冷泉小屋“妄想”滞在記。乗鞍岳で過ごす贅沢時間

長野と岐阜の県境にある、サイクリストにも大人気の乗鞍岳。その中腹に経つ山小屋「冷泉小屋」は、長い間クローズしていました。しかし、2020年、「冷泉小屋再生プロジェクト」が発足。クラウドファンディングによるサポートも受けながら、ついに今年8月にプレオープン、2022年7月に完全オープンすることが決まりました。
さまざまな視点からのアイデアとこだわりがつまっているというこの冷泉小屋。ここで体験できることや宿泊プランなど、一体どんな場所になるのか※、「都内在住夫婦の乗鞍岳旅行」を奥様目線で妄想してみました。

※記事に記載されている施設の情報や食事のメニュー、プランなどは、まだ決定事項ではありませんのでご了承ださい。

いざ、冷泉小屋へ!

新宿駅から「特急あずさ」に乗って松本駅へ、そこからさらに松本電鉄上高地線で30分。新島々駅に到着!
休日の度に山や海に出掛けていく夫とは対照的に、私は友人たちと料理を持ち寄ってホームパーティーをしたり、部屋のインテリアをアップデートしたりするのが好きな、どちらかといえばインドアなタイプ。自転車が好きで、ヒルクライムレースにもいつかは挑戦してみたいと話していた夫から、ヒルクライムの聖地・乗鞍岳にある山小屋を再生するプロジェクトに誘われ、最初は全く興味がありませんでした。しかし、一緒にプロジェクトのオンラインイベントに参加したときに、サイクリスト以外も楽しめる場になると知り、二人で投資家になりました。

そして今月、ついに完全オープン!さっそく二人で宿泊を予約しました。

新島々駅からはバスで冷泉小屋を目指します。
道幅がとても狭いトンネルを何度かくぐりながら、山の中を進んでいきます。
また梓川に沿う野麦街道とも呼ばれるこのルートでは、いくつかのダムを見ることができます。中でも川の上流に位置する奈川渡ダムは、アーチ式のダムの中で日本3位の堤高。立ち寄って覗いている人の姿もありました。

「乗鞍高原観光センター」というバス停に着いたら、期間限定で運行しているシャトルバスに乗り換えて冷泉小屋へ向かいます。
一方、乗鞍岳でのヒルクライムを目的にやってきた夫は、乗鞍高原観光センターから乗鞍エコーラインをロードバイクで登りながら長野県と岐阜県の県境を目指すとのこと。

ひとりバスに揺られること30分ほど。
三本滝からは乗鞍エコーラインに入ります。ここでは自然を守るために一般車両の通行が禁止されているため、まるで山を貸し切っているよう。
バスは、夏はクローズしているスキー場の間を縫って小屋へと進みます。
くねくねした道のカーブを幾つも通過し高度が上がると、植栽も徐々に変わるのがわかり、見ていて飽きません。
また時々見える滝から、乗鞍岳の水量の豊富さに驚きます。
そして眼下には素晴らしい景色が徐々に見えてきます。

高度ともに表情が変わっていく車窓を眺めていたら、あっという間に着きました!

冷泉小屋前にも停車する「乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス」は、冷泉小屋の営業期間と同じ7月から10月の期間限定で運行。最新の運行状況はアルピコ交通のウェブサイトをご覧ください

バスを降りて最初に感じたことは、空気のおいしさ。冷泉小屋と道路を挟んで反対側を流れている冷泉からの冷気もあいまって、新鮮な空気が肌をひんやりと包みます。これには深呼吸せずにはいられません。

噂の冷泉小屋はバス停からすぐ目の前にありました。
小屋の前にはサイクリストや登山者たちの姿もちらほら。
「ここに私が入っていって、浮かないかな……」

ドキドキしながら中に入ってみると、2階は全体がカフェスペースのよう。スタッフの方が気さくに声をかけてくれました。
ほっとしながら窓際のソファに座ってみると、窓からの景色のあまりの雄大さにびっくり。
つい我を忘れてスマートフォンでパシャパシャと何枚も写真を撮ってしまいました。

稜線が連なる雄大な景色は時間とともに表情を変える。

冷泉小屋でのそれぞれの過ごし方

改めて小屋の中をぐるりと見渡してみると、いろいろな人がいるおもしろい空間だと気付きました。
トレッキングをしに来た子連れの家族もいれば、ひとり静かに本を読んだり仕事をしたりしている人や、スタッフと楽しそうに話しているサイクリストもいます。みんなそれぞれに楽しそうで、誰でも自分のペースで自由にくつろいでいい場所なんだと安心しました。

下から見た冷泉小屋。2階の窓際は絶景スポット

ほっとしたら、ちょうどランチタイムだったこともあり、お腹が鳴りました。
おにぎりセットを注文すると、おにぎり2つと、漬物、味噌汁が運ばれてきました。お米の甘さが広がるおにぎりと、シャキシャキの漬物、具のうまみがしっかり出ている味噌汁。乗鞍岳の澄んだ空気に包まれていると、なおさらおいしく感じました。
おにぎりセットを完食し食後のコーヒーをいただくころには、スタッフの方とも打ち解け、すっかり私も常連になった気分。
たまたま近くに座っていた登山好きのお客さんも話しかけてくれました。冷泉小屋のようにお風呂にゆっくりつかれる山小屋自体が珍しいらしく、それを楽しみに泊まりに来たということを教えてくれました。
そうこうしているうちに、ロードバイクで乗鞍岳を登っていた夫が着しました。
冷泉小屋のテラススペースはヒルクライムの途中でも気軽に立ち寄り休憩できて便利だとうれしそうです。
エネルギー補給をすませると、颯爽とまた山を登っていきました。

夫を見送ったあと、チェックインをして1階にある客室を案内してもらいました。今回泊まることにしたのが、クイーンベッドとソファとデスクがある一番広い個室。はやくも次回はワーケーション利用で!とイメージが広がります。

チェックインの時にポータブルのバッテリーをスタッフの方に渡されました。どうやらこれが私たちが小屋の宿泊で使える電力みたい。
冷泉小屋は国立公園の中にあることもあり、できるだけ環境負荷の無いエネルギー作りを目指しているとのこと。電力を作ってはいますが、なるべく使わないようにとの工夫がこのバッテリーです。確かに部屋の中にコンセントはありません。
さらにこの小屋では流れる冷泉や太陽熱を生かし、自給自足でのインフラ作りをしています。これも環境を考えてのこと。

思えば、部屋で必要なのは携帯電話の充電くらいで、あとは夕方に渡されるランタンの炎だけで十分。
毎日なんとなく使っている電力を意識しながら、こうやって電力をなるべく使わずに過ごす体験は、冷泉小屋ならではかもしれません。

部屋に荷物を置いたあと、宿泊者だけが使えるライブラリーコーナーでゆっくりすることに。
冷泉小屋にいる間はデジタルデトックスのチャンスだと思い、部屋に積みっぱなしになっていた本をいくつか持ってきていたのです。
ライブラリーコーナーに行ってみると、多彩なジャンルの本が並んでいました。
事前リサーチでライブラリーがあることは知っていましたが、こんなにいろいろな本があるとは思っていませんでした。本棚を眺めているだけでもおもしろい!

まさか山小屋でこんなに本の世界に浸れるとは……。
読書に集中していたらいつのまにか時間が経っていました。

冷え冷えドリンクで冷泉を体感

2階に戻ると、ちょうど夫が帰ってきました。
ヒルクライムの聖地・乗鞍岳を堪能して興奮ぎみです。

火照ったからだを冷やすにはこれしかない、と夫を連れて冷泉にドリンクを冷やしに行くことに!

冷泉小屋の目玉のひとつ「冷泉冷え冷えドリンク」は、店内で購入したドリンクを自分で冷泉に入れて冷やして飲むことができるという体験型のメニュー。
まさか自分たちで冷やしに行くものとは思っていなかったので、とてもワクワクしました。
さっそくドリンクをしっかり持って冷泉に手をいれると、想像以上の冷たさにびっくり! ものの30秒ほどでドリンクもすっかり冷え冷えに。

「冷たくて気持ちいいねー!」

二人ではしゃぎながら一気にドリンクを飲み干しました。

夜更かしOK! 冷泉小屋の長い夜

夕方、カウンターテーブルについて食事を待つ間に同じテーブルにいたほかのお客さんとの会話が弾み、仲良くなれたことも心に残る思い出になりました。
一人でワーケーションに来たそうですが、なんと私たちと同じく冷泉小屋の投資家だったのです。
冷泉小屋の投資家は五つのチームに分かれて、冷泉小屋をもっと成長させるためのミーティングや、チームごとの連絡網で情報共有をしています。夫は「自転車チーム」、私は「お酒と食チーム」、その方は「エネルギーチーム」。残りの二つは「お風呂チーム」と「登山チーム」です。それぞれの視点からこのプロジェクトに期待していることや冷泉小屋についての思いなどを語り合いました。

そしてついに楽しみにしていた料理が登場!
素材の味が引き出されていてどれも絶品。
ペコペコだったお腹に優しく染み渡るような、長野産の食材を使った、素材の味を生かした美味しい料理ばかり。
山小屋に来たことがなかった私にとって、山小屋で食べられる料理といえばカレーや蕎麦、鍋が多いイメージでしたが完全に覆されました。
冷泉小屋ではビール以外にも、ワインや日本酒、焼酎、ウィスキーなど、たくさんのお酒を楽しむことができ、夜はお酒に合うようなアラカルト中心のメニューが用意されています。
無意識に、食事もいつもよりゆっくりに。

気付けば辺りはすっかり暗くなり、空を見上げれば満天の星空。
ワインを飲みながらその場にいる人たちと会話をしていると、もはや誰がスタッフで誰がお客さんなのか分からないくらい、みんなでこの時間を楽しみました。
たいていの山小屋には消灯時間があり、夜8時や9時にはみんな寝てしまうそう。
しかし消灯時間が遅い冷泉小屋の夜は長く、寝てしまうのがもったいないとさえ感じました。

「起きて起きて」

夜明け前、夫の声で目が覚めました。
日の出時間に合わせてドリップしてくれる「朝焼けコーヒー」を飲むために起こしてもらう約束だったのです。
私も前から楽しみにしていましたが、さすがに眠い!しかもここは標高2100メートル。夏でも朝は冷え込みます。
小走りで2階に向かうと、昨日一緒に夜更かしをしたメンバーがすでにそろっていました。

みんなで「おはよう」と声を掛け合いながら薪ストーブを囲みました。まさか大人になってからこんなふうに友だちができるなんて思ってもいなかったので、なんだか感動。

淹れてもらったドリップコーヒーを飲みながら山の峰を見ていると、空が少しずつオレンジ色に。

窓の前に立って太陽が雲海からゆっくり昇ってくる様子をぼーっと見ていたとき、久しぶりに頭の中がちゃんと空っぽになったような気がしました。
都会で生活していると無意識のうちにも次々に情報が入ってきます。何か作業をしていても頭の片隅では常に別のことを同時に考えているなど、いつも頭の中が忙しく、自分の体の感覚などに意識を向ける機会が減っていました。ここに来てからは、仕事も忘れどんどん自分の五感が冴えわたり、気持ちも開放的になっていくのを感じます。

今日は夫と一緒に、乗鞍岳の山頂へ行く予定。

でもあんまりにも冷泉小屋の居心地がよくて、
「このまま1日中、今日も冷泉小屋にいようかな」
と、ついインドア派の本音が漏れました。

すかさずその場にいたみんなに背中を押され、やっぱりこれからトレッキングに行くことに。
今日はどんな景色が見れるかな?
なんだかちょっとワクワクしてきました。

あなたの“妄想”を実現させよう

この滞在記に書かれていることは、まだすべて妄想であり、決定事項ではありません。
ただ、投資家として山小屋をみんなで一緒に成長させる経験ができることや、冷泉小屋を通して心に残る出会いが待っていることは本当です。
このプロジェクトは参加型。
あなたなら、冷泉小屋でどんなことをしてみたいですか?

クラウドファンディングに参加して、みんなでアイデアを実現させましょう!

ファンド詳細を見る

▼Facebookページ
乗鞍・冷泉小屋再生プロジェクト

人気の記事

「三豊、次はファンドつくるってよ。」香川県三豊・一棟貸宿オーナーズファンド1号説明会
オススメのイベント

「三豊、次はファンドつくるってよ。」香川県三豊・一棟貸宿オーナーズファンド1号説明会

2024-10-08 開催

オンライン