これからの仕事場のあり方を考える、目黒ビルプロジェクト
こんにちは。ハロリノの松島です。
目黒駅から徒歩で約3分。見逃してしまいそうな小さな小さなビル。どこにでもありそうな「雑居ビル」ともいうべきこのビルを、これからの仕事場にするプロジェクトが進んでいます。次世代まちづくりスクールの教授、内山氏+福田(エンジョイワークス)の共同プロジェクトでもあるこの事業、2021年1月から始まる公開講座で参加できる実践の場にもなります。そんな目黒ビルプロジェクトをご紹介します。
6フロアもあって、100㎡
昨年1月、年明け早々にこの目黒ビルに出会いました。正確にいうと、出会わず一旦通り過ぎたのですが(笑)、再開発された大きなビルの敷地の中に、換気塔か?と思うような小さな佇まいで残されていました。ある意味、とてもまちに馴染んでいるともいえます。
中に入ると、想像通りの小さなフロアが、これまたコンパクトな階段室でつながっていました。一つひとつ登っていくと、2階、3階、4階、屋上に出られる5階、その屋上からさらに登ってもう1段上の屋上。それぞれの階も倉庫になっていたり、事務所になっていったり、和室があったり、住居になっていたり、ペントハウスに浴室!があったりと、バラエティに富んでいます。これだけで終わらず、ふたたび下階へ降りていくと「あれ?出口がない……」。小さな階段室に気を取られ、いつのまにか1階を通り越していて、地下空間に。外からは分かりにくいけど、小さなビルなのに、六つもフロアがあって、地下空間もある。やぐら?塔?のような構造になっていました。
しかし、このそれぞれワンルームマンションくらいのコンパクトでシンプルな空間と、何十年もここに佇んできた馴染みやすく変哲のない外観が、ヒューマンスケールな居場所にできそうだと直感的に思ったのでした。
このビルを守っていく
このビルのオーナーは目黒の町会や商店街振興会などの理事をされており、あの「目黒のさんま祭り」実行委員でもあります。ローカルな目黒とともにこの建物を守られてきたのです。改めてこのビルを再生、投資していくにあたって、「まちにとっても開かれていて、目黒の人にも立ち寄ってもらえるような、そんな場所にしていきたい」との想いを直接うかがいました。再開発でもこのビルを守ってきた所以を知り、どう利活用していくことが必要なのかを考えるきっかけになる。貴重な時間となりました。
新しい仕事場のプロトタイプに
この想いをつなぎつつ、持続可能な事業をつくる。立地条件や周辺環境、建物の大きさや法的側面、そして事業性を考えた結果、意外に答えはシンプルで、「仕事場(シェアオフィス)」をつくることになりました。
では、どんな仕事場なのか。都心のオフィスに通うという日常が、加速度的に大きく変わった2020年、大きなフロアで一緒に働く環境から、それぞれがリモートワークする環境へと変わっていきました。満員電車での通勤が減り、自宅で過ごす時間が増え、家族とのコミュニケーションの時間も増える。企業側は、広いオフィスをもつ必要がなくなり、施設費や交通費などの固定費も減らすことができる。この流れは変わらないでしょう。一方で「オンラインのみのコミュニケートが不安」「自宅では集中できない」という問題も。
良い面と問題点を解決する仕組みが「分散型」の仕事場ではないかと。家に近い場所にあり、仕事に集中できる空間。オンラインMTGも集中でき、ときにはチームでリアルに集まれる。そんなことができる仕事場が、いろんなまちにできてつながっていく。そんな仕事場のプロトタイプを、このプロジェクトでは目指していきます。
このようなビルは、日本のまちの商店街に無数にあります。小さくてもできる分散型の仕事場を地域のみなさんと企業と創っていくことができれば、空きビル問題の解決策にすることができるのではないか、そんなヴィジョンで進めています。
このようなビルは、日本のまちの商店街に無数にあります。小さくてもできる分散型の仕事場を地域のみなさんと企業と創っていくことができれば、空きビル問題の解決策にすることができるのではないか、そんなヴィジョンで進めています。
地域とつながる仕掛け
もうひとつ。「分散型=仕事場」が家の近くになる、と捉えています。つまり、自分たちが暮らしているまちの中に、仕事場ができる。地域にいる時間が長くなり、仕事場のコミュニティと地域のコミュニティが交わるような、そんな仕事場と暮らしが混ざり合う場所になっていくのではないでしょうか。そのための仕掛けを、目黒ビルも検討しています。小さなフロアですが、まちとつながる接点としての1階に、目黒のみなさんが立ち寄りたくなる居場所をつくっていきます。詳しくは、公開講座で!
「新しい仕事場×地域」が、目黒ビルプロジェクトのコンセプトなのです。
目黒ビルプロジェクトに参加しましょう
目黒ビルは、2021年初めから絶賛工事中。リノベーションの空間デザインは、このまちに馴染んでいる佇まいを大きく変更せず、まちとつながる1階のスペースが立ち寄りやすくなるような小さな仕掛けのみ。このケーススタディをみなさんと共有しながら「これからの仕事場」を考えていきましょう。公開講座第1弾は1月14日の夜です!
1月14日開催の公開講座の詳細はこちら!
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