クラウドファンディングを活用した不動産特定共同事業は、地域に根ざしたまちづくりにおける有用な手段として広まりつつあります。事業のポイントは資金調達を可能とするだけでなく、地域住民をはじめとする多様な人たちが「共感」することで投資家として事業に関わる仕組みがある点にあります。時代の流れに応じた新しい投資のかたち、「共感投資」の考え方やメリットについて紹介します。

1. 共感投資とは

共感投資は投資先の理念や事業への共感を重視した投資のあり方です。投資家における投資判断の基準としてSDGsやESG（Environmental：環境、Social：社会、Governance：企業統治）を重視する流れが強まっているなか、共感投資も同様に、SDGsを踏まえて社会的に意義ある投資方法の一つとして注目されています。

共感投資における投資家は、一般的な投資に比べてリスクやリターンといった要素だけでなく、長期的な視点を持って投資先の事業が社会や環境にどういった影響を与えるかといった観点も考慮して意思決定を行います。ESG投資と大きく異なる点に、ESG投資は指標に基づいて投資先を選定する一方、共感投資は「共感」という自分自身の価値観に基づくことが挙げられます。

2. 共感投資のメリット

不動産クラウドファンディングにおける共感投資は、投資家だけでなく、空き家などの遊休不動産の利活用に関わるさまざまなステークホルダーにメリットがあります。ここでは、事業に共感して投資をする人、クラウドファンディングで資金を募り、不動産活用事業を起こす人、そしてその物件の地域に暮らす地域の人のメリットを見ていきます。
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投資家「事業づくりのおもしろさを体験」「社会課題の解決につながる」

共感投資の対象となる事業は、投資するだけでなくイベントなどで事業参画する機会が多く設けられているため、利益を追求しながら事業オーナーとして企画段階から事業づくりのおもしろさに触れることができます。また、投資先によっては地域活性化や教育、環境保護といった社会が抱える課題の解決に寄与することもできます。

事業者「地域のステークホルダーとの繋がりやサポートが期待できる」

遊休不動産の利活用事業の資金調達は自己資金に依存するケースが多く、金融機関を頼っても老朽化を理由に融資が受けられないことが多々あります。また、一般的な事業と比較してリターンが低く総額が大きくないことから、地縁のない大企業が取り組むことは困難といえるでしょう。こうした資金調達問題においても、地域住⺠や地域企業といったステークホルダーと繋がり、サポートが期待できるような共感が軸の事業であれば資金調達を行えるケースが少なくありません。

地域住民「防災や防犯、景観、公衆衛生の不安が解消」「地域活性化」

空き家を放置すれば、防災や防犯、景観、公衆衛生の観点から地域に悪影響を及ぼしかねません。たとえば有休不動産の利活用事業が観光客向けであれば、地域ぐるみで取り組むことで地域活性化が期待できます。多様なステークホルダーが集うためコミュニティが盛んになり、住みやすさへとつながる点も利点といえるでしょう。

メリットがある一方で、共感投資もほかのクラウドファンディング同様、いくつかのリスクが伴います。投資対象となる企業や市場の状況をよく理解し、リスクとリターンのバランスを考慮することが大切です。

3. みんなで空き家再生を加速させていくために

不動産クラウドファンディングの歴史は浅く、国内のクラウドファンディング全体の市場規模（約1840億円・2020年度）と比較すると、市場規模はいまだ小規模です（約85.6億円・2020年度）。地域の空き家などを活用して人口減や高齢化社会に対応したまちづくりを進めていくためにも、地域や関係人口の共感を集めて資金調達する投資型の不動産クラウドファンディングへの期待は高まっています。

まちづくり共感投資ファンド「ハロー! RENOVATION（ハロリノ）」は、資金調達という空き家問題の根本課題にひとつの解決策を示し、みんなで空き家再生を加速させる仕組みづくりに取り組んでいます。これまでに再生された建物は、使われなくなった古民家や蔵、廃工場、山小屋、元遊郭建築など多岐にわたります。

想いを持って投資いただいたみなさんには、ファンドの運営状況を定期的に共有し、投資家コミュニティで交流できる機会を設けています。事業アイデアや応援の声をシェアすることで、より良い事業運営や場づくり、さらにはまちの活性化やまちづくりにつながると考えるからです。「共感投資」というかたちで想いを託したプロジェクトをぜひみんなで育てていきませんか。

共感ポイントをチェック！ 投資家インタビューへ
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