2021.10.24
【専門課程レポート】長嶋研究室に学ぶ、持続可能な理想のまちづくりとは?|「長嶋研究室」第2期
こんにちは!新米プロデューサーの上野です!
第1期・第2期で総勢16名のゼミ生が参加する長嶋ゼミの様子を一部お届けします。
長嶋ゼミでは、不動産・建築・リフォーム・行政・広報・海外事例に至るまで多面的な学びが多く、まちづくり活動をしていくにあたり知っておいた方がいい前提知識を得ることができます。
ゼミ開始一言目…
長嶋さん「画面が暗く映る・・・」
大西さん「性格が暗いからじゃないですか?」
という、YouTubeでもお馴染みのお二人の掛け合いで和やかに始まりました!
第2回ゼミのテーマは、「不動産の評価方法ー現状と課題・新手法」
空き家の活用をするときにも、一カ所だけ散発的に考えるのではなく、町全体の状態を見ながら自治体や金融機関を巻き込んで行くことが最善と長嶋さんは言います。
不動産の評価方法を、都市(街)・自治体、建物それぞれからの視点で学んでいきます。
今回はさくら事務所でホームインスペクターの友田雄俊さんがスペシャルゲスト!
現場に精通する、長嶋さん、大西さん、友田さん3名のプロフェッショナルから、空き家活用をするまちづくりプレーヤー・自治体・金融機関の3者が連携して行っていくことの重要性について学びました。
<都市(街)、自治体視点から見る現状と課題>
まず、高齢化社会が進み、自治体の行政コスト、一人当たりかかる税金が上がっています。
その理由は大きく2つあります
①団塊世代が多く、若い人が少ないと行政サービスが多くなりますが、税金を払う人口が少ないため。
②高度経済成長期に増設したインフラの老朽化が進み、再整備の費用に、税金を使わざるをえないため。
<これからの自治体の課題>
高齢化社会が進み、人口が減少していく前提で、自治体の税収が少なく予算に足りなくなる場合、多くの自治体では積立金(=財政調整基金)を取り崩さなければなりません。積立金が枯渇し賄いきれなくなる自治体が増えていくことが懸念されます。
・人口が増え続ける流山市の事例
人口が減少傾向にあることが多いベッドタウン。 しかし、アメリカでコンサルティングとしての経歴をもつ井崎義治氏が市長に就任してから流山市の人口は増え続けています。 例えば、都市部から共働き世代を誘致するための施策として、2017年より1日100円で利用できる送迎保育ステーションを設置する等の子育て支援事業を始めました。
流山市のPR・広報に力を入れる等の取り組みにより働く人も、税収も増えています。
<海外に学ぶ持続可能な自治体の取り組み>
・欧米での一般的な税収の上げ方
日本では1万坪の中に家が散らばり、年々暮らす人が減ることで土地のニーズが下がって坪単価は30万円ほどになってしまっている状態です。 しかし欧米では、人口減少することを前提に、街を縮小し人口密度を高めることで、土地のニーズを高め、坪単価は50万円ほどになっています。財政コストがかからない、かつ税収が上がる仕組み作りを行っています。
・地域活性に繋がる再生可能エネルギーの活用
電気を電力会社から買うことが普通とされていますが、それは地域のお金を外に出してしまっているということです。
ドイツ・マウエンハイム村はバイオマス発電や給湯設備などを導入し、省エネと自然エネルギーを組み合わせることで、エネルギーを 100%自給するようになりました。さらに電力を売ることも可能になり外部から収入を得て、雇用の場も生まれ、若者が外に出る必要もなくなりました。このようにエネルギーの地産地消は地域での雇用の場の確保や地域活性化にもつながることが分かっています。
<自治体・金融機関・プレーヤーの3者一体の重要性>
欧米での不動産の評価方法は、自治体のお墨つきを貰い、金融機関が評価し、不動産屋が高く評価するという循環が一般的に成り立っているそう。 この循環が成り立つことで、その地域に資産が置かれ、それを担保評価としてそこから地域内でお金が回るきっかけにつながり、好循環が生まれるといいます。
こうして、空き家再生によるまちづくりは自治体と協力して行うことで成り立ちます。
<築年数を無視した評価方法とは>
新築建物がいいと思う素人な私ですが、そうとは限らないことを学びました。
新築であっても、築20年であっても、実際診断すると建物自体は築40年と同じくらい劣化してしまっている場合があるそうです。
また、木造住宅はメンテナンスをしっかりしていれば100年ほど持つようになっており、改築がしやすいというメリットがあることも知りました。
<不動産の評価方法>
①基礎・構造:コンディションがよければ価値は一定である。
②屋根・外壁:雨漏りは修理・定期点検は必要。修繕をすると価値は元に戻る。
②内装材:経年劣化でもリノベにより価値が上がる。
適切に評価する方法は確立されておらず、国交省ではその建物のコンディションで評価することとしています。
建物を人に例えると、以下ように考えられます。
・基礎・躯体:骨・肉体となる
・内外装・設備:髪の毛・アクセサリーなど
35才で不健康な人よりも60才で筋肉ムキムキな方の方が魅力的に見えるのと同じです。 (とても分かりやすい…!)
住宅を診断する際の現場で起こる予想外な出来事のお話も入れながら、楽しく教えてくださる長嶋さん、大西さんのトークは圧巻でした!
<まち全体で好循環を生み出す>
空き家再生を単体で考えるのではなく、自治体と連携しながら、コニュニティ機能をつくり、地域に帰りたいと思える理由をつくれるかどうかが大事です。
そのために、地域活性のための循環をつくります。まちづくりを行う上で、個別に建物の評価をし、ロジックをつくり自治体の経営も含めて取り組む必要があることを知りました。
講義が終わり、受講生たちと教授のトークは日々の自治体とのやり取りの悩みなどコアな相談に。まちづくり以外にもこれからの情勢・働き方など話は広がりました。
なんと終わったのは22時。もちろんお子さんがいらっしゃる方もいるので強制ではありませんが、ゼミ生が楽しみながら学べる濃厚な時間が長嶋ゼミの魅力です。
<経営とまちづくりの共通点は「共感」で巻き込むこと>
最後に、長嶋さんは仕事もまちづくりも「共感」で巻き込んでいくことが大事とお話しました。
まずは「共感」を生むために、自分が介在する余地があり、それぞれのポジションで役立つことが自覚できることを気づいてもらう。そして、共感する仲間ができるように、成長の機会を提供しながら、事業を一緒につくり、お金を回し、持続可能な環境づくりをしていくべきと。
この次世代まちづくりスクールも、素敵な仲間と講師陣と一緒に学べることのできる環境をより良くし、私も早く即戦力として受講生たちのサポート・運営をより一層していきたいと感じました。
まちづくり以上のことを学べた時間でした。素敵な講義をありがとうございました!
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長嶋研究室は2021年9月で第2期が終了となりますが、今後も長嶋さん、大西さんの一般教養課程の講座を開催予定です。
・受講生限定公開動画「不動産市場はバブルか」
10月配信予定
講師: 長嶋修氏(株式会社さくら事務所創業者・会長 不動産コンサルタント)
・公開特別講座「まちづくりプレイヤーのためのPR基礎講座」
11月~1月開催予定
講師:大西倫加氏(株式会社さくら事務所代表取締役社長・PRコンサルタント)
・受講生限定公開動画「まちづくりプレイヤーに必要な災害リスク基礎知識」
11月配信予定
講師:横山芳春氏(株式会社さくら事務所 だいち災害リスク研究所所長・地盤災害ドクター)
まちスクのご紹介・ご入学はこちらから
https://school.hello-renovation.jp/