投資家がこれからの社会を変える/共感投資を考える(5)
執筆者 川村 達也(かわむら たつや) コラム一覧はこちら
「投資」と「鎌倉」の二軸で活動する二児の父。ベンチャーキャピタルでスタートアップへの投資、個人では上場株と未上場株投資を行う。鎌倉を拠点としつつ、海外へ数ヶ月拠点を移したり、キャンピングカーで国内を移動したりする生活を家族で送っている。
ESGやSDGsという概念が浸透していくのと合わせて、既存の資本主義が非難される場面が多くなってきています。
地球環境を無視した経済成長、富裕層ばかりにお金が集まり広がる格差。資本主義は人を幸せにしていなんじゃないか?という疑問の声があがります。
ポスト資本主義、株主主義からステークホルダーへ。資本主義はもはや古くて使い物にならないかのような風潮が出てきているように感じます。
しかし、本当にそうでしょうか? まだやりきれてない大事なことがあると思っています。
投資家になろう。資本主義は変化している
2020年2月21日の日経新聞で、「国民皆が資本家になろう」という記事が掲載されました。
かつて機能していたトリクルダウン(富裕層や大企業が豊かになると、富は国民全体にも循環し、経済成長するという仮説)は機能不全に陥っています。しかしそれは資本主義そのものが限界にきているということではありません。
国民の多くが株主となり、企業利益の分配を受け取ることで世の中の資金が還流するということがまだまだされていないからです。
世の中に優良な企業は数多く存在しています。上場企業はもちろん、未上場企業でも個人が投資できる環境は整ってきています。
個人が投資家になることこそ、資本主義のアップデートではないでしょうか。
機関投資家が大きな金額で投資運用をおこない、株主として企業活動に影響を与え、それが社会を変えていく可能性があることはイメージできます。
一方、いち個人が、少額な金額を投資したところで、社会を変えることはできるのでしょうか?
選挙だろうが、地球環境だろうが、投資だろうが、たかが自分の一票でなにも変わらないし、行動を起こして結果に悲観するぐらいなら最初からしない方がいい。そういう心理が背景にあると思います。
しかし、気がつかなければならないのは、その一票で変わるのは、国でも地球でも企業でもありません。自分自身です。
変わっていく自分自身が起こしていく日々のアクションの積み重ねと、その人数の相乗効果は測り知れません。だからこそ、投資という行動には大きな価値があるのだと思っています。
〔川村 達也の連載コラム〕
1.「投資」と「運用」の違い
2. 投資とサーフィンは似ている。投資を始めるために必要なこと
3. 投資対象の「価値」は「期待」と「実績」の掛け合わせ
4. 投資で変わる街の風景
5. 投資家がこれからの社会を変える
6. ポジティブな監視社会
7. 仲間になる投資家
8. 合理的でない投資
9. サイドプロジェクトを持とう
10. 投資を続けていくコツ
11. ローカルを大切にしよう。投資力を高めるハロリノ・コミュニティ