並みも市内外から関心を持たれて、昭和47年に「城下町龍野を守る会」が発足するなど、町並みは後世に引き継ぐべき貴重な歴史文化遺産と認識されるようになったそうです。

地元の郷士史家や企業家などによる町並み保全に向けた地道な取り組みにはじまり、龍野の町並みについての書籍が詩人や新建築家技術者集団兵庫支部によって出版されたり、日本建築学会近畿支部が町並み保全のための調査及び市民の理解と協力を得るための啓発の必要性を市に提起するなど、様々な学術的調査が行われそれをまとめた文献が発表されていったのでした。それにもかかわらず、そのタイミングでは地元合意には至らなかったそうです。

しかしながら、その後もこれらの活動は「伝建研究会」そして、「まちづくり協議会伝建部会」の手によって地道に継続され、2018年に自治会長を中心とした方々が地区内の一軒一軒を回り、地域住民への丁寧な説明と説得を行ったことで、9割の同意を得ることが出来ました。これによって行政が必要な手続きを積み重ね、ついに2019年12月、文化庁から商家町・醸造町の区分で全国120番目に重伝建地区に選定されたのです。

重伝建地区選定を目指して新しく始まった地域の取組

重伝建選定に向けたプロセスとして、直接的な関係はないにしろ、重要な取り組みだったのが、住民による町全体を活用した地域イベントでした。かつての城下のにぎわいを知る昭和初期から高度経済成長期までに生まれた50~80代の先輩方を中心に「町並みを守りたい」「地域を元気にしたい」という一心で同時多発的にさまざまな活動が今から約20年前に動きはじめます。

2003年から始まったのは、秋の紅葉の時期に住民の手作りで繰り広げられる住みびらきイベント「オータムフェスティバルin龍野(以下、オータム)」です。「重伝建の呼び水に」を合言葉に眠っていた空き家や住居の一角を公開してスタートしましたが、2019年時点で150カ所近い会場で300近い催しが集まり、年々訪れる人が増えて、三日間の会期中に約7万人を動員するイベントに育ちました。
また、第1回オータムから派生し生まれたのが「町ぢゅう美術館」です。オータム同様町を活用しながら地元の高校生が3日間の作品展示を通じ地域交流をしています。
さらに、2010年から空き家を活用し国内外の現代アート作品を展示してきた「龍野アートPJ」は、今年ひとまちあーとへと事務局が引き継がれて、新たに「たつのアートシーン」として運営が始まっています。

めざすのは「生きた城下町博物館」

ひとまちあーと代表の畑本は2007年、和太鼓奏者として龍野のイベントにかかわっていました。のちに、まちづくりにかかわることになり、何十年も前から龍野のまちなみ保存に携わっている先輩方からさまざまな助言をいただきました。なかでも特に心に残っている言葉があるそうです。

「真の町並み保存とは、単に建物を修築するだけではなく、風土・風習・文化を継承することである。その結果こそが、本来の意味での町並みの継承なのだ。」。

この話を聞いて、なぜ龍野の町並みは美しいのか、そしてそれを守るためには何をすべきかが、腹に落ちたそうです。建物を保存するだけではなく、そこに生きる人々の暮らしと、文化を伝えてゆくことが大切なのだと。
ひとまちあーとは、“生きた城下町”であり続けるためにできることを、さまざまな人とともに学び続ける試みを続けています。
そのひとつが「ムカシミライ学校」です。地域の先人のお話を聞く会をひらき、町の風習を知り、先人が何を大切にして暮らしていたのかを学び取ることを大切にしています。空き家の再生と活用の前には必ず、この会でその場所にどんな人が暮らし、何を伝えてきたのかを学ぶようにしています。

もうひとつの試みは「はりまのこ」活動です。未来の子どもたちへ地域の風土、風習、文化を伝える教育をめざし、幼いころから播磨地域の豊かさを体感して、将来播磨を支える担い手へと育っていくことを期待しています。
どの地域デザイン事業においても「ひと」と「まち」のつながりを第一に、ひとまちあーとと緑葉社を中心に地域の文化や習慣が途絶えないよう、持続し、継続し、豊かな循環を生み出せるように、一緒になって考え実践していくことを大切にしています。

これからの龍野の未来を一緒につくっていきませんか

重伝建地に選定されて観光地としての龍野の知名度が上がると、地域経済が循環し、自立した町へと成長するメリットがあります。一方で住民の静かな暮らしが損なわれることが懸念されます。私たちが「まちごとホテルプロジェクト」を進めるうえで大切に考えているのは、今回お伝えした物語と、受け継いだバトンをどう未来につないでゆくかという課題です。龍野の美しい町並みは、日本人の誰もが心に描くふるさとの原風景だと思っています。

私たちはいま、投資型クラウドファンディングで城下町の中心地にある古民家再生のための資金を募集しています。この取り組みにぜひ投資家として参加いただき、あなたの新しいふるさとを見つけてください。

暮らしと出会う宿―龍野まちごとホテルプロジェクト
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