2021.09.04
【専門課程レポート】まちづくり・建築×継承を面白がる。|「西田司研究室」第2期
こんにちは!まちスク新米プロデューサーの上野です!
今回は6月25日に行われた西田ゼミの様子の一部をお届けします。
西田ゼミのコンセプトは「〇〇を面白がる」
ゼミ生が気になる「〇〇」を集め、毎回1つずつテーマとして取り上げます。ゼミ生1人1人が事前にテーマに沿った事例を調べ数枚のスライドを用意し紹介し合い、多様な事例をもとにディスカッションも楽しく盛り上がります!
開始時間は金曜日の20時30分。お酒・おつまみ持参もOK。
気楽に参加してほしいとの西田先生の希望もあり、事務局の私も受講生と一緒になって楽しむことができました。
頭の体操をしよう!
大人になると、自分の事業領域だけになりがちで、働き始めると学生のころと比べてコミュニケーションが少なくなりますよね。ゲスト講師も、受講生も、ちょっとだけ「外側+未来志向」で考えることが求められるので、頭の体操にもなり、柔軟にまちづくりや建築、事業のことを学ぶことができます。
6月のテーマは「まちづくり・建築×継承」
6月は特別に、ゲスト講師 永田賢太郎さんにも講義をしていただきました。永田さんは西田さんの大学の後輩でもあり建築士でもあります。
横浜市野毛山エリアと長野県立科町で2拠点生活をし、立科町の地域おこし協力隊としても活動されています。
自身で物件を借り、企画・運営・設計を行い、自身の活動の場を地域拠点化していく活動をライフワークとして展開しています。
人と場所×歴史を大切に、地域の魅力を引き出す
まずは、永田さんが手掛ける「南太田ブランチ」についてお話いただきました。
神奈川県南太田市にある電気資材問屋の事務所ビルの3、4階を改修し、週末住居兼シェアスタジオとして活用を始めた場所です。「ブランチ=分室」という意味をもち、地域に住む多くの人にとっての「自宅以外のもう一つの居場所」として活用されることを期待してつくられました。
昔ながらの床を残しながら、壁の色を決めるなど、もともと住んでいた住民の方のセンスや人間性を残しつつ、それぞれの建築の良さを残るように設計されています。
残すところと踏襲するところ。残すところを際立つように設計しているそうです。
工事が終わり、内覧会・お披露目の時に、地域の周辺で関わってきた人たちに出店してもらうことで地域の関係性を見える化したそうです。
例えば、地域の家具屋さんに家具を入れてもらうことで、その家具屋さんの宣伝にもなる。
ここに来ることで、場所・地域の歴史・エリアの関係性が知ることができる。そんな仕掛けづくりをしています。
受講生同士の「建築・まちづくり×継承」から学び合う
永田さんのお話の後は、受講生が調べてきた事例を発表しました。
内藤さん<建築の継承>
木造住宅の新築設計のお仕事をされている内藤さんが取り上げたのは、地元埼玉県狭山市の伝統である七夕まつりの継承、さらにご自身の師匠からもらった剣道の竹刀を息子さんに受け継ぐ継承、そして、若者に建築の面白さを伝える継承でした。
内藤さんは、通信教育で行う製図試験の問題を提供し、学生の支援を行っており、建築士を育成することで建築の継承に繋げる活動をしています。
さらには、児童館等の教室でコラボして取り組み、建築に興味を持ってもらい、模型やパースを書いてもらう取り組みをしているそうです。
内藤さんの発表に対し永田さんは、建築は専門家だけではなく、誰でも携わっていい開かれたものであり、子供のうちから建築を知る環境を作ることは将来空き家問題解消にも繋がるかもしれないと仰っていました。
藤岡さん<恩返しの継承>
次は、西田ゼミのムードメーカー、藤岡さんの発表。
日ごろの感謝や受けた恩を返すのではなく、次の世代に渡すこと「恩送り(ペイフォワード)」つながる地域のプロジェクトを提案されていました。
そのプロジェクトのキーフレーズは、なんと、「今日ガールズバー行かない?」
変に人に親切にすると、怪しまれるかもしれない。そこで警戒心が解ける魔法の言葉とのことです。
ガールズバーが盛り上がればまちづくりも盛り上がると考える藤岡さん。(※真面目です)
プロジェクトで参加者を募り、市とまちがまずは参加者にに500円を渡す、そしてその参加者が他の誰かに500円分のプレゼントを買うことで「恩返しの循環」ができる。
「プレゼントをする」ことは「相手のことを考え、知る」ことになりますし、次に会ったときに挨拶だけでは終わらない関係性がうまれます。会話が弾み、さらに地域の人を知ることができ、これが何周か続くとコミュニティが生まれるのではないかと考えたそうです。
永田さんは地方で野菜を差し入れしあうことが続き関係性を保っている事例を取り上げ、また、芸人さんの業界で先輩が後輩におごる伝統と同じように、どのコミュニティでも世代を継承していく重要性に触れました。
森山さん<住宅の継承>
不動産業で本業とする森山さんは、日本は既存の住宅を継承されていないことが多いということに着眼しました
アメリカは基本的に中古住宅を買い、子供が生まれると中古住宅から引っ越し、資産を増やして暮らしが豊かになる流れがあるそうです。
逆に、日本はみんな新築を買いたがる人が多いが、実は15年住んでも資産価値は変わらないとのことです。
空き家の一番の問題はずっと同じ人が所有していることだと森山さんは言います。15年くらいのスタンスで他の人に渡すことができれば、その価値を継続するようにできるのではと考えます。
移り住みながらその人のライフスタイルに合わせてリノベーションなどで利活用する流れがあれば価値を上げ続けることができ、恩送りと同じように繰り返し次に渡していくことで空き家のストックが減ることができると提案されていました。
永田さんも自身もいい建築を自分でつくり、付加価値をつけて分配をすることを大切にされているとのことでした。
今回のレポートはゼミの一部分にすぎませんが、毎回みなさんの考える「建築・まちづくり×〇〇」を通して、アツい想いを語り合い、とても盛り上がっています。西田さんがゼミで大切にしていることは、日頃の仕事ではなかなか触れることが少ない「どうでもいい」と思える「ちょっと未来志向なこと」こそ、あえて真面目にディスカッションすることです。
西田さん、永田さんは「やればいいんです!行動しましょう!」と、受講生の背中を押します。受講生たちの沸々と湧き上がるまちづくりへの想い、好きなことを形にしたいと各々の想いを共有しあえて仲間がいることで、士気が高めるつつ先人にも相談ができるコミュニティがつくられています。
▼西田ゼミは2022年1月から第3期がスタート!申込募集中!
詳細:https://hello-renovation.jp/machi-school/lab/5
※西田ゼミの実施期間は2022年1月~3月。ゼミへのお申込には一般教養課程の事前お申込が必要です。一般教養課程決済後、ゼミへお申込ください。
▼今回ご登壇いただいた永田さんの活動はこちら