ハロー! RENOVATION

「自己否定感の連鎖」を断ち切りたい。「こども図書館」開館への想い

ハロリノ編集部

「あそびを学び、まなびを遊ぶ」をコンセプトに盛岡市中央公園に誕生した複合施設ビバテラス(BeBA TERRACE https://bebaterrace.com/ )に「こども図書館」をつくるプロジェクト。今回はプロジェクトリーダーである、みんなのみらい計画*代表の浜田和人さんに、プロジェクトを始めようと思ったきっかけや事業への思いをうかがいました。

*みんなのみらい計画では「みんなの明るいみらいのために、私たちができること。小さな保育園の大きなみらい」をスローガンに保育施設12園(そのうち運営委託4園)、英語学童保育2園を運営しています。

目次
1. 浜田さん、なぜ「こども図書館」を始めようと思ったんですか?
2. 「自己否定感の連鎖」を「生まれてきて本当によかった」に変えたい!
3. 「違いを違いとして認め合う」こと。たくさんの絵本の世界から学んでいく
「こども図書館」プロジェクトの予定地となりに開園した「モリオカえほんの森保育園」( https://www.miraikeikaku.jp/morioka_ehon/

1. 浜田さん、なぜ「こども図書館」を始めようと思ったんですか?

「こども図書館」の構想は、保育園に関わるようになってから生まれてきました。絵本にはさまざまな物語がありますが、ハッピーエンドで終わるあたたかい物語がほとんどです。親が子どもに絵本を読み聞かせることによって保護者の「自己肯定感」が養われます。そこをねらいにしたいと思ったからなのです。保育園の近くに「こども図書館」があれば、お子さんの送迎時に借りられる手軽さもありますね。

「こども図書館」プロジェクトリーダーの「みんなのみらい計画」代表取締役の浜田 和人さん

42歳、東京の出版社勤務から、子どもたちのために再出発

私は42歳まで東京の出版社で、教科書や絵本、図鑑などを全国の保育園、幼稚園から大学に至るまで販売営業の仕事をしていました。きっかけは東日本大震災です。売上のノルマを追いかける日々のなかで、人が「暮らす」「働く」「生きる」ということを自問自答するようになり、「残された時間を誰かのために」という答えだけ握りしめて会社を退職しました。

これから目の前に何が起こってくるのか知るすべもなく新幹線に乗って盛岡に向かったのが2012年の夏のこと。盛岡に着いて、ふと会社員時代のお得意さまにはご挨拶をしたいと思い、お世話になった取引先の保育園へ行ったのがこの仕事に関わるきっかけとなりました。本当に人生には何が起こるかわからないですね。まったくの未経験、ゼロからの再出発で、翌2013年の春から盛岡のとある保育園で働き始めました。

2. 「自己否定感の連鎖」を「生まれてきて本当によかった」に変えたい!

会社員時代の交友関係といえば、経済状況が同じような方ばかり。またそれが日本人の暮らしだと思い込んでいました。保育園はさまざまな背景を持つ子どもたちがやってきます。事情があってほとんど収入のない家庭、育児に全く関心のない家庭……そのような家庭背景から生まれる子どもへの虐待、生きるための最低限の食事すら満足に与えられない子、体中あざだらけの子、この子たちの人生は、未来は一体どうなるのだろうと、日本の子どもたちの現実を目の当たりにしました。

児童虐待の家庭にほぼ共通するのが「生きていてもつまらない」「自分など生まれて来なければよかった」「あいつのせいで俺の人生はうまくいかない」といった自己否定感を保護者が抱いていること。そのようなマインドは生まれてきた子どもたちへ引き継がれていきます。「自己否定感の連鎖」ですね。子どもたちの明るい未来のためには、この連鎖を断ち切る必要があると強く感じました。

お母さん、お父さんたちが感じる自己否定感の要因はさまざまですが、「暮らしづらさ」「働きづらさ」が原因であれば私たちが解消を支援することができます。「生まれてきて本当によかった」と思える人生に変えたい!それがきっかけだったのです。

3. 「違いを違いとして認め合う」こと。たくさんの絵本の世界から学んでいく

私たちは日々の業務で二つのことを大切にしています。一つは子どもたちに対してもスタッフに対しても自己肯定感につながる会話を心掛けること。もう一つは「違いを違いとして認め合うこと」です。人生が多様性に富んでいること。そして人知を超えた無限のつながりの中でいま自分が生かされていること。これらの認識は、違いを違いとして認め合うことでしか養われない感覚だと感じています。

隣接する「モリオカえほんの森保育園」では入り口から絵本がお出迎え

家庭環境や性別、人種や国籍、私たちは意識的な選択ができないどうしようもないことで苦しめられることが人生の中では多々あります。でもそれが私たちの人生を決定しているのではないということを、子どもたちにもスタッフにも伝えたいですね。

人生を豊かにしていくのは、生まれたあとの選択にあると私は考えています。自分の意志で選択していく人生です。このことはルドルフ・シュタイナーの思想にもつながるところです。だから私は子どもたちにはたくさんの絵本が必要だと思っています。なぜなら、この世界が多様性に富んでいることを子どもたちは絵本を通して知り、イメージしていくからです。そこから自分の興味にしたがって「選択する人生」につながっていきます。

私たちが運営する保育園も、こども図書館プロジェクトも、子どもたちと保護者のみなさん、先生たちが自己肯定感と「違いを違いとして認め合う」ことを大切にしながら明るい未来を計画する場所であってほしいと願っています。このプロジェクトを通して、みなさんと一緒に夢を実現していければと思っています!


 

盛岡こども図書館プロジェクト Instagram
イベント情報のほか、盛岡市紺屋町にある本屋さん「BOOK NERD」の店主、早坂さんがこども図書館のためにセレクトした絵本と児童書を紹介しています。

関連記事
ハロリノ史上初! 公園のなかの新プロジェクトが岩手でスタート

<盛岡市中央公園 ビバテラス>
BeBA TERRACEプロジェクトのコンセプトは「あそびを学び、まなびを遊ぶ」。「Be」には「主体性を持って行動する」「あるがままに存在する」という意味を込めており、幅広い世代が新たな都市公園との関わりができる場「BA」を創造します。

住宅地として栄え、子育て世代が増加している盛岡市本宮エリアは、保育所に入れない待機児童問題の解決に加え、市中心部と隣接の矢巾町を結ぶ通勤ルートのため働く親が安心して子どもを預ける場所が求められます。こうした都市部の課題を解決するため、敷地内に保育園やフリースクールの拠点を備えた「こども図書館」を整備。地場産業と触れ合う場などさまざまな体験を通してあそびと学びをつなげ、運営協議会やテナント事業者、盛岡市が一体となってBeBA TERRACEの魅力化に取り組んでいます。

※BeBA TERRACEにおける中央公園整備事業は、盛岡市と民間事業者が協定を結ぶPark-PFI(公募設置管理制度)によって進められています。
https://bebaterrace.com

ハロリノSTORIES一覧へ戻る

人気記事