空き家に使える補助金を一覧で一挙紹介
国土交通省は管理が不十分な空き家の税優遇を見直し、空き家の活用を促す仕組みの検討を始めました。空き家を価値ある資産に変えるためには、解体やリフォーム、リノベーションなどの大規模な工事が必要です。所有する戸建ての借り手が見つからなかったり、アパートの空室が増えたりすれば、所有者であるオーナーに経済的な負担が生じます。所有する資産がムダにならないよう、補助金をうまく利用した空き家再生に取り組んではいかがでしょうか。(最終更新日 : 2024年8月15日)
※最新の情報は自治体などのホームページをご参照ください
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1. 空き家対策に使える補助金とは
全国的に空き家問題が深刻化しています。各地方自治体では、この問題を解決するためにさまざまな補助金制度を設けています。空き家を活用する際に補助金をうまく利用できれば、社会問題の解消に貢献しながら、価値ある資産を所有できるでしょう。
自治体の空き家対策が求められる理由
2015年5月「空き家対策特別措置法」の施行に伴い、国と自治体の連携による空き家対策に向けた取り組みが強化されました。それまでは、自治体ごとの制定した条例に基づいて取り組みがそれぞれ実施されていましたが、少子高齢化により年々増加する空き家を解消していくためには、より大きなアプローチが必要となったのです。
自治体が設けている補助金制度は、空き家問題の解決促進を目的としたものです。2023年の「住宅・土地統計調査」(総務省)では、国内の空き家は過去最高となる900万戸に及ぶことが判明しており、2018年のときと比較して51万戸増加し、その割合は全国の住宅の13.8%(前回から0.2ポイント上昇)におよぶと報告されています。空き家数は、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となっています。
中には、相続した土地が正しく登記されないまま放置空き家となっているケースもあります。これまで、所有者が特定できない不動産の問題は、長期化することが問題視されてきました。この問題を解決するために、2024年4月以降からは相続登記の義務化が開始されました。
現在では、一戸建てが中心の空き家問題ですが、将来的にはアパートなどの集合住宅でも同じ問題が発生すると懸念されています。このように、空き家対策は、日本全体で取り組むべき重要な課題となっているのです。
・「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)
( 引用元:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf )
空き家対策で使える補助金は? 3つ紹介
上述したように、今や空き家問題は見過ごせない社会問題に発展してきています。空き家の放置は放火や倒壊などのさまざまなリスクにつながるため、各地方自治体では、空き家解消の促進に向けてさまざまな補助金制度を設けています。支給される補助金は工事の内容によって異なり「空き家の解体・撤去」「空き家の改修」「空き家の取得」といったように区分されているのが一般的です。
空き家を解体・撤去する費用は、依頼する業者や住まいの面積、構造によっても変わってきます。住宅などを解体する際、多くの自治体では市内の施工業者に依頼した場合に限り補助金の対象としているケースが多いようです。この補助金制度には、老朽化した建物を解体して新たな土地利用を促すという狙いがあります。
空き家の改修(リフォーム)工事も補助金の対象です。間取り変更や耐震工事、バリアフリーの導入などを行う際に申請できます。改修の補助金は、最低限の生活水準を確保するための工事に支給されるようになっています。また、空き家を取得した転入者に対して、購入費の一部をサポートする補助金制度を用意している自治体も多くあります。
2. 空き家の「解体・撤去」に対する補助金事例
補助金についてさらに理解を深めるため、工事別にそれぞれの具体的な事例を見てみましょう。自治体が解体費用の一部を補助する目的は、災害危険度の高い老朽化した空き家の除去を促進し、跡地を有効利用するために支援するケースが多くなっています。
茨城県笠間市の空家解体撤去補助金
茨城県笠間市では、空き家の利活用による地域の活性化を目指し「笠間市空家等対策計画」を策定しました。市の条例である「笠間市空家等対策の推進及び空家等の利活用の促進に関する条例」に基づき、周辺環境に悪影響を及ぼす空き家の所有者に対して必要な措置をとるよう指導を行い、今後の管理が困難という判断に至った所有者に対して、建物の解体・撤去を行う際の費用の一部を補助しています。
補助金を受けるためのいくつかの要件を満たせば、建物の解体にかかった費用の1/2の額を50万円まで支給するとしています。詳細な内容については、笠間市公式ホームページを参照してください。
・空家等の適正管理について | 笠間市公式ホームページ
( https://www.city.kasama.lg.jp/page/page004834.html )
滋賀県多賀町の空き家住宅等除却支援
過疎化による空き家の増加が問題となっている滋賀県多賀町では、近隣の景観を損ねたり、倒壊したりする危険がある空き家の解消に向けて、除却工事に対する補助金制度を設けています。
補助の対象となるためには、空き家を除去したあとの土地を10年以上本町に寄与または貸与することと、居住に不適当な不良住宅であると町長が判定したことといった要件を満たす必要があります。また、補助を受ける際には、空き家の所有者または所有者の相続人や委任を受けた人物であると証明しなければなりません。
補助金の交付決定前に除却工事を行った場合や、通常の建替え工事をした際は補助の対象とならないため注意が必要です。補助金の額は、多賀町で決められた算出方法で出された補助基本額に1/2を乗じて得た額以内です。なお、上限額は50万円、1,000円未満は切り捨てとなります。詳細な情報については、多賀町公式ホームページの情報を参照してください。
・多賀町空き家住宅等除却支援事業 | 多賀町役場
( https://www.town.taga.lg.jp/contents_detail.php?frmId=159 )
3. 空き家の「改修」に対する補助金
誰も住んでいない一戸建ての改修工事を自治体が支援するのは、移住・定住の促進による地域の活性化や、地域の魅力向上を目的とする場合が大半です。ここでは、改修工事に対する補助金の事例を見ていきましょう。
高知県香美市の空き家改修補助金
高知県香美市では、空き家対策の取り組みとして、移住者・定住者に空き家を提供する人をサポートするための補助金を交付しています。空き家の所有者または市外に5年以上居住していて、改修工事を行ったあとに10年以上住む見込みのある移住者などが該当します。
他にも、空き家の所有者と移住者の両方が空き家バンクに登録していること、空き家の所有者と相続関係がないこと、賃貸借契約を結んでいる場合には所有者の許可を得ているなどの満たすべき要件は複数あります。補助金の対象となる工事は、耐震工事および設備の改修などです。
家財道具の片付けにかかる運搬費用も支給対象となります。補助金の額は、耐震工事および改築・改修に要する費用の2/3以内で、補助金の限度額は121万6,000円です。家財道具などを処分するための運搬費用は、1/2以内となっており、補助金の限度額は50万円です。詳細な情報に関しては、香美市公式ホームページを参照してください。
・空き家改修補助金 – 香美市公式ホームページ
( https://www.city.kami.lg.jp/site/akiya/akiyahojo.html )
福岡県久留米市の空き家活用リフォーム助成事業
福岡県久留米市では、良好な住環境の確保を目的として空き家活用のためのリフォームを推進しています。空き家活用の促進を目指して、要件を満たした工事には補助金が支給されます。久留米市内の戸建てで1年以上居住していない全ての空き家が対象です。自らが住む目的でリフォーム工事を行う所有者が対象となっています。
なお、3親等以内の親族が居住する場合、新たに居住する人または居住して3ヵ月以内の所有者が工事を行う場合、売買契約が成立したのちに前の所有者がリフォーム工事を行うケースなども対象となります。対象となる工事にかかる費用が10万円以上になる場合に申請が可能となっており、補助金の額は対象工事費の50%に相当する額、上限金額は30万円で1,000円未満は切り捨てです。
募集にはスケジュールがあり、受付ごとの戸数は限られています。交付の決定を受けた日以降に着工した工事のみが対象です。詳細な情報や募集スケジュールについては、久留米市公式ホームページを参照してください。
・久留米市:空き家活用リフォーム助成事業補助金
( https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1050kurashi/2080juutaku/3100akiya/2018-0416-1008-96.html )
4. 空き家の「取得」に対する補助金
主にU・Iターン世帯を対象として、空き家の循環利用促進を目的としているのが空き家の取得に対する補助金です。各自治体の取り組みの内容はどのようになっているのでしょうか。
福島県会津美里町の住宅取得支援事業補助金
福島県会津美里町では、移住者を対象に取得費の一部を補助しています。補助金の支給を受けるには、住宅取得の契約を結んだ日以前の1年間、本町に住民登録のない人が対象となっています。また、補助金を受給してからは、3年間以上継続して対象の住宅に住まなければなりません。
補助金の額は、対象となる住宅を取得するために要した費用の1/2内となっており、最大70万円まで受け取れます。この他の要件として、年齢が40歳未満であればプラス10万円、世帯内で町内の事業所に従事した人がいればプラス10万円など、要件を満たすごとに補助金がアップする仕組みになっているのが特徴です。
なお、福島県の定める要件に該当すれば、要件ごとの加算額が2倍になるなど、美里町の空き家バンク促進に向けた取り組みに力を入れていることも窺えます。詳細な情報については、会津美里町公式ホームページを参照してください。
・会津美里町住宅取得支援事業補助金 – 会津美里町役場
( https://www.town.aizumisato.fukushima.jp/soshiki/1006/2/2/1/963.html )
三重県伊賀市の移住促進空き家取得費補助金
三重県伊賀市では、空き家の有効活用と移住の促進を目的にした補助金制度を設けています。市外からの移住者が、空き家の取得にかかった費用の一部を補助しています。補助を受けるためには、転入日から起算して過去3年以内に伊賀市に住民登録がないこと、空き家の取得日から1年以内に申請をした人、補助金を受けたのちに5年の定住を宣誓できる人など、定められた要件をすべて満たさなければなりません。
補助の金額は、土地代金を除いた空き家取得費の1/2以内、上限額は30万円で1,000円未満は切り捨てとなります。また、補助対象者が18歳未満の2親等以内の親族と同居する場合、伊賀市空き家バンク制度に登録している空き家を取得した場合などに該当すれば、それぞれ5万円が加算されます。詳細な要件については、伊賀市公式ホームページの情報を参照してください。
・【伊賀市移住促進空き家取得費補助金】 | 伊賀市
( https://www.city.iga.lg.jp/0000011320.html )
5. 空き家に使える補助金の探し方
移住とあわせて空き家の取得を考えている場合、自治体がどのような補助金制度を設けているのかはチェックしておきたいところです。移住先に補助金制度があるかどうかを探すために、まず地方自治体の公式ホームページに情報の掲載があるかどうかを探してみましょう。補助金制度は、県と市町村のそれぞれに設けられているケースも多くあります。ご紹介した補助金を含め、内容が改正、廃止されることもあるため、最新の情報を確認するようにしてください。
自治体のホームページでうまく情報が見つからない場合には、直接自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。ほかにも「地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト」や「補助金ポータル」といった、全国の補助金情報をまとめたポータルサイトもあります。
地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト
https://www.sumaimachi-center-rengoukai.or.jp/shienseido
「地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイトでは、全国の空き家対策の実施施策や事例を検索することができます。掲載されているのは、全国空き家対策推進協議会が実施した二つの調査に各都道府県・市区町村が提供した空き家対策支援制度の情報。12月24日現在で2,144の支援制度が登録されています(そのうち8件は終了)。
<協議会が実施した調査、その対象と実施年>
・空き家対策に係る支援制度等の情報の収集について(全地方公共団体/2017年~2021年度)
・空き家バンクの登録促進に係る事例等の収集について(空き家バンクを運営している全地方公共団体/2017年度)
検索方法は4通りで行うことができます。
(1)地方公共団体……「全地方公共団体」「地方」「都道府県」から選択
(2)支援対象区分……「空き家の除却」「空き家の利活用」「空き家の取得」「空き家バンク関連」「その他」から選択
(3)人口別……「都道府県」のほか、「500,000人以上」から「7,999人以下」までの5段階から選択
(4)キーワードを入力する
たとえば「東京都」で検索すると、27市区町村の67支援制度の結果が表示されます。最新の制度がすぐに反映されるわけではなく、中には終了した制度が残っていることもあります。それでもこの膨大なデータベースは、新しい暮らし方や新しい空き家再生の可能性を広げてくれることでしょう。もう少し具体的な検索方法を見ていきます。
お試し移住を検討している人は、イメージする暮らしでリサーチ方法も変わってきます。都心と小さな町や村での二拠点生活を検討している人は「人口7,999人以下の空き家を利活用する支援制度や空き家バンクを調べたい」といった調べ方ができます。また、古民家への移住を検討している人はキーワード検索で「古民家」と入力することで、全国の古民家再生に関する補助金情報を得ることができるでしょう。都道府県だけ決まっている人は「人口別」検索の都道府県や「地方公共団体」検索で対象のエリアを選んでください。
一方、所有する物件の補助金を知りたいときは、都道府県の制度と、地方公共団体の制度で調べ方が異なります。「人口別」検索で「都道府県」を指定すると都道府県の制度のみが表示されます。「地方公共団体」検索で「都道府県」を指定すると、宮城県内の地方公共団体のすべての制度が表示されるのです。
ただしこれらのサイトで、すべての情報が集まるわけではないため、より確実な方法を選択して空き家を有効活用する方法を見つけましょう。空き家の扱いに困っている場合は、補助金の活用を検討しましょう。処分だけでなく、資産としてリノベーションするなど選択肢も広がります。
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空き家をそのまま放置してしまうと、さまざまなリスクが生じます。現在では、自治体ごとに空き家の利活用を目的としたさまざまな補助金制度が設けられており、空き家活用の選択肢も幅広くなっています。
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・記事中の写真は「泊まれる蔵PROJECT – The Bath & Bed Hayama –」より
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