「投資」と「運用」の違い/共感投資を考える(1)

「貯蓄から投資へ」というフレーズに新鮮さを感じないぐらい、「投資」という言葉が身近になってきています。一方で「資産運用」という言葉に代表されるように「運用」という言葉も多く目にするようになりました。川村達也さんの連載コラム、今回のテーマは「投資」と「運用」の違い。ポイントは「感情」の取り扱いです。

執筆者 川村 達也(かわむら たつや) コラム一覧はこちら
「投資」と「鎌倉」の二軸で活動する二児の父。ベンチャーキャピタルでスタートアップへの投資、個人では上場株と未上場株投資を行う。鎌倉を拠点としつつ、海外へ数ヶ月拠点を移したり、キャンピングカーで国内を移動したりする生活を家族で送っている。

目次
1. プロと個人の差
2. 投資と感情の関係性
3. 感謝と信じる心
4. 信じられる存在は身近にいる

1. プロと個人の差

「投資」と「運用」。
この二つの言葉の使い分けを意識されてない方も多いと思いますが、違いを意識することはとても重要です。
ここを履き違えると大きなストレスが待っています。

ポイントは「感情」の取り扱いです。

投資には「感情」を大切に持ち込みましょう。
運用には「感情」の持ち込みは厳禁です。
ちなみに感情がない投資は「投機」といったりもします。

厄介なのは、投資=感情のある運用、となっている状態です。
いち個人が、感情に左右されながら運用でリターンを得られるほどマーケットは甘くありません。

ここで理解を深めるためにプロの言葉を借ります。

プロであれば、「感情のある運用」で成り立つケースがあります。

鎌倉投信*はその一つです。

「いい会社」を自分たちの価値観で選び、運用でパフォーマンスを出している投資信託です。投資先の選び方にはファンドマネージャーの感情も大いに入っていると思いますが、プロとして、市場状況にあわせて適切な投資戦略をとれているから結果もついてきます。
いち個人には到底真似できない「運用」なのです。

2. 投資と感情の関係性

個人が運用したいのならば、投資信託であり、機械が運用してくれるロボアドバイザーを検討するのが賢明です。
最近流行りのロボアドバイザーは、機械なのでまさに感情を持たない運用です。

注目したいのは、個人が感情を持ち込むべき「投資」です。
言い方を変えると、感情を持ち込める企業を見つけ、お金を通じて応援することを「投資」と捉えるべきなのです。

儲かるか儲からないかを超えて、この企業の活動を支えたいと思えることが大事です。企業活動を支えたいから、企業の財務状況や株価もチェックするのです。支えるべき活動を本当にしているのかを数値で確認するのであって、株価が割安か否かだけに思考を奪われるべきではありません。

仮に現時点で割高だったとしても、この企業の将来は信じるに足ると考えるならば割安であり、その時点の一般的な指標(PERなど)に振り回されては本末転倒です。

3. 感謝と信じる心

繰り返しになりますが、運用をしたいのならば、感情を抜きに、投資信託かロボアドバイザーに任せるべきでしょう。

投資をしたいのならば、感情を大切に、信じる企業を見つけ出し、一緒に人生を伴走できる企業が世に存在することに感謝し投資しましょう。

私の場合、運用は、鎌倉投信や、ひふみ投信などの投資信託、それにWealthNaviのようなロボアドバイザーに任せています。運用状況はチェックしますが、他人事のように横目で見る程度です。

投資は、イーロン・マスク率いるテスラモーターズであったり、鎌倉を代表する企業である面白法人カヤックに投資をしていたりします。

圧倒的なテクノロジーで世界をより良く変えていこうとするイーロン・マスクは遠い存在ではありますがワクワクさせてくれる素晴らしい経営者です。

ゲームは全くやりませんが、鎌倉から資本主義をアップデートしていこうとするやなさん(カヤック代表の柳澤大輔さん)の考えには強く共感していますし、人間として尊敬しているので応援しています。

カヤックにおいては、投資した時より株価はだいぶ下がっていますが、後悔や怒りなどは微塵もないです。それは信じているからで、きっとこれから巻き返してくれるだろうし、むしろもっと応援したい気持ちです。

4. 信じられる存在は身近にいる

話は少し逸れましたが、信じて投資として応援できる企業がいることは幸せなことです。人と同じで、自らが信じてもらえる存在であることも大事ですが、信じる人がいることはそれ以上に幸せなことではないでしょうか。

信じる企業を見つけ出せないと言う方もいるかと思いますが、見つけ出す努力をしているか自問してみましょう。身の回りのモノでありサービスのほとんどは企業活動によって提供されています。身近に、会社を経営して必死に世界をより良い方向へ変えていこうとしている人がいるかもしれません。

未上場会社だと投資はできないと思うかもしれませんが、FUNDINNOなど、未上場会社へ株式投資できるサービスは徐々にではありますが広がってきています。

日常生活の中で企業の活動に思いを馳せる。一人ひとりがそのような感度を持って生活していく中で投資を捉えていくことこそ、投資が身近になるということだと信じています。

 

〔川村 達也の連載コラム〕
1.「投資」と「運用」の違い
2. 投資とサーフィンは似ている。投資を始めるために必要なこと
3. 投資対象の「価値」は「期待」と「実績」の掛け合わせ
4. 投資で変わる街の風景
5. 投資家がこれからの社会を変える
6. ポジティブな監視社会
7. 仲間になる投資家
8. 合理的でない投資
9. サイドプロジェクトを持とう
10. 投資を続けていくコツ
11. ローカルを大切にしよう。投資力を高めるハロリノ・コミュニティ

 

*鎌倉投信について https://www.kamakuraim.jp

「いい会社とは、会社に関わるすべての人との調和を図りながら成長する会社」

鎌倉投信は、これからの日本に必要とされる企業に投資を行う長期資産形成のためのファンド「結い 2101」を運用しています。同社の投資先は66社(12月1日時点)。運用報告資料には月次運用状況とあわせて、投資先の会社の情報、イベント情報、コラムなどを掲載。投資初心者にもわかりやすい内容を心掛けています。

鎌倉投信が「いい会社」を選定するために設けている評価項目は「人」「共生」「匠」の三つです。

人……優れた企業文化を持ち、人財を活かす企業
共生……循環型社会を創る企業
匠……日本の匠な技術、感動的なサービスを提供する企業

投資先の「いい会社」について、ウェブサイトには次のように書かれています。

“鎌倉投信が考える「いい会社」とは、会社に関わる全ての人との調和を図りながら成長する会社です。社員とその家族、取引先、顧客・消費者、地域社会、自然・環境、株主等を大切にし、持続的で豊かな社会を醸成できる会社に投資します”

長期資産形成においては特に、会社の理念に共感できる投資対象を見つけることが重要です。短期的な利益の最大化を追求する企業ではなく、世の中に役立つ事業かどうか。ESGやSDGsを重視した取り組みなども自分自身で理解しながら見つけていきましょう。

 

共感投資プラットフォーム「ハロー! RENOVATION」(ハロリノ)は、全国の空き家や遊休不動産と、事業を行いたい人をつなぎ、想いのある投資によってリノベーションを推進する、参加型プラットフォームです。さまざまに関わっていただくみなさんと一緒に、持続可能で豊かなまちづくりを実現します。

人と事業と未来に投資するハロリノの共感投資に興味のある方は「ハロリノとは」をご覧ください。

 

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