【ハロリノ訪問記】西会津町 2017

「大正生まれの老舗旅館」でプロジェクトを募集した、福島県西会津町の通称蒲生館。「住民やバス利用客の待合・交流スペース」として利活用をすることが決定。2017年の秋から、具体的に空間のリノベーションを始めるということで、ハロリノ隊が秋の西会津町を訪ねました。
11月には、早くも小雪が舞い散る中、プロジェクトリーダーの熱い想いと、みんなで町を活性化させようというチームワークの良さがとても印象的でした。

いざ西会津!蒲生館リノベーションイベントに参加?

リノベーション計画図面

第一回目の蒲生館リノベーションイベントは、解体ワークショッ プ。蒲生館は高速バスのバス停の前にあるので、まずはバスの待合 所的コミュニティスペースをつくることを目指しています。人が入りやすいように、土間空間をつくり、また二階の一部の床を除去して大きな吹き抜けを設ける計画です。
このプロジェクトは、リーダーの矢部さん・佐々木さん(西会津 芸術村)福田さん(花巻市地域おこし協力隊・リノベーション専門 大工)荒海さん・間瀬さん・池田さん(西会津町地域おこし協力 隊)・横山さん(元西会津町地域おこし協力隊)の皆さんが中心に、さらに地元の有志がサポートしながら進めています。

解体ワークショップ後の蒲生館

実際に解体ワークショップに参加し、レポートしようと鎌倉から 意気揚々と向かうも、いくつものハプニングがあって到着が夜に。。。翌朝、チームのメンバーが昨日の成果と今後の計画を検討されている現場を訪問致しました。
夏に拝見した時とは、まったく異なった空間になっているではありませんか!広々とした土間が現れ、2階の床を撤去したことで、 とても明るい空間になっていました。もともと居間だったところの 建具がとても印象的になり、家の中なのに、外のような空間になっ ていました。蒲生館オーナーの蒲生さんにもお会いできました。蒲生さんは今は西会津にはお住まいではないものの、愛着あるこの建物を西会津のまちのために使ってくれるならと、このプロジェクトに全面協力されています。元々は、リノベ専門大工の福田さんと蒲生さんが出会ったことがきっかけではじまったこのプロジェクト。人の縁を感じずにはいられません。

第二回は雪の中、熱い思いでつながるDIYイベント

11月に行われたDIYの様子

次の蒲生館でのDIYが11月に開催されることになり、再度西会津を訪ねました。ハロリノ隊ゲストに、物件ファン(株式会社 OND)の近藤さん(ハロリノインタビュー記事はこちら)をお迎えして。ハロリノ隊はエンジョイワークスだけではなく、サポーター の皆さん・プロの皆さんにも「参加の輪」を広げていきます! もうすぐ冬という時期とはいえ、まさかの雪模様。もしかして中止かなと思いながらも蒲生館に。ですが、現場はとても熱気に包まれていました。すばらしいチームワークで仕事をされている皆さん。 日頃から真剣に、そして楽しく西会津町のことを考えている仲間だからこその信頼関係のたまものなのでしょう。

11月に行われたDIYの様子

最初から一部を解体してこのおおらかな空間になっていくことを イメージできていたのかと矢部さんにお尋ねしたところ「はい」と のお答え。ランドスケープデザイナーの矢部さんだからこその想像力なのですが、これをチームのみなさんにも伝えていくコミュニケーション力も素晴らしいのだと感じました。
当日は一部外壁が壊れてしまっているところの補強のほか、待合スペースになる空間の壁をギャラリーとして使えるようにと、展示ボックスを設置。すべてDIYで行なっています。土間の空間に植栽を植えたいと矢部さん。家の中に樹木なんて面白すぎますが、場成長とともに樹木も成長していくことでしょう。次回は雪がとける頃に。2018年には一部の機能をオープンさせていく予定です。

ハローRENOVATION 蒲生館再生プロジェクト
蒲生館プロジェクトHP

アーティストが集まるまちづくりの拠点「西会津国際芸術村」

廃校をリノベーションした「西会津国際芸術村」

翌日、まちづくりメンバーの拠点となっている「西会津国際芸術村」へ。廃校になった木造校舎をリノベーション。現在、矢部さんが館長を務めていらっしゃいます。美しい校舎の2Fは主に展示スペース。1Fにアトリエ。地域おこし協力隊のみなさんも事務所・作業場として使っています。近くにある住宅と合わせ、アーティストインレジデンスとして利用されています。 アーティストには、住まいやアトリエを無償提供してもらえる抜群の創作環境。その代わりに、地域の活動などに積極的に協力していただくことが 条件になっています。アートがコミュニケーションのツールとなり、新しい地域との交流を生み出す。西会津というかなり田舎のまち!に、最先端とも言えるような場があるんです。

西会津国際芸術村の「自分カフェ」

西会津国際芸術村には「じぶんカフェ」というコミュニティスペースがあります。その名の通り自分でお茶を入れてくつろぐ場なのですが、非常に居心地のよいリビングのような場所に。ここで、ハロリノ隊は矢部さんそして西会津の皆さんが描く、今後のまちづくりついてレクチャーを受けました。西会津の産業構造や地勢、歴史まで深く掘り下げた上で、地域の魅力を再構築し、例えば「幻のレストラン」「草木をまとって山のかみさま」などの参加しやすいイベントとするとともに、人が集える場所として、マ チ・ムラ・ヤマの拠点をつくる。西会津を本当によいまちにしたいという 熱い想いを、ここでも感じることができました。
矢部さんはカナダや上海でも活動されていたランドスケープデザイナー。 前職でもチームを率い、世界的な企業の施設のデザインをコンペで勝ち取ったりするなど、活躍されていました。震災をきっかけに、生涯の研究テーマとされている故郷の西会津に家族と一緒に戻り、その経験と豊富なアイデア、リーダーシップで、西会津のまちづくりを引っ張っていらっしゃいます。

西会津国際芸術村HP

大自然と生きる。プロジェクトリーダー矢部さん宅を訪問

矢部さん宅周辺の景色

ということで、その矢部さんのご自宅にもハロリノ隊は訪問させていた だきました!西会津は広い。東京都23区と同じくらいの広さなんだそうで、そこに人口は6,500人。東京都区部が約910万人なので、一人当たり東京の1400倍の土地を使うことができる計算です。考えさせられますよね。
矢部さんのご自宅はそんな広い西会津の奥川というエリアにあり、最も奥に位置しています。目の前には、もともと棚田だった大地、遠くの山々がとても綺麗に眺められ、夜になれば宇宙のような空が広がっている。もっとも山に近い里ですから、クマもイノシシもくるそうです。「最前線で害獣と戦っているから、里の人は困らないんですよ」と矢部さん。笑い事のような気もするし、本来の自然・まちとはどんなものなのか考えさせれたりします。

桂の葉っぱをお香にするワークショップ

矢部さんのご自宅は、1600年代に建てられたという建物をリノベーションし続けて今も健在。矢部さんご家族が暮らし始めてから、まずはLDKとなる部分をリノベーションされています。家の入り口の土間部分は、ワークショップが行えるような広めのスペースにリノベーション。先日は伝統的な桂の葉っぱをお香にするワークショップが開催されたそうです。
ご自宅には他にもいくつかの建物があります。矢部さんはこれらの建物を中心としたゲストハウスを計画されていて、近くの民泊と連携し、ここを西会津における「ヤマの拠点」とされる予定。目の前の元棚田も、田んぼとして復活させると「一番搾り(山から最初に流れ出てきた湧き水)で育てた米」になるそうで、これもハロー!RENOVATIONで遊休不動産として、プロジェクト化していきたいですねとお話ししたところで、時間となりました。
今回も、面白いまちには面白い人がいる。そんなことを改めて感じた旅 となりました。春になったらまた西会津に参ります。

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