家賃収入を得る方法は? 仕組みや税金、失敗しないためのポイント

最近では副業で家賃収入を得るために、本業とは別に不動産投資に乗り出す方が増えてきました。複数の収入源を持つことは、これからの時代にとても大切なことですが、家賃収入を得るには正しい知識を身につけておくことが重要です。今回は家賃収入を得るための流れや仕組みなどについてくわしく解説します。

1. 家賃収入を得るための実物不動産投資の特徴

家賃収入を得るための投資方法の一つとして、「実物不動産投資」が挙げられます。実物不動産投資とは、その名の通り自身で不動産を購入し、自ら不動産の運営や管理を行う投資方法です。

実物不動産投資は自ら物件を所有するので、自身で自由に戦略を立てられるのが大きな特徴といえます。例えば、入居者を集うためにリフォームを行ったり、家賃の上げ下げを調整したりするなど、実物不動産投資では自由度の高い不動産運用を行えるのが魅力です。戦略が上手くいけばその分収益もアップするので、当初の予定よりも高額な家賃収入を得られるケースもあるでしょう。

ただし、初期投資額が大きくリスク分散ができない点、物件を所有している間は入居者の客付けや管理などの手間がかかる点については、実物不動産投資のデメリットといえます。また、固定資産税などの税金も発生するため、実物不動産投資で損をせずに家賃収入を得るには、最低限の知識や運用力が必要です。

2. 家賃収入を得る仕組み

「家賃収入」とは、自身が所有しているマンションやアパートなどの物件を他人に貸して受け取る収入を指します。この仕組みは不動産投資の一種で、順調に運用できれば毎月安定した不労所得を得られるため、最近では会社員の方が副業として不動産投資を行うケースも増えてきました。

ただし、入居者が支払った家賃の全額が自身の手元に残るわけではありません。実際に手元に残るのは、家賃収入の総額から不動産経営にまつわる諸経費を差し引いた額です。詳細については後ほど詳しく説明しますが、不動産投資の方法は不動産のオーナーとなるだけでなく、「REIT」や「不動産クラウドファンディング」などを活用するという選択肢もあります。「不動産投資に興味があるけど、不動産のオーナーになるのはちょっとリスクが高いかな?」と考えている方は、ぜひそちらも参考にしてください。

3. 不動産投資の利回りとは

不動産投資について調べていて、「利回り」という言葉を目にしたことがある方も多いでしょう。この利回りは、不動産投資で家賃収入を得るために非常に大切なものです。「利回り」とは、投資した物件の価格に対してどれくらい利益が出るのかを算出した割合(%)のことを指します。わかりやすくいうと、物件の購入額に対して、年間どれくらいの割合で家賃収入が得られるかを示したものです。

利回りは物件の収益力を判断する重要なポイントのひとつなので、不動産投資を検討している方は慎重に各物件の利回りをチェックする必要があります。
ただし、一口に利回りといっても、利回りには「表面利回り」「実質利回り」など、複数の種類があります。下記ではそれぞれの詳細を詳しく解説するので、利回りについてしっかりと理解を深め、不動産投資でのリスクを回避できるようにしましょう。

表面利回り(グロス)の計算方法】
(年間家賃収入)÷(購入金額)×100

「表面利回り」は、物件の大まかな収益力を算出するために使われます。不動産広告でうたわれている利回りは一般的に表面利回りであることが多く、表面利回りには不動産運用を行う上で必要な各種経費への考慮はありません。そのため、より綿密な利回りを知るためには、実質利回りを算出する必要性が出てきます。

【実質利回り(ネット)の計算方法】
(年間収入−年間諸費用)÷(購入金額)×100

このように、「実質利回り」では不動産運用に関わる管理委託料や消耗品費、通信費諸費用などの各種費用を含めて算出する必要があるため、物件のより正確な収益力を把握できます。利回りを見る際には数字の高低だけでなく、その種類と根拠などを含めて確認することが大事であることを覚えておきましょう。

4. 家賃収入の内訳

実物不動産投資でしっかりと収益を上げるには、家賃収入の内訳を把握しておくことも大切です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

【家賃】
賃貸経営のメイン収入となる「家賃」は、物件ごとに設定されている額が異なります。空室が出た場合はその間の家賃収入が0になってしまうので、賃貸経営をする上ではいかに空室を出さないようにするかが非常に重要です。家賃は基本的にオーナーが指定した期日までに、入居者が前払いで入金処理を行います。そのため、未払いが発生していないか、オーナー側が適宜入金確認を行うことも大切です。

【共益費】
集合住宅の共用部分の維持・管理をするために使う費用を「共益費」といいます。共益費は、家賃の一部として入居者から家賃と合わせて徴収するのが一般的です。物件の共用部分の電気や水道料金、清掃費などに充てられることが多いですが、共益費の使用方法については法的な制限がないため、オーナーによって用途は異なります。

【更新料】
「更新料」は、賃貸借契約書を更新する際、入居者がオーナーに支払う費用です。2年ごとに更新時期を設定している物件が多く、更新料は家賃の1〜2ヶ月分が一般的な相場とされています。ただし、最近では「更新料を払うより引っ越す」という選択をする入居者も多いため、空室発生のリスク対策として更新料を徴収しないオーナーも増えてきました。

【礼金】
オーナーと入居者が賃貸契約を結んだ際、初期費用として入居者が支払う謝礼金が「礼金」です。敷金とは異なり、全額がオーナーの収入となります。金額は家賃の1〜2ヶ月分が相場とされています。礼金についても上記の更新料と同様、空室発生のリスク対策として徴収しないオーナーが多くなってきています。

【その他(駐車場、自動販売機など)】
物件に駐車場がある場合は、入居者から駐車場賃料を徴収できます。また、敷地内の自動販売機から収入を得ることもできます。

5. 不動産オーナーの主な支出

確定申告では「収入ー必要経費=所得」の金額を申告します。この所得額に対して税率が決まるため、賃貸経営にかかった支出を適切に必要経費として計上することが節税に繋がります。家賃収入でより利益率を上げたい場合は、各支出の内訳についても正しい知識を身につけておきましょう。

【各種税金】
賃貸経営を行う場合、下記に挙げるような税金が発生します。

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 固定資産税
  • 都市計画税

これらの税金は経費として計上できます。不動産関係にまつわる税金については後ほど詳しく解説するので、ぜひそちらも参考にしてください。

【保険料】
物件の購入時には、万が一の事態に備えて火災保険や地震保険などの損害保険に加入するのが一般的です。これらの保険料は経費で計上可能です。各種損害保険の保険料は契約期間や補償内容によって変動するので、長期契約を結んでいる場合は年単位で経費計上する必要が出てきます。例えば、「5年契約で20万円」という内容の火災保険に加入している場合、年間経費は4万円となることを覚えておきましょう。

【業務委託料】
物件の管理業務を不動産会社に委任している場合は、不動産会社に毎月の業務委託料を支払う必要があります。業務委託料も経費として計上可能で、代表的な業務委託内容としては下記のようなものが挙げられます。

  • 賃借人対応
  • 設備点検
  • 清掃
  • 広告宣伝

一般的に、業務委託料の相場は家賃の5%程度とされています。具体的な相場や支払いのタイミングについては不動産会社によって異なることもあるため、余計なトラブルを防ぐためにも事前にしっかりと確認しておきましょう。

【税理士、司法書士料】
登記や確定申告といった各種書類の手続きを、税理士や司法書士に依頼した場合は、その対価として報酬を支払う必要があります。これらの税理士、司法書士料も、経費として計上可能です。ただし、賃貸経営と無関係の依頼の報酬については経費計上できないので気をつけましょう。

【減価償却費】
マンションやアパートの建物部分、設備部分にかかる経費を「減価償却費」と呼びます。こちらも経費計上が可能で、賃貸経営を行う上で最も金銭的に高くなる経費として知られています。

減価償却費の算出方法は、下記の通りです。

(物件の購入費(土地部分を除く))÷(物件の法定耐用年数)=減価償却費 (定額法による)

確定申告の際に慌てないためにも、物件や物件に付随する設備の構造・用途がどのような仕様になっているか、事前に確認しておくと安心です。

参照元:国税庁
No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)
【参考1】主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

【修繕費】
マンションやアパートの修繕にかかる費用を「修繕費」と呼びます。下記のような費用については、修繕費として経費計上が可能です。

  • 給排水設備の修理
  • エアコンや給湯器などの設備の交換
  • 壁紙や畳などの交換
  • 退去時のクリーニング

【ローン金利】
物件購入時にローンを組んだ場合、ローンそのものの元金を経費計上することはできませんが、利息分であれば「ローン金利」として経費計上できます。

このほか融資における手数料も経費計上可能です。

6. 不動産投資にかかる税金

不動産投資にかかる税金について理解を深めておくことも、安定した賃貸経営を行う上では必要不可欠です。それぞれの税金がどのような意味を持つのか理解しておかないと、確定申告時などに混乱してしまうこともあるでしょう。そのような事態を防ぐためにも、下記では各種税金の詳細について紹介していきます。

【不動産を取得した際にかかる税金】

  1. 「不動産取得税」
    土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得した人に対して課される税金
  2. 「登録免許税」
    不動産、船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許などについて課される税金
  3. 「印紙税」
    売買・請負等に関する契約書等を作成する際に課される税金

【不動産所有時にかかる税金】

  1. 「固定資産税」
    土地、住宅や店舗などの家屋、工場の機械や会社の備品などの償却資産にかかる税金
  2. 「都市計画税」
    都市計画事業や土地区画整理事業を行う市町村が、都市計画区域内にある土地や家屋に対して課する税金

【家賃収入に対する各種税金】

  1. 「所得税」
    その年の1月〜12月の所得に対して課税される税金
  2. 「住民税」
    所得が発生した翌年に、所得額を元に算出された額を納める税金

【物件を相続する場合に発生する税金】
「相続税」
物件相続にかかる税金
賃貸住宅を相続する場合、土地や現金を相続するよりも相続税を節税できるケースが多い

参照:国税庁
税について調べる
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/index.htm
No.7190 登録免許税のあらまし
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7190.htm

参照:総務省
やさしい地方税
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_01.html

7. 不動産投資で失敗しないためのポイント

不動産投資で失敗しないためには、これから紹介する3つのポイントを抑えておくことが大切です。それぞれについて詳しく解説するので、不動産投資を検討している方はぜひ参考にしてください。

金銭的に余力を持っておく

不動産投資に限らず、リスクの無い投資は世の中に存在しません。場合によっては、不動産投資を行ったことで赤字を招いてしまう可能性もあります。万が一の事態に備えて、不動産投資を行う場合は必ず金銭的に余力を残しておくようにしましょう。

賃貸経営には、突然建物の修繕が必要になる、入居者が見つからない、家賃の未払いが起きるなど、様々なリスクが発生する恐れがあります。物件のオーナーになるからにはこのようなリスクを考慮した上で、どのような事態が起きても対応できるような備えを用意しておくことが大切です。

利益だけにとらわれない

これから不動産投資を行う予定の方は、目先の利益だけにとらわれてはいけません。利回りや価格だけに飛びついて安易に物件を購入してしまうと、後から様々な問題点がわかって後悔することもあります。

実際に物件を購入する場合は、周辺物件の相場や設備の老朽化など、広い視野で調べるべきポイントをきっちりと抑えることが大切です。目の前の数字だけで判断するのではなく、複合的に見た上で納得のいく物件を購入するようにしましょう。

自分の目で見る

購入予定の物件を実際に自分の目で見ることは、不動産投資を行う上で非常に重要です。

周辺の環境や物件の実際の状況などは、自分の目で見てみないとわからないことが多いものです。特に中古物件の場合は、写真を見る限りでは一見きれいで住みやすそうな物件に見えても、実際に内覧してみると設備が古く改修工事が必要なケースも珍しくありません。「当初の予定よりも遥かに初期費用がかかってしまった」などということがないように、不動産投資を行う場合は内覧不可の物件に手を出すのは避けておいた方が無難といえるでしょう。

8. 持続可能な家賃収入を得るためには

不動産投資は「買って終わり」というわけではありません。持続可能で安定した家賃収入を得るためには、購入した物件を常に魅力的な状態に維持しておきたいものです。オーナーと入居者の双方が「この物件は素敵だな」と思えなければ、思うように家賃収入を得るのは難しいでしょう。

設備が故障してしまった場合は迅速に修理を行う、定期的に物件の見回りや状況確認を行うなど、オーナー自身が購入した物件に対してしっかりと愛情を注ぎ、空室が発生しにくく家賃収入を得やすい賃貸経営を目指すことが大切です。

9. リスクを抑えた不動産投資のかたち

現物不動産投資は扱う額が大きく自由度が高い分やりがいも大きいですが、初心者が行うには初期費用が高くリスクが大きいといったマイナス要素も目立ちます。「できるだけリスクを抑えて不動産投資を行いたい」という方は、オーナーとしてではなく投資家として不動産投資を行える「REIT」や「不動産クラウドファンディング」といった投資方法を視野に入れてみるのもおすすめです。それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

REITの特徴

「REIT」とは「Real Estate Investment Trust」の略称で、別名「不動産投資信託」と呼ばれることもあります。

REITは不動産投資法人が投資家達から集めたお金をメイン資金として不動産に投資する、不動産信託のことを指します。不動産の運用や管理業務などは不動産投資法人が外部委託したプロが行ってくれるため、投資家は出資するだけで比較的安定した分配金を得ることができます。

投資信託の特徴ともいえる少額投資が可能なREITは、分配金の再投資によるリスク分散や高い換金性もあり、取り組みやすい不動産投資方法として近年定着してきています。

不動産クラウドファンディングの特徴

「不動産クラウドファンディング」とは、運営元がインターネット上から投資家を集め、その資金で不動産投資を行い、それにより発生した収益を投資家に分配するという仕組みの不動産投資方法です。

不動産クラウドファンディングは賃貸向け物件への投資が中心で、リターンは比較的安定しています。また、途中解約できないものが多いため流動性は低いですが、地域や社会に貢献するプロジェクトを応援できる機会となることが多いのも特徴的です。

匿名組合型と任意組合型があり、任意組合型は所有権を持ち、共同出資者となる運用方式です。匿名組合型はクラウドファンディングで一般的で、運用会社へ出資します。クラウドファンディングの場合は、少額からの投資が可能で、インターネット上だけで手続きができます。不動産クラウドファンディングの歴史はまだ浅いものの、1万円程度から始められる手軽な不動産投資方法として、各年代から高い人気を集めています。

不動産のオーナーとして家賃収入を得るには、さまざまな税や制度を理解する必要があります。不動産投資に取り組む場合、REITやクラウドファンディングも選択肢のひとつとして考えておくと良さそうです。

まちづくりのための共感投資である「ハロー! RENOVATION」は、借り手、オーナー、投資家の三者が良い関係を築くことを理念とする不動産クラウドファンディングです。全国で増え続ける空き家や遊休不動産を投資によって再生できるほか、数万円程度の投資から始められるので、不動産投資初心者〜上級者まで、また社会貢献をしながら収入を得たい方にもおすすめです。自分に合ったスタイルで不動産投資を始めたい方は、ハロー! RENOVATIONを一度試してみてはいかがでしょうか。

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