城下町にカフェとバリ舞踊スタジオが!築100年の古民家にバリの家具のコーヒー屋「かぴばらこーひー」

プロジェクトの概要を教えてください。

かぴばらこーひーとバリ舞踊スタジオJukung(ジュクン)は、築100年以上(正確には不明)の建物をリノベーションして、2014年夏に完成したカフェとスタジオです。

東京からiターン移住で勝山に来て、地域の皆さんや地元の職人さんの力を借りながら、約半年の改装期間を経て誕生した場所です。城下町の町並み保存区の真ん中あたりにあるこの物件はクリーニング屋さんの跡を改装したものです。川沿いの築100年の古民家をカフェに。町並み保存区側にある築約35年の物件をバリ舞踊スタジオと住居にしています。

カフェ「かぴばらこーひー」では、お客様一人一人の心に寄り添うようなコーヒーを淹れるという思いを大切に、地元のお客様、観光できたお客様を温かく迎えています。岡山県北の湧き水を使って淹れる無農薬コーヒーは、とても綺麗で雑味のない味わいです。オーガニックにこだわった「レモンコーヒー」もかぴばらこーひーの看板商品です!

表通りに面した母屋一階部分は、観光客なども通る立地で、自宅の部屋にしても落ち着かないのではと思い、思い切ってバリ舞踊のスタジオにすることにしました。バリ島で買い付けた建具が古い町並みにマッチして、ガラス張りの開放的な空間になっています。現在スタジオの生徒さんは12名。2018年2月には第一回目の発表会を開催。

プロジェクトが始まったきっかけは何でしたか?

東京で暮らしながら、いつかはカフェを開きたいと思っていましたが、家賃の高さなどを考えたときに、自分の暮らしと事業のバランスが取れるのだろうかとなかなか行動に起こせずにいました。

東日本大震災を機に、東京を離れるという今まで考えたこともなかった選択肢が浮かび、西日本への移住を検討しはじめます。1年間いろいろと検討した結果、移住者も多く、東京へのアクセスも良く温暖な気候の岡山に惹かれ、暮らし替えをすることに。当初は瀬戸内の海の見えるカフェを開くイメージでしたが、いろいろなご縁が繋がり、岡山の北の城下町でカフェを営むこととなりました。

プロジェクトを始めるにあたって、どのような工夫をされましたか?

今まで全く縁のなかった地で事業を始めるというのは、想像以上に大変なこと。私が主になって地域の皆さんと繋がっていかなければいけません。勝山で仲良くなった友人が「大きなところに一括して工事を頼むのではなく、それぞれの職人さんが個人個人でしているところへ工事をお願いしたらいいよ。職人さんも個人事業で自分で看板を背負ってやっているから、この先も小谷野さんの気持ちを分かってくれるし、そういう繋がりを大切にしたらいいよ。」とアドバイスをくれました。

なので、大工さん、左官さん、電気工事、水道、基礎のコンクリなど、それぞれの職人さんに仕事をお願いしました。約半年の工事期間を通して、それぞれの地元の職人さんと色々な話をすることができましたし、細かい希望も聞いてもらうことができました。知らない土地でこれから新しいことを始めようと思っている私にとって、職人さんたちの存在がどんなに心強かったことか。

工事中は色々な不安を相談したり、一緒に休憩中にコーヒーを飲んだりしたのが良い思い出です。今ではカフェにお客様として来てくれたり、少し直したい箇所の工事をお願いしたりと、今でも心強い存在です。
プロジェクトを始めるにあたって、大変だったこと・失敗談を教えてください。

予算の都合上、できるところは自分で、できないところは職人さんにお願いするという考えで改装をスタートしました。バリ舞踊のスタジオ部分がある母屋と、奥の川側にあるカフェ部分、2つの建物の改装は思った以上に大変でした。

まず、母屋のから改装をはじめましたが、「こうしたい!」というイメージはあったものの、不用品の片付けや解体した壁などの片付けをしながら「本当に良くなるのだろうか」と何度不安に思ったことか。空き家を改装するのは人生で初めての経験。もともとインテリアは大好きだったのですが、空き家を改装した経験などないので、毎日これで良いのか不安と戦う日々でした。汲み取りのトイレを水洗にするところからの工事だったのですが、お風呂も母屋の外にあったため工事の初めに解体しました。

住みながらの工事で、近くのアパートを引き払ってこの物件に住み始めた時は、水洗トイレと手洗い、ベットの置ける場所だけが使える状態。台所ができたのは一ヶ月後、念願のお風呂が完成したのは約3ヶ月後でした。
起こった困難・問題をどのように乗り越えましたか?

ベットの置ける場所を確保するべく、母屋2階部分の古い畳を処分し地元の杉板を貼り、壁は全て自分たちで漆喰を塗りました。移住した先で仲良くなった友人にも助けられ、杉板のフローリングの部屋と真っ白な漆喰の壁の部屋が完成。その部屋の姿を見たときに、改装を始めてからずっと思っていた不安「本当に良くなるのだろうか?」はスッと消えてなくなりました。家というのは、床と壁を変えるだけてこんなにも生まれ変わるんですね。本当に驚きました。真っさらな空間になったこれから自分の住む部屋を見たときに、これなら大丈夫!とまだまだ続く改装作業へのモチベーションが高まりました。

 

物件との出会いを教えてください。

東京の持ち家(一戸建て)を売却し、退路を絶って岡山へ移住を決意。勝山でアパートを借りて仮住まいをしながら、関東から移住して勝山でパン屋を営んでいるタルマーリーで研修生としてカフェで働いていました。

岡山に友人も、親戚も、知り合いも誰一人いなかったので、カフェを開きたいと思っていても、何の足がかりもない状態。勝山にすごいパン屋さんがあると聞いて訪問した時に、岡山の海の方ではなく、山の方にもこんな綺麗な町があるんだなぁと思いました。すると、タルマーリーが研修生を募集するという知らせが。このタイミングだ!と思って、研修生に応募することに。(研修期間3ヶ月)これを縁に、岡山県内でいろんな人と繋がりを作り、最終的に海の方でカフェをしようと思っていました。

勝山はとても綺麗な場所ですが、冬は雪も降りますし、無名の私が商売をやるには厳しい立地と感じていたためです。ところが、タルマーリーで研修しながら勝山に住んでいるうちに、勝山に住む皆さんの温かさや優しさに触れ、この町が大好きになりました。見えない優しい糸で緩やかにつながるような勝山の皆さんたちの絆。地域、家庭、会社、趣味とそれぞれの世界がきっぱりと別れていている価値観しか知らなかった私は、こんな暮らしもあるんだなと感動しました。自分たちが住んでいて楽しい町にしたい!そんな風に思い暮らしている皆さんのそばにいたい!そう思って勝山での開業を決意。

何のツテもない私でしたが、地元の方が空き家探しを手伝ってくれることに。地元の方のサポートのおかげで今の物件に出会うことができました。

 

どのような方法で物件を入手しましたか?
地元の方がサポートしてくれたおかげで、城下町の町並み保存区の中の、旭川沿いの物件に出会うことができました。地方で空き家を探すということは、いきなり探そうと思ってもうまくいかないと思います。

私もパン屋さんの研修生として3ヶ月勝山に住み、地元の方との関係ができたからこそ紹介してもらえたのだと思います。そもそも、どこが空いていて、持ち主が誰かを調べる術もありませんでした。私のこの町でカフェを開きたいという思いを応援してくれた地域の皆さんがいたからこそ、今の大家さんにご縁をつなげることができたのだと思います。

この物件を初めて見たとき、何も考えずにここをこうして、ここはこんな風に…と生まれ変わった後のイメージが湧いてきたのを覚えています。ここだ!と運命的な物件との出会いを感じました。大家さんに、この物件がとっても気に入ったからどうしてもお借りしたい!とお願いし、この物件での新しい生活が始まりました。

 

リノベーションのこだわりについて聞かせてください。

自分たちの家、自分のお店なので、全てにおいて関わっていきたいと思いました。もともといつかは注文住宅を建てたいと思うくらい住まいやインテリアへのこだわりが強く、予算の都合もあり、リノベーションのデザインは全て自分で考えました。

コンセントの位置や、照明の位置、照明をつけるスイッチの位置や形の一つ一つにもこだわりました。なるべく体に負担をかけない素材を使いたくて、壁は漆喰、黒板塗料はオーガニックのもの、床板は地元の杉板の無垢材、ワックスも天然のミツロウワックスや柿渋などを使用。お店も自宅もスタジオも、「どこかにありそう」ではなく、「ここにしかないオリジナル」なものを作りたいと思い、家具は直接バリ島へ買い付けに行き、カフェ・自宅のデザインや間取りは全て自分で考えて職人さんと相談し、毎日工事しながら作り上げました。

古い物件だったので、工事しながらの方向修正が必要な場合も多々ありましたが、その都度大工さんと、ここはこんな風になったけどどうする?、それだったらこんな風にできますか?というように相談しながらリノベーションを進めました。
物件ギャラリー

カフェの風景1

カフェの風景2

カフェの風景3

岡山県北の湧き水を使って淹れる無農薬コーヒー

オーガニックにこだわった「レモンコーヒー」

こだわりのコーヒー豆

バリの家具

スタジオの風景

Via LIFULL HOME’S空き家バンク・みんなの空き家!活用Collection

https://www.homes.co.jp/akiyabank/usecase/detail/12/

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