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海辺の商店街再生から目指す、伊豆半島南西部のエリアリノベーション

ハロリノ編集部

静岡県東端部に位置する伊豆半島は、古くから日本有数の観光地として知られ、そのアクセスの良さと、豊富な『温泉』により、関東圏で暮らす人々の保養地として親しまれてきた。
半島内の地域はそれぞれ、中北部を中伊豆(なかいず)、東岸を東伊豆(ひがしいず)、西岸を西伊豆(にしいず)、南部を南伊豆(みなみいず)と呼び、地域性も異なる。
中伊豆の『修善寺』、東岸の『熱海』といったメジャーエリアに比べ、西伊豆及び南伊豆エリアは知名度も低く、高度成長期やバブル期等における経済的恩恵もそれほど受けてはこなかった地域ではあるが、その分、乱開発を逃れ、現在も『日本の原風景』が残されている場所が多く存在する。

2013年に『日本で最も美しい村』宣言を行った松崎町

西伊豆エリアに位置する人口約7,000人(2017年4月現在)のまち、静岡県賀茂郡松崎町。江戸時代より『炭焼き』と『養蚕』で栄え、当時の繁栄を物語る『なまこ壁』と呼ばれる伝統的な漆喰が施された邸宅がまちに残されていることが評価され、2013年に「日本で最も美しい村」連合に加盟した。

海・山・川の自然に囲まれた松崎町では、農業、林業、水産業といった『一次産業』が等身大で営まれ、人々の暮らしを支えてきたが、日本の国家的課題でもある『少子高齢化』が松崎町でも進んでおり、生き残りをかけた住民ひとりひとりの『意識改革』と、地域の資源を新たな発想で活かす『付加価値の創出』が求められている。


海辺の商店街を再生したい
高度成長期には海水浴客で賑わい、町内でも民宿業を営む人々が数多く存在し、松崎海岸近くの商店街も、松崎で暮らす人々と、松崎を訪れる観光客にとって『なくてはならないもの』としてその使命を果たしていた。
しかしながら、時代の流れとともに産業構造も変化し、人々が余暇を過ごす際の選択肢も多様化したことで、海辺の商店街では一つ、また一つとシャッターを下ろす店舗が増えていった。

「時代が移り変わっても、松崎にあるものは変わらない。」

今、必要なのは発想の転換。かつての商店街は、お肉屋さん、八百屋さん、文房具屋さんなど、個人商店規模で生活必需品を提供するお店があり、その中でコミュニティが生まれていた。
現在では、大型チェーン店の進出や、インターネットの普及によりダイレクトに商品が買えることもあって、かつてのような個人商店はなかなか成り立たない。
そんな時代に、かつての商店街にまた人が集まり、コミュニティを形成させるためには何が必要なのか。
単純にモノを売るという発想では、今の時代は難しい。そこにストーリーがあって、何か面白そうだという好奇心を集めることが、人の循環を生むのではないか。


人が集まる仕掛けづくり
「今、変わらなければならない。」

松崎町役場 企画観光課の深澤凖弥さんはこう話す。
自らも商店街の一角で暮らし、家は床屋を営んでいる。ひとつ、またひとつと商店がシャッターを閉めるのを目の当たりにしてきた。
地方創生の掛け声のもと、以前よりも人やお金が地方に集まり始めている。一番肝心なのは、地域がその変化を察知して、活かそうと動くことだ。

「まずは地域にあるものを活かす。」
手始めに、商店街のポケットパークに温泉を引き、憩いの「足湯」として人々が集まれる場づくりに着手した。
「松崎にとって温泉は生活の一部。まずは地域の人たちが利用して、交流を生む場所になってくれれば。」

近隣には、『西伊豆古道再生プロジェクト/山伏トレイルツアー』を手掛ける松本潤一郎さんのショップもオープンした。
バイクで世界中を冒険してきた松本さんが、「ここで暮らしていきたい」と選んだ場所が、西伊豆・松崎町だ。「海・山・川、これだけの自然に恵まれていて、かつこれから創り上げていける可能性を感じる場所は、自分が見てきた中では日本には松崎しかない。」松本さんはこう断言する。

伊豆半島は、2020年東京オリンピックにおいて『自転車競技』の会場となることが決定している。
世界から注目を浴び、各国から人々が訪れるこの機会を活かさない手はない。大切なことは、それが一過性のイベントで終わらせるのではなく、後々まで引き継がれる財産となるような仕掛けづくりが施せるかどうかである。

「今、直面している課題は松崎町だけのものではなく、西伊豆町、南伊豆町を含めた、伊豆半島南西部全域の課題である。」深澤さんはこう話す。
「その中で、松崎町がリーダーシップを発揮して、周囲にも伝播させていきたい。」

商店街の再興から、伊豆半島南西部のエリアリノベーションへと繋げる松崎町のチャレンジは、これからも続いていく。





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