リノベーション費用の相場とは? 事例と価格の内訳を公開
リノベーションは昨今、注目を集めている住まいづくりのかたちです。リノベーションによって住宅の価値をあげることで、資産としても運用できます。
新築ではなく中古住宅のリノベーションが選ばれる理由や、費用相場について知っておくと新しい選択肢が見つかるでしょう。ここではそんなリノベーションの事例や費用について解説します。
1. リノベーションとは
中古の住宅に、「新たな価値を付け加える」改装工事のことをリノベーションと呼びます。
以下のような工事がリノベーションの一例です。
- 壁をなくして二部屋を一つの部屋にする
- 仕切りや壁を移動させて間取りを変える
- 2階建ての建物を平屋にする
- 屋根裏に部屋を作る
リノベーションの特長は、中古物件を自分のライフスタイルや好みに合わせて自由に変更し、理想の空間を作れることです。
新築より物件選びの幅が広く、費用も安く抑えられるため、リノベーションの人気が高まっています。中古物件をうまく活用することで、サスティナブルな取り組みにもマッチする住まいの形といえるでしょう。
リフォームとの違いとは
リノベーションとよく似た言葉にリフォームがありますが、意味は異なります。リフォームは古くなった物件を修復・修繕し、「元の状態に戻す工事」のことです。
一般的なリフォームには、以下のような工事があります。
- 壁紙を張り替える
- フローリングを張り替える
- トイレやユニットバスを入れ替える
- 外壁や屋根を修繕する
どちらのケースでも「新しい壁紙を張る」という、同じ工程が発生することもあります。しかし、リノベーションの場合は「さらに価値を高めるため」の工事であるのに対し、リフォームは「古くなったマイナス部分をプラスに戻すため」を目的としています。
リノベーションは大規模な工事になることが多く、床や壁など、すべてを取り外してしまうことも珍しくありません。一方、リフォームはキッチンや風呂など部分的に行うことが多いのが特徴です。
2. 新築ではなくリノベーションが選ばれる理由
リノベーションをすると、築年数の古い物件でもまるで新築かのように生まれ変わります。注文住宅を建てたり、新築のマンションを購入したりするのではなく、リノベ―ションが選ばれるのはなぜなのか、3つの理由を紹介します。
一つ目の理由は、新築に比べてリーズナブルなことです。中古物件を購入し、新築同様の最新の機能や設備を取り付けたとしても、新築よりも20~30%安い費用でおさまることが多いでしょう。
また、新築であっても住宅設備は最初から決まっているケースもあります。リノベーションなら自分で好きな備品や資材を選べるため、予算に合わせた調整ができます。
二つ目の理由は、希望エリアに物件を見つけやすいことです。注文住宅を建てたいと考えても、希望のエリアに土地が見つかるとは限りません。土地選びには多大な時間と労力がかかるため、妥協せざるを得ない状況になる人もいます。
しかし、中古物件なら流通している物件数が多いため、希望のエリアで見つけやすいです。マンションの場合も同様で、新築物件に比べて中古物件の方が多く流通しているため、理想の条件で物件を見つけられる可能性が高まります。
三つ目の理由は、近隣住民やコミュニティの状況を事前に把握できることです。中古物件ならあらかじめ確認しやすく、引越後の不安は軽減されます。新築では把握しにくい騒音や採光率なども前もって現地で確認できるため、住みはじめてから後悔することも少ないでしょう。
3. リノベーションにかかる費用
リノベーションにはどのような費用がどのくらいかかるのでしょうか。費用には大きく分けて、「物件購入費用」「リノベーション費用」「引っ越し後にかかる費用」の三つがあります。
なかでもリノベーション費用(工事費用)は、施工する場所や面積、作業の難易度によって変動します。工事費用が予想より高くなってしまうケースが多いため、細かい部分まで内容を把握しておく必要があるでしょう。
費用が想定を上回る原因としてあげられるのは、当初の予定にはなかった工事が発生することです。一度すべてを取り外した状態にしてみたら「柱が腐食していた」「配管が劣化していた」など、目に見えない部分に問題が見つかるケースがあります。古い物件ではこのような可能性が想定されるため、それらを見越して工事計画を立ててくれる経験豊富な業者を選びましょう。
また、「床材やクロスがイメージと違っていたからやっぱり変えたい」「ここにもコンセントを増やしたい」など、自身の希望による追加工事も考えられます。デザインへのこだわりや、施工後のイメ―ジの違いが原因で予算オーバーすることもあります。資材のサンプルを取り寄せたり、家具や家電の配置を考えておいたりするなど、プランニング段階で完成後の状態をしっかりとイメージしておくことが大切です。
一戸建てのリノベーションでは、プロパンガスから都市ガスへの変更や、電気・下水道・インターネット回線など、インフラまわりの工事にも別途費用がかかります。こうした細かい費用も、事前にチェックしておくと安心です。
4. リノベーションの相場と価格の内訳
リノベーションの平均価格はどのくらいなのか、「部分リノベーション」と「フルリノベーション」に分けて紹介します。価格の内訳についても見ていきましょう。
部分リノベーション
住宅全体を改修するフルリノベーションは、施工面積が大きい分、部分的に改修する部分リノベーションよりも費用がかさみます。フルリノベーションをしたら予算をオーバーしてしまうという方は、部分リノベーションを検討してみましょう。部分リノベーションの相場を紹介します。
風呂
風呂のリノベーションの相場は、50~200万円程度が目安です。浴槽を交換せずドアやパネルなど一部を交換する場合は50万円以下で収まることも多いでしょう。
浴室のタイル張り替えやミドルグレードのユニットバスへの交換は50~100万円程度、ハイグレードのユニットバスへの交換は100~150万円程度が相場とされています。グレードの高いユニットバスは機能性やデザイン性に優れており、サイズが大きくなるにつれて値は張ります。
風呂のリノベーションで主流なのはユニットバスの交換です。ほかにも、ドアやパネルの交換や浴室タイルの張り替え、浴室の位置変更などさまざまな工事が可能です。当然ながら、大規模な工事になるほど費用は高くなるでしょう。
築年数の古い物件にある在来工法のお風呂から、新しくユニットバスを導入する場合はさらに費用がかかります。また、浴室の位置を変更したり拡張したりする場合も費用は高く、総額で200万円ほどかかることもあります。
風呂のリノベーションは、現地調査によってプロに状態を確認してもらうのがおすすめです。正確な見積もりを出すには、ユニットバスの採寸や風呂の構造や排水経路の確認が必須です。風呂の工事には高額な費用がかかります。失敗しないように、どのような風呂にしたいのかというイメージをしっかり決めておきましょう。
洗面所
洗面所のリノベーションの相場は約10~50万円です。最も費用がかかる部分は洗面台で、大きさや商品のグレードによって価格帯は異なります。
洗面台は間口(幅)に合わせて交換することが前提です。間口は3段階に分かれており、60cmなら約7~19万円、75cmなら約8~30万円、90cmなら約15~50万円が相場です。
洗面所のリノベーションでは、洗面台の交換と一緒に内装工事を行うこともよくあります。クロスを張り替えたり、床をクッションフロアに変えたりする内装工事の相場は5~6万円程度が一般的でしょう。洗面台の場所を変えたり、洗面台を新設したりする場合はオプションとして別途費用が上乗せされます。
トイレ
トイレのリノベーションには、便器の交換をはじめ、便座の交換、クロスや床の張り替え、手洗い場の取り付けなどがあります。
便器を交換する場合の相場は約3~40万円で、洋式から洋式への変更は約3~30万円、和式から洋式への変更は約15~60万円が相場です。
便座のみを交換する場合は1万円前後、温水洗浄便座に交換する場合は3~10万円程度が相場です。
また、クロスや床の張り替えや手洗い場の取り付けといった内装工事のみのリノベーションの相場は、20万円以内でおさまることが多いでしょう。最新式のハイグレードな製品を導入したり、照明や天井なども変更したりする場合は更に費用がかかります。
台所
台所のリノベーションの相場は、総額で100~300万円が目安です。システムキッチンの交換だけなら50~150万円で程度ですが、グレードによって費用は大きく異なります。
キッチンには「I型」「L型」「対面型」などの種類がありますが、リノベーションでは今までと違うスタイルに変更することも可能です。ただし、キッチンを移設する場合は、配管や配線、排気ダクトなどの工事を伴うため、大規模な工事になります。天井や床の工事が必要となることもあり、費用はさらに高額になるでしょう。
また、中古住宅に設置されている備え付けの食器棚の撤去や、タイルの張り替えなどは別途費用がかかります。リノベーション前の状態によって予算が異なるため、余裕を持った計画を考えておく必要があるでしょう。
フルリノベーション
フルリノベーションの相場は幅広く、マンションと一戸建てでも異なります。それぞれの相場を紹介します。
マンション
マンションをフルリノベーションするときの相場は約250~1,000万円です。使用する資材や設備、住宅の広さによって金額は変わります。あくまで目安となりますが2LDKで900万円前後、3LDKでは1,000万円前後が相場とされています。
一戸建て
一戸建てをフルリノベーションするときの相場は、約390~2,000万円前後と幅が広いです。2~3階建ての住宅や、リノベーションする面積が広い場合は費用もかさみます。使う素材やグレード、選ぶブランドによっても総額は大きく変動するでしょう。
5. リノベーションの事例
リノベーションの事例として、神奈川県三浦郡葉山町にある「平野邸 Hayama」を紹介します。
https://hiranoteihayama.com/
「平野邸 Hayama」は、築80年ほどの木造平屋の古民家をリノベーションした宿泊施設です。「日本の暮らしを楽しむみんなの実家」をコンセプトに、昼間はレンタルスペースとして、夕方からは宿泊施設として一棟貸しを行っています。
空き家になってしまう古民家も多い中、建物の管理者から「地域住民に公民館のように使ってもらいたい」との要望を受けて、再利用されることになりました。古い建物でしたが、きちんと手入れがされていたため、当時の趣を残したままのリノベーションが実現できました。
平野邸 Hayamaのリノベーションにかかった費用は約1,500万円です。資金は81人の投資家からの出資によって賄われました。集まった投資家は、まちづくり参加型クラウドファンディングサービス「ハロー! RENOVATION」プロジェクトを通して賛同してくれた人たちです。
リノベーションによって古民家が新しく生まれ変わっただけでなく、多世代交流の場として重要な役割を果たしています。増えていく古い家や空き家を、地域の資産に変えていく画期的な事例です。
6. リノベーションの費用に影響する要素
リノベーションの費用相場を紹介しましたが、料金には大きな幅があります。リノベーションに必要な費用が、建物や工事内容によって大きく異なります。
工事代金が大きく変動する要素としてあげられるのは「施工面積」「間取り」「物件の階数」「地域」の4つです。
施工面積が広いと、必要な資材や設備が多く、作業時間も増えるため費用はアップします。間取りを大きく変えるリノベーションのプランも、大がかりな工事になるため費用の増加は避けられません。
マンションでは、資材の運搬が大変な高層階は追加料金がかかります。戸建ての場合でも、足場が必要な工事であれば2階より3階建てのほうが高くなるでしょう。
そのほかには、地域による工事費用の違いも発生します。住んでいるエリアによって、施工する職人の平均工賃が異なるため、それらに合わせた料金設定になっています。
同じ工事内容でも、さまざまな要素でリノベーション費用の額が変わることを知っておきましょう。
7. 価格を予算内に抑えるコツ
リノベーションの費用は建物の状態や地域など多くの要素で変動することがわかりました。限りある予算でリノベーションを成功させるには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
工事の価格を予算内に抑える三つのコツを紹介します。
やりたいことの優先順位をつける
予算をオーバーさせないためには、「優先順位」をつけることが大切です。「キッチンが古い」「家事動線が悪い」など悩みを整理し、改善したい部分を明確にしましょう。そのうえで、どの悩みを一番に解決したいかを考えてみると、優先順位が見えてくるはずです。
見積もりの時点で予算をオーバーしてしまったら、優先順位の低いものからカットしていくしかありません。やりたいことと予算のバランスを考えるのは難しいことですが、時間をかけてじっくり検討してみましょう。
既存の間取りを利用する
間取り変更を行うと、大規模な作業になるため工事費用は一気にアップします。とくに、キッチンやトイレなど水回りの移動は、作業内容も難しいため費用がかさみます。
予算をおさえてリノベーションを行いたい人は、既存の間取りを活かした方法を考えてみましょう。壁や床材がそれほど劣化しておらず、そのまま使えるようであればリノベーション費用は抑えられます。
間取りを変えないかわりにグレードの高い建築資材使うなど、「お金をかけるところと、かけないところ」を、うまくわけていくとよいでしょう。
担当者に予算をあらかじめ伝える
リノベーションは自由度の高さがメリットのひとつですが、その分、業者側からいろいろなオプションの提案をされることがあります。担当者にはあらかじめ予算をはっきりと伝え、予算内で収まるよう入念に打ち合わせすることが重要です。
優良なリノベーションの業者を見つけるためには、3社ほど同時に見積もりをとって比較するのがおすすめです。「予算内で希望を叶えてくれるか」、「しっかりとこちらの話を聞いてくれるか」などを比べてみてください。
リノベーションの予算は、安い素材への変更や、設備のグレードダウンなどで調整できます。こうした提案も躊躇せずに行ってくれる担当者だと安心できるでしょう。
8. リノベーションの流れ
リノベーションはどのように進むのか、流れを把握しておきましょう。
リノベーションの第一歩は、中古物件を探すところからスタートします。リノベーションにかける費用を多く取りたい場合は、物件自体の予算は抑えておく必要があるでしょう。地方や郊外の中古物件なども検討してみてください。理想の物件が見つかったら、リノベーションを依頼する業者も決めておきます。
具体的な物件が定まったら、住宅ローンやリフォームローンなどの「ローン審査」へ進み、審査を通過したら売買契約を結びます。
中古物件が晴れて自分の所有物になったら、リノベーション工事の開始です。工事中は、施行スケジュールの確認と進捗チェックを常に行いましょう。施工中に予期せぬ問題が起こることもあるため、業者との連絡はこまめにとることをおすすめします。
工事が終わったら業者立ち合いのもと「竣工検査」を行い、施工内容に不備がないかを確認後、引き渡しとなります。
リノベーションが終わったら引っ越しの手続きをして、居住開始です。工事内容にもよりますが、リノベーションにかかる期間は2~4か月程度が一般的です。
9. リノベーション費用実質0円の「0円! RENOVATION」
「0円! RENOVATION」を活用すれば、実質無料でリノベーションができます。空き家を一定期間貸し出すことで、オーナー費用0円でリノベーションできる画期的なプランです。
貸し出し期間が終了する際には、「リノベーションされた状態」で返却されるという仕組みです。リノベーションされた物件は、すぐに収益化できる状態になっているため、その後の資産として運用できます。
「0円! RENOVATION」は、空き家や遊休不動産の利活用を目的とし、多くの人が手軽に参加できるシステムです。必要な資金は、不動産クラウドファンディング「ハロー! RENOVATION」にて募集可能です。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
リノベーションを検討する際、費用や相場は重要な判断材料でしょう。ここでの事例を参考に、ぜひ空き家の利活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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中古物件をうまく活用すれば、リーズナブルな価格でリノベーションができます。リノベーションの費用を予算内におさえるには、優先順位をつけることや、既存の間取りを活かすことなども考えてみましょう。
所有してるアパートやマンション、空き家のリノベーションを検討している方には「0円! RENOVATION」がおすすめです。「0円! RENOVATION」を利用すれば、無料で物件のリノベーションができます。興味のある方はぜひ一度問い合わせてみてください。