空き家辞典vol.1「用途地域」

本コラム「空き家辞典」では、空き家再生に関わっていく上で気になる法律や用語を専門家に質問しながら解説してもらいます。
 
 
本日のテーマは「用途地域」
 
 
★質問者:れいちゃん
ハロリノ編集部。他業界からの転職組のため不動産基礎知識ゼロの素人。
 
★回答者:はまちゃん
ハロリノ編集部。一級建築士・宅地建物取引士。

物件

れいちゃん:はまちゃん!この空き家、ゲストハウスをやれそうですね。部屋数も多いですし。景観も良い感じ。

はまちゃん:このエリアは「用途地域」的にゲストハウスはできないんだよ。残念ながら。

れいちゃん:用途地域?初めて聞きました。法律ですか?

はまちゃん:都市計画法という法律だよ。用途地域も都市計画法のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としているんだ。類の異なる土地利用が混じっていると、互いの生活環境や業務の利便が悪くなるからね。

住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など、全部で12種類の用途があるよ。ちなみにこの物件のある場所は「第一種低層住居専用地域」だからゲストハウスを運営しちゃだめなんだ。

れいちゃん:なるほど。どこでもやりたい商売ができるわけじゃないんですね。用途地域が合致していないところでは営業不可、だと。残念!
じゃあゲストハウスはどの用途地域ならできるのかしら?

はまちゃん:ゲストハウスは「ホテル」に当てはめることができる。だから運営できるのは「第一種住居地域」から「準工業地域」までの6つの地域だよ。

用途地域の12種類とゲストハウス可否※ゲストハウスを「ホテル」に当てはめています

 

れいちゃん:ありがとうございます!しっかり確かめなくちゃ。

そういえば、この前とある地域紹介イベントで「この地域は都市計画区域外なので宿泊業も自由にできます」みたいなことを言ってましたが、そんな無法地帯みたいな場所も存在するんですか?

はまちゃん:「都市計画区域外」のことだね。田舎の市町村ならべつに珍しくない。都市計画区域外では「用途地域」による規制はないです。

都市計画区域外とは

れいちゃん:なるほど、都市計画区域外ってなんだか夢がひろがりますね。ところで用途地域は自分でネットで調べることができるそうですが、調べ方を教えてください。

はまちゃん:用途地域は、各地方自治体が定めた「都市計画図」で確認することができる。管轄する自治体がWEBサイトで公開していることが多いよ。例えば葉山町だったら、「葉山町 都市計画」とかで検索して….(検索中)
ココを見たら用途地域を調べることができる。

れいちゃん:ほんとだ、各自治体が用途地域に関する情報を提供しているんですね。そして自分でもWEBで簡単に下調べすることができるなんて。用途地域の意味を理解することは、空き家で事業をはじめるための第一歩ですね!

カフェ

ちなみに、カフェの場合はどうですか?

はまちゃん:もちろん、空き家でカフェをやる場合であってもやはり用途地域による制約があるから注意が必要だよ。
ただ、カフェの場合は、「飲食店」と「食堂または喫茶店」と「料理店」と「カフェー」といううちのどれに当てはまるかという話があり、さらに用途地域によって許可される店舗面積の上限が異なるから、一概には言えないんだ。
つまり、まずは自分がどのようなカフェにしたいかを考えて、どの用途地域ならできそうかを想定したら、一度行政に確認するのが確実かな。

れいちゃん:なるほど!自分のイメージするカフェがどれに当てはまるか、ということに加えて面積も関係してくるんですね。

アトリエ

そうそう、わたし将来はアーティストに転身しようかな、と思ってるんですけど、空き家でアトリエをやる場合にはどうかしら?

はまちゃん:アトリエに関しては、例えば小説家のアトリエであれば「事務所」になるだろうし、不特定多数の人が出入りするようなことになれば「店舗」になるし、何か機械を入れたり、危険物を扱うことになれば、「工場」も可能性としては出てきます。こちらもやりたい内容を想定して、どの種別に当てはまるかを考えて、最後は役所に確認するのが確実だね!

れいちゃん:たしかに、「アトリエ」って呼称は意味が広すぎるかも。法律的には実際にどんな使われ方をするか?が重要なんですね。
用途地域を検証するためにも、その前段階で自分のビジョンをクリアにしていかないといけないことがわかりました!

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