投資とサーフィンは似ている。投資を始めるために必要なこと/共感投資を考える(2)
執筆者 川村 達也(かわむら たつや) コラム一覧はこちら
「投資」と「鎌倉」の二軸で活動する二児の父。ベンチャーキャピタルでスタートアップへの投資、個人では上場株と未上場株投資を行う。鎌倉を拠点としつつ、海外へ数ヶ月拠点を移したり、キャンピングカーで国内を移動したりする生活を家族で送っている。
始めてみたいけど始められない。
投資とサーフィンは似ていると思うことがあります。
- やってみたいと思うけど、やったことがない人が多い
- やってみると、こんなにおもしろく難しいものはない
- 天候やマーケットという自分ではコントロールできない要素に強く左右される
- どのポイントで入るか、どの成長分野に投資をするかが重要であり、波がないところで個の力は発揮できない
- 波があるポイントでも、人が多すぎたら乗れる波が限られるのは、人気があり株価の高い会社に投資してもリターンが低いことと同じ
特にどちらにおいても、「始めてみたいけど、始め方がわからないし、なんだか恐そう」という漠然とした不安を抱えている人が多いのではないでしょうか。
始める前に勉強が必要?
不安を解消したいとき、手っ取り早いのは「勉強」です。まずはしっかり準備をしよう、最低限の知識は身につけようという考え方ですね。
ここで投資未経験者へのアンケートを見てみましょう。
わからないことへの恐怖が背景にある回答が多いことに気づきます。
『また、91.1%が「株式投資は専門的な知識を持ってやるもの」と答え、90.9%が「知識を身につけたいが、何を学ぶべきかわからない」と答えており、未経験者にとって「学びのハードル」が非常に高いことが分かります。結果として、「株式投資は学んでからやるもの」と回答している73.0%のユーザーは、投資を始めるための「学びの指針」を求め、いつまでも投資を始められない状況にあることが伺えます。』 SMBC日興証券株式会社、「投資の始め方」に関する意識調査、2019年1月25日プレスリリースより抜粋
なにから手をつけたらいいかわからないけど、なにかしら手をつけなければ始めることができないという袋小路の状態であることがわかります。
では、投資を始めるにあたって必要な学びの指針はなんでしょうか。
逆説的ではありますが、学びの指針を外部に求めることをやめることがスタートラインです。
知識で立ち向かうとしても、上には上がいます。いち個人で得られる情報の量や質やスピードは、専門でやっている人にはかないません。その人たちの論理にはまらないことが大事なのです。
大怪我しないレベル。サーフィンの話に戻りましょう。
サーフィンの楽しさは、他の人よりうまく乗れることや、かっこいいサーフボードを持っていることでもなく、波という現象を利用し、大海原に、一枚の板で自分が立つという行為そのものだと思っています。
始めるにあたって細かい知識は必要ありません。
いきなり台風時のビッグウェーブに飛び込むという自殺行為をしなければいいのであって、それは投資を始める際に、全財産を一つの銘柄につぎ込む行為が危険だと思うことと同じであり、知識というレベルの話ではありません。
投資を続けるために必要な知識はあります。
投資を始めるために必要な知識はないのです。
やってみたいと思ったならば、大怪我しないレベルで始めてみることです。
始めてみると、自分に足りない能力、必要とされるスキルが見えてきます。
それは決して簡単なものでもなく、努力が必要なことかもしれませんが、そうまでしてうまくなりたいと思うのならば、そこから勉強していけばいいのです。
〔川村 達也の連載コラム〕
1.「投資」と「運用」の違い
2. 投資とサーフィンは似ている。投資を始めるために必要なこと
3. 投資対象の「価値」は「期待」と「実績」の掛け合わせ
4. 投資で変わる街の風景
5. 投資家がこれからの社会を変える
6. ポジティブな監視社会
7. 仲間になる投資家
8. 合理的でない投資
9. サイドプロジェクトを持とう
10. 投資を続けていくコツ
11. ローカルを大切にしよう。投資力を高めるハロリノ・コミュニティ