「場づくりでの学びが移住生活に生きている」投資家インタビューvol.18齊藤 美絵さん

ハロリノ投資家さんインタビュー連載。今回登場いただくのは、元ラジオパーソナリティで、現在“ツタエルヒト”やフードマエストロとして活躍する齊藤美絵さんです。「場ができる前からみんなの知見を活かし合う体験が新鮮で、プロジェクトに愛着が沸いていった」と、ハロリノを初期から見守ってくださっている齊藤さん。そんな彼女がいまハロリノに期待することとは――。

ハロリノ投資家 プロフィール
齊藤 美絵(さいとう みえ)さん
ツタエルヒト。 / フードマエストロ
大分県竹田市在住。ラジオパーソナリティ、ナレーター、MCなど声で伝える仕事とハワイの農産物・加工品をシェフやバイヤー、消費者に伝える仕事を経て、現在は、大分県竹田市にて地域おこし協力隊として、「人と地球に健やかな食」を伝えるお役目を務める。日本フラワーデザイナー講師、ナチュラルビューティスタイリスト、ウェルエイジングアドバイザーなどの資格を持つ。
出資先:葉山の古民家宿づくりファンド、京都五條楽園エリア再生ファンド(いずれも募集終了)
Instagram/ @saitomie
Twitter/ @saitomie
Podcast on Spotify/ Rainbow Bird

1. 地元の資源を大切に、人と地球に健やかな食を伝え、届けたい

――ラジオパーソナリティにフードマエストロ、フラワーデザイン、最近ではリトリート施設の立ち上げにも関わられていらっしゃるなど、齊藤さんの多才さ、アクティブさには本当に驚かされます。いまは大分県竹田市で地域おこし協力隊をされていらっしゃるそうですね。

2019年に、地元大分とのご縁が深まったタイミングで、「大分の魅力再発見!」をしていたのですが、竹田市にお住まいの方と繋がり、魅力的な人や場所をご紹介いただきました。当時、ハワイのマウイ島との2拠点生活を考えていたのですが、コロナの影響で一旦ストップに。

ハワイのオーガニックファームやタロファームにて

そのとき、ふたたび竹田市に足を運ぶ機会があって、次の扉を開く鍵となる方と話が盛り上がるうちに、私が東京のシェフの方々とつながりがあることや健やかな食を深めていきたいことなどから加工品開発など食の部分で地域をサポートできませんか?というお話になりました。それまで地域おこし協力隊という制度を詳しくは知らなかったのですが、その制度を活用して竹田市に住ませていただくことになりました。いまは地元の資源を大切に「人と地球に健やかな食を伝える。届ける。」ということを軸に畑などを走り回っています。

子ども食堂のようなかたちの子ども料理教室「竹田こどもキッチン」。 健やかな食の喜びを体感してもらえる場を届けたいと、有志のメンバーで工夫を重ねながら毎月開催

作物を収穫したり、城原八幡社の御神畑に伝統作物「岡大豆」の種まきをしたり。地域の方々と食や農業のプロジェクトに取り組み、大地の豊かさを実感する日々

大分県立久住高原農業高等学校の授業に参加し、地域の農業と食文化をテーマに話す齊藤さん

――以前、葉山で暮らされていた時期もありますよね。ハロリノを初期のころから見てくださっていて、ありがとうございます。

葉山には4年ほど住んでいました。すぐ近くに偶然、福田さん(エンジョイワークス代表)が住んでいて、よくホームパーティーを開いてくださるおもてなし上手なご近所さん宅に毎週のように集まって、それはもう親戚付き合いのようでした(笑)。福田さんは創業当時から、人を集めて輪をつくっていこうといろいろなことを企画されていましたよね。多肉植物の寄せ植えワークショップに始まり、逗子の建物をレンタルスペースに活用するという新しい展開でもお声がけいただいて。かたちにはならなかったのですが、父が所有する地元のビルをクラウドファンディングで何かできないかなと思って相談させていただいたこともありました。

私は不動産業界のことをまったく知らなかったのですが、一度知りたいと思ったらとことん見たいし、勉強したいタイプ。平野邸での数々のワークショップや鎌倉の無印良品とのイベント、UNKNOWN KYOTOや沖縄のプロジェクト候補地の視察など、広い視野で本当にたくさん見させていただきました。プロジェクトの軸の作り方、人の巻き込み方、コミュニティづくりなど、その時期の学びが、移住後の暮らしに生きていると感じています。

2. 場づくりプロジェクトへの参加は、子育てのよう

――その流れで平野邸とUNKNOWN KYOTOの投資家にもなってくださいました。投資のモチベーションにはどういったことがありましたか?

私の投資額はリターンを目的にした額ではないので(笑)。そちらの期待というより、その場がどのようになっていくのだろうという期待や興味、応援したいという思い、さまざまな体験への感謝など、いろいろな気持ちがありました。平野邸では、参加者のみなさんが当時3歳だった娘と一緒に庭を耕したり苗を植えたり、障子を貼り替えたりしてくださって。みんなでつくり上げることがすごく楽しかったですね。

京都では、判子をつくるワークショップに参加しました。まちや建物の歴史などのストーリーを聞いて、それを印に表現して壁の模様として残すというもの。家の新築記念に家族の手形を残す感覚と同じで、自分が関わったことを何か残しながら、素敵な空間をみんなでつくり上げることができたのも貴重な体験でした。

――お子さんが2、3歳と子育てが大変な時期も、楽しみながら参加してくださったんですね。

当時は15年続けてきたラジオの仕事から離れ、もっと自然豊かな環境で、子育てをしたいと考えていた時期でした。育児に善い場所や自分に合う場所、次の生き方を探していたので、平野邸のプロジェクトのように子どもも連れていけることはとてもありがたかったですね。京都は話を聞く時間も多かったので両親に見てもらいましたが、場づくりのプロジェクトは子育てと似ていますよね、関わるプロジェクトがどのように成長していくのか見たいという気持ちがありましたし、関わる人で、プロジェクトが変化していく姿も興味深いものでした。

3. また一人メンバーが加わるたび、新しい魅力が生まれる

――親心のように見ている感じだから、プロジェクトでも「人」に注目されるんですね。

ラジオでは「こんな素敵なお店ができました」「行列ができる話題のお店があります」といったように、物事が誕生してからのことを伝えます。でもハロリノの企画は言わば“妊娠期間”から関わってみんなの知見を活かし合っている。そこがすごく新鮮な経験で、関われば関わるほど愛着が沸いていきました。

人がすごく好きなので、こんなおもしろい人いるんだなとか、こんな表現をしているんだ、といったワクワクドキドキが増えていって。近藤さん(UNKNOWN KYOTOのプロジェクトリーダー)も以前お話をうかがったことがあるので、最近、IRのインタビュー動画を見て、「あ、がんばっている!」とうれしく思いました。平野邸も新しい方々がいろいろなかたちで関わっていることを知り、人のエネルギーがひとつ入ることで、また新しい魅力が生まれ、柔らかくていい雰囲気になっているなあと感じています。

――そういっていただけてとてもうれしいです。近藤さんのインタビュー動画は今回初めて企画したものです。年1度の財産管理報告書はどうしても堅苦しい内容になるため、3カ月に1度の運営レポートでは投資家のみなさんに運営者の声や日々のできごとなどをお伝えしていけたらと思っています。

今でこそファンドがたくさんあって気軽に投資できるようになりましたが、当時はまったく知らない世界で社会勉強を兼ねていたので毎年届く報告書に安心感がありました。かっちりしたものだけでなく、IRレポートがあるのはすごくありがたいですね。すごいなと思ったのは、コロナ禍でも成果を出していらっしゃること。投資してすぐにコロナが始まったので、こういった時代だからお互いが苦しくない流れになるといいなと感じていましたが、みなさん諦めることなく、挑み続けているのはすごいことだなと逆に学びになりました。

――そのように見てくださっているんですね。1口5万円という金額は投資のハードルに感じませんでしたか?

そうですね。当時は仕事を離れて子育て中心にと考えていたときで、海外との2拠点も視野に動いていたので、できる範囲で無理なく、とは考えました。でもお金は回るものだし、どんな仕事でもこだわらずにやればまた入ってくるという考えなので、お金に対しては不安に思ってもしょうがない、やりたいからやる!みたいな感じです。こうした考え方はラジオの業界に入って培われたものかもしれませんね。

長年ラジオの世界でパーソナリティとして伝え手を務めてきた齊藤さん

4. エネルギーが感じられる“アナログな手触り”が届くといい

――なんて男気のある…! ファンドが運用フェーズに入ってからのイベントや関わり方についてご意見をお聞かせいただけますか。

イベントは仕事が終わった時間に合わせて開催されることが多いので、子育て中だと参加が難しいなとは感じています。アーカイブ動画を見るときもありますが、それも重なるとなかなか見られなくて。

自分自身が加工所やリトリート施設の立ち上げに携わったり、今後のことを考えたりするなかで思ったのは、忙しくてイベントに参加できない人や距離が離れている人も応援し続けたくなるには「リアルな何か」が大事だということ。例えばいま平野邸などでEATLO(イートロ)という料理のサービスが始まりましたが、葉山でつくったハーブティーのサンプルがひとつ送られてくるとか、お手紙が届くとか、年に1、2回、みなさんのエネルギーがリアルに感じられるようなアナログな手触りのあるやりとりが出来たら素敵ですよね。

――素敵なヒントをありがとうございます。お便りが届くってうれしいですね。

この夏に竹田の大好きな作家さんが個展をされていたのですが、ご自身の作品をカットして作った100枚の紙のピースも並べられていました。お土産に1枚持って帰ってといわれて選んだ紙の裏には番号が書いてあり、「個展最終日の抽選会で当選した3人に作品を贈るから、それまで大事に持っていてくださいね」と。こういうのって無条件にうれしくなりますよね。

造形家の甲斐哲哉さんは「地球を、竹田を最も楽しみながら暮らしている創造家アーティスト」と齋藤さん(Gallery CONNECT PLUSでの個展にて)

裏に抽選番号が書かれた、作品の欠片

私はその紙を手帳に入れ、見るたびに個展を思い出してはワクワクしていました。そういったことがあると、またイベントに行きたくなったり、関わりたくなったりするかもしれませんね。私も自身のプロジェクトで大切にしたいことのひとつです。

――施設運営中は手間も時間もないことがやはり課題ですが、それでも運営者と投資家が繋がり続けられるような、まさに“手触り感”のあるものを私たちIRでも考えていけたらと思います。今日は本当にありがとうございました。

齊藤美絵さん(写真上)

ハロリノについて
空き家再生プラットフォーム「ハロー! RENOVATION」は、資金調達という空き家問題の根本課題にひとつの解決策を示し、みんなで空き家再生を加速させる仕組みづくりに取り組んでいます。想いを持って投資いただいたみなさんにファンドの運営状況を定期的に共有し、投資家コミュニティで交流できる機会を設けています。事業アイデアや応援の声をシェアすることで、より良い事業運営や場づくり、さらにはまちの活性化やまちづくりにつながると考えるからです。「共感投資」という形で想いを託したプロジェクトをぜひみんなで育てていきませんか。

これまでの投資家インタビューもご覧ください
https://hello-renovation.jp/hashtag/result/89

ハロリノ・ファンド一覧
https://hello-renovation.jp/projects

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