【募集】トトノウサウナ?ビーチヨガ?元祖リトリート"海水浴"発祥の地・神奈川大磯で事業に挑戦!
こんにちは、ハロリノのダイキです。湘南の大磯町で事業者公募プロジェクトが始まります! 今回再生するのは、明治時代に日本の保養リゾートとして誕生し、別荘地としての大磯町をかたちづくったともいわれる「祷龍館(とうりゅうかん)」の跡地に建てられた古民家。
アイデアを持つ事業者を広く募り、物件オーナー、地域の人たち、まちづくりの専門家などを交えてアイデアをブラッシュアップし、事業化までつないでいきます。興味のある人は9月3日(土)に現地開催するまち歩きイベントにご参加ください。この記事では、祷龍館にどういった歴史があるのか、またプロジェクトの全体像もお伝えします。
町の発展の礎となった海水浴場と、それを見守った祷龍館
祷龍館は、1885年に大磯に海水浴場を開設して全国に海水浴を広めた陸軍初代軍医総監の松本順が2年後、現在の金額で約16億円をかけて開業したといわれる旅館と病院を兼ねた大型施設。松本が友人とともに建設を計画し、自身らの出資金とは別に会員も募って資金を集めたといいます。
最近の記事からも分かるとおり、祷龍館は要人や文化人、今でいうセレブ界の人たちが幾度も訪れるほど魅了し続けてきました。
祷龍館は大磯に海水浴場を開設した初代軍医総監の松本順が友人と共に建設を計画し、自身らの出資金とは別に1口200円で館員(会員)を募り資金を集めた。(省略)会員は無料で一室を借りることができ、病気の時には薬代だけで医師の診療を受けられた。また日本料理や西洋料理を安く食べることもできたという(タウンニュース大磯・二宮・中井版)*2
祷龍館の建設には、日本資本主義の父と称される渋沢栄一、安田財閥の創始者・安田善次郎、横浜の生糸貿易商で巨万の富を築いた原善三郎、幕臣ながらも明治新政府でも重用された榎本武揚などが資金を提供した(東洋経済オンライン)*3
今夏、湘南エリアでは3年ぶりとなる海開きとなり、コロナ禍のストレスや疲れをリフレッシュしようと海水浴を楽しむ方々が増えています。国内では松本順が大磯町に取り入れたことで知られる「海水浴」の歴史は、18世紀中ごろにイギリスで海のリフレッシュ効果に着目して医療目的として取り入れられたことから始まります。最近ではサウナやウェルネスリトリートなどが流行していますが、当時は海水浴がその一つだったんですね。
海水浴を始めるにあたってなぜ大磯が選ばれたのでしょうか。資料によると、松本は「西北に山、東南に面した地であり、干潮と満潮の差が大きく、また海水には河川の水が入っておらず、波が強く、塩分を多く含み、海水温が日によってあまり変わらないなどの条件から大磯が海水浴の天武の脂質がある」と考えたとあります(*1)。
明治政財界の著名人らがこぞって邸宅や別邸を構えたことから富裕層を中心にブームが生まれ、1907年ごろには約150軒もの別邸があったといわれています。また1908年には日本新聞社による避暑地百選アンケートで大磯が軽井沢に大差をつけて1位となり、それを記念してJR大磯駅前には「海内第一避暑地」の碑があります。
祷龍館の記憶を継承し、いま求められる場をつくる
現在、祷龍館があった場所は駐車場として使われており、小さな平屋の古民家が佇んでいます。現所有者である吉和田さんは東京と沖縄の二拠点生活のため、この土地に歴史的な価値があることはわかっていながらも活用しきれないとハロリノの運営元であるエンジョイワークスに相談。それがきっかけで、今回のプロジェクトが始まりました。
歴史的な価値がある土地柄、そして海への抜群なアクセスといった魅力がある一方、祷龍館の建物が現存しているわけではないこと。また、西湘バイパスが海への眺望を横切るように走っていることから景観においても課題が残ります。こうしたハードルが原因となって利活用する事業者がなかなか現れないと吉和田さんはいいます。そこで提案したのが、事業者公募型のまちづくり事業者を募るプログラムです。
空き家問題の相談で多いのは、物件はあっても、そこを利活用する事業者がいないこと。そこで僕らはこれまでも、空き家の利活用と人材育成はセットで考えてきました。今回もこれまでの経験を活かして、このプログラムの理解を深めることができるイベントや情報発信をしながら、この場所の価値やまちとの関係性をきちんと汲み取った事業のアイデアを持つ事業者を募り、事業者やまちの人たち、専門家とすり合わせていきます。
用途地域は近隣商業地域に位置するため幅広い事業が可能で、何より海が近いの魅力。コンパクトな平屋建て古民家で、前面の駐車場も一部活用可能です。「サウナやってみたい!」「エシカルをテーマに飲食店をしてみたい!」など多彩なアイデアをお待ちしています。
アイデアを地域に長く愛される事業にするためには、さまざまな観点で計画を具体化していくことが大切です。たとえば周辺に暮らす人たちとのつながりをつくること、歴史を読み解いてストーリーをつくること。もちろん地域活性化につなげることや、大磯町で上手くいく事業の作り方も重要です。僕らプロジェクトチームでサポートします。
プロジェクトのチームメンバー
・祷龍館オーナー 吉和田 忍 さん
・大磯地方創生事業推進コンソーシアム 水谷 歩 さん
・西湘をあそぶ会 代表 原 大佑 さん
・エンジョイワークス 彼末、永田
もちろん「湘南で何か事業をしてみたいけど何をすればよいか分からない」「地域とのつながりをつくりたい」といった方も、ぜひ興味のある方はお問い合わせください。まずはイベントへのご参加をお待ちしています!
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出典
※1 湘南も海水浴もすべては大磯から始まった!(大磯海水浴場の歴史)
※2 渋沢栄一の足跡 大磯にも(タウンニュース大磯・二宮・中井版)
※3 大磯、「海水浴」の一般化と鉄道駅開業の深い関係(東洋経済オンライン)