ハロー! RENOVATION

函館旧市街の小商いがおもしろい。伝統建築を再生するまちの不動産屋、蒲生寛之さんが考えること

ハロリノ編集部

日本有数の観光地、函館旧市街にある明治建築の旧守屋住宅を小商いの場に再生する「伝統的建造物を小商いで未来につなぐ」プロジェクト。コミュニティメンバーである蒲生寛之さんの存在は、地域の活性化を語るうえで欠かせません。歴史ある建物の再生に終わらせず、エリアに事業者を呼び込み、豊かなコミュニティを育む日々。アプローチの幅を広げ続ける挑戦の根幹にあるのは異業種仲間との連携でした。

蒲生 寛之 さん

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宅建士、賃貸不動産経営管理士、古民家鑑定士1級、株式会社蒲生商事 常務取締役

函館生まれ函館育ち。中学時代に市内旧市街地への引越をきっかけに、函館の魅力に気づき始める。高校卒業後に一度函館を離れ、約8年間海外や都内での生活を経て、2013年にUターン。不動産会社に従事するかたわら、建築家、パン屋の店主、デザイナーと一緒に旧市街地の古い建物の再生活動を行う「箱バル不動産」を立ち上げる。

ハロリノが2020年に全国6カ所で開催した「空き家再生セミナー2020」札幌会場に登壇いただきました。

目次
1.「一度離れたから故郷の魅力が分かった」とUターンし、家業の蒲生商事へ
2. イベント企画や宿の運営も。“エリアの紹介役” 箱バル不動産
3. “色” を軸に、まちをプロモーションする函館島
4. ビジョンを共有し合える異業種仲間と地域の新しい価値を創造していきたい

「一度離れたから故郷の魅力が分かった」と
Uターンし、家業の蒲生商事へ

生まれも育ちも函館の蒲生さんは、留学をきっかけに函館から一度離れたあとに戻ったUターン組。家業の「蒲生商事」で不動産の個性にスポットを当てた物件の紹介や活用提案に従事するかたわら、函館のまちに必要なひと、もの、ことに注目してユニークな取り組みを展開。「箱バル不動産」や「函館島」で建物再生や移住促進企画、ゲストハウスの運営、まちの魅力発信などを行いながら観光地共通の課題である“地域の人が暮らしやすい“まちづくりを追求しています。

「蒲生商事はいわゆるまちの不動産屋です。一般的な不動産屋さんと少し違うのは旧市街に力を入れているところですね。歴史的な建物の紹介をさせていただく機会が多く、旧守屋住宅も仲介でお手伝いさせていただきました。蒲生商事のある函館旧市街は伝統的建造物など古い建物が多いことで知られる観光地ですが、大型商業施設があって暮らしやすい新市街地に住民が流出し、さらには建物の老朽化もあって空き家が多いエリア。でも歴史ある魅力的な物件が多いので、個性的なお店に入っていただき暮らす人が楽しめるまちにしていきたいと思っています」

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イベント企画や宿の運営も。“エリアの紹介役” 箱バル不動産

「箱バル不動産」は函館に戻ってすぐに同年代の建築家・富樫雅行さん、天然酵母でパンを焼く「tombolo」店主の苧坂淳さん、淳さんの奥さまでデザイナーの苧坂香生里さんと立ち上げました。人と不動産をつなぐ蒲生商事に対し、箱バル不動産の役割はエリアの紹介役。コミュニティやイベントなどの地域情報を発信したり、ときには自分たちでイベントを企画したり。大正建築を再生させたホステル「SMALL TOWN HOSTEL」も運営し、地域と人をつないでいます。

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2019年には蒲生さんがディレクションを担当し、函館西部地区プロモーションのためのショートフィルムを制作。函館に滞在するゲストに“函館西部地区の日常”を紹介し、住民とのコミュニケーションが生まれる旅を提案しています。

「海が近くにあって山もあって、まちの機能が充実していて。ジンギスカンのおいしいお店があったり、公園に遊園地があったり。旧市街は散歩するのがすごく気持ちのいいエリアです」。函館プロジェクトの第1回イベントでは、ショートフィルムからいくつかのスポットを紹介してくれました。

“色” を軸に、まちをプロモーションする「函館島」

三つ目の取り組みは、友人で、世界のローカルカルチャーを見てきたデザイナーの片岡照博さんと一昨年に立ち上げた「函館島」。社名の由来について「函館の旧市街地を島に見立てて冒険心をくすぐる名前にしたかった」と蒲生さんはいいます。

「彼は市外の人ですが、いろいろな国のローカルカルチャーを見てまわるのが好きで。大観光都市として知られる函館にはそういったカルチャーがもうないと思って最初は興味を持っていなかったんですよね。でも僕が函館を案内していくにつれて函館をおもしろがってくれて。大観光都市がゆえに見えにくくなっている函館旧市街地に残るカルチャーを市外の方たちに届けるバイパスをつくっていきたいと考えています」

 

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旧守屋住宅のある伝統的建造物群保存地区(伝建地区)は、いろいろなパステルカラーのペンキで外壁が塗られている建物が多く、色彩豊かな街並みも魅力のひとつ。片岡さんが色の専門家であることから、「ペイントにはインテリアだけでなく街並みの価値を高めていく力もある」と単色塗料だけで1071色あるオーストラリア生まれの自然派塗料、ヘイムスペイント(Haymes peint)を取り入れ、“色”を軸に函館の魅力を伝えるプロモーションを事業の第1フェーズとして展開しています。

旧市街を舞台に開催した、函館らしい色をまちから‟採取”するイベント「カラーハント」

ヘイムスペイントの色票を持ちながら、函館らしい色をまちから‟採取”するイベント「カラーハント」を開催したり、SNSで函館らしい色を広く募ったりして、函館オリジナルのカラーパレットを制作。今年3月には函館空港内にオープンした函館空港と道南地域の案内所「LOCAL INFORMATION がっつり道南」のインテリアやグラフィックに採用。函館ならではの新しいペイント文化を地域の人たちとつくっています。

ビジョンを共有し合える異業種仲間と
地域の新しい価値を創造していきたい

蒲生さんと同じく函館プロジェクトのコミュニティメンバーの一人である、はこだて西部まちづくRe-Design代表の北山拓さんとも一緒にプロジェクトに取り組んでいます。場所は旧守屋住宅のある末広町から徒歩圏内の大町。1階店舗群のほとんどが何十年も空いていて、さらに北海道警察官舎だった隣接の建物2軒も使われなくなってからだいぶ経っていたそうです。

「店舗のひとつがコインランドリーになったことをきっかけに、弊社で仲介や買い取りを進めさせていただくことになりました。2年ほどで店舗がほぼ埋まったことで、この場所に可能性を感じるようになりましたね。その間に隣接の空き家も解体されて更地になったので、空き地を活用して店舗のオープンラッシュに相乗効果のある土地活用をできないかと北山社長に相談しながら取り組んできました」

まずは‟場“を楽しもうと、昨年10月にはハンバーガー屋や古着屋、珈琲屋などの1階店舗群の事業者に加え、花屋やアーティスト、パン屋、焼き菓子屋、無印良品の移動販売など、ほかのエリアの事業者にも出店を依頼。「ローカルマーケット in 大町改良ひろば」を実験的に開催しました。

「函館市内外から幅広い世代のお客さんが足を運び、コミュニケーションが自然と生まれるようなイベントになったといいます。近隣の町内会や地域の方に協力してもらいながら、なるべくお金をかけずに自分たちの手で準備をしていけたらと考えています。目指すのは公園機能半分、商業機能半分みたいな感じですね」

一見するとまったく異なる事業を行っているようにも思える挑戦の数々。その軸について「ビジョンを共有し合える異業種の仲間とチームをつくって、函館旧市街の中で新しい価値を創造していくということがすべてに共通していることかなと思っています。函館旧市街が豊かな地域コミュニティが根付くまちになっていってほしい」と蒲生さん。

“小商い”を呼び込むことで空き家が活用され、市内外から訪れる人同士の交流が生まれ、住む人の暮らしが豊かになる。蒲生さんの取り組みから見えるのは、そんな持続可能な地域づくりのあり方でした。

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ハロリノプロジェクトで小商いの場として再生する、函館市の伝統的建造物「守屋住宅」(1909年完成)。1階が和風、2階が洋風という典型的な函館の和洋折衷様式が特長の明治建築

9月末締切! 投資家として函館旧市街の活性化を応援しよう

蒲生さんがコミュニティメンバーとして参加している、伝統的建造物を小商いで未来につなぐプロジェクト「函館・歴史的建造物の継承ファンド」。小商い人の知恵と発想力で、古さも楽しむ事業拠点をつくっていきます。函館旧市街の活性化に関わるには「事業者として出店する」「IターンやUターンをして暮らす」のほかに「本ファンドの投資家として参加する」こともできます。函館出身や函館在住者はもちろん、遠方の人も旅行することを楽しみに、ぜひ投資家として函館旧市街地に参加してください!

函館・歴史的建造物の継承プロジェクトについて
全国有数の観光地である函館市の中でも、日本三大夜景の函館山や伝統的建造物がコンパクトにまとまっている人気エリア「西部地区」。金森赤レンガ倉庫のすぐ裏にある伝統的建造物「守屋住宅」を再生し、複数の“小商い”でシェアする複合施設をつくります。飲食・物販テナントのほか、事務所やアトリエとしても使えるインキュベーションの場とすることで、函館市内外の多様な人が集まり、事業が生まれ、エリア内の空き家・空き地を活用して広がっていくような循環を生み出していきます。

 

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