実家じまい?いえいえ、帰りたくなる宿にして残そう! 地域に開かれた「みんなの実家」を目指して
実家を相続しても住まない人が増え*1、住み手を失ったまま年数が経ち、賃貸や売却すると決めたときには修繕費がかさんでしまうことも。思い出のつまった実家を手放すこと、“実家じまい”を決断するのは簡単ではありません。こうした背景から、空き家になる前に住み手や利用者を見つける新サービスが続々と登場しています。この連載では、住み手を失った古民家を地域に開かれた宿「平野邸 Hayama」としてみんなで守り育てていくプロジェクトの進捗をお伝えします。今回のテーマはコンセプト。「誰もが気が向いた時に帰ってくることができる、“実家”のような場所」とは? (最終更新日 : 2022年11月25日)
おばあちゃんちに帰ってきたような気持ちになる‟家”に
ハロリノプロデューサーの佐藤です。日本の暮らしをたのしむ、みんなの実家プロジェクト。今日はコンセプトのお話の続きです。
前回の記事はこちら
日本の暮らしを楽しむ葉山の平屋、みんなでつくる空き家再生プロジェクト始動
平野邸は「日本の暮らしをたのしむ」ということが重要なコンセプトですが、もうひとつ大切にしていることがあります。それは、みんなが実家に集うようにくつろぎ、人がつながる場所にすることです。
私たちが地域に開かれた宿として残そうとしているこの平野邸は、初めて訪れた人にも「ただいま!」と言わせてしまうような懐かしささえ抱かせます。それはきっと長い歳月を経た、和の設えの持つ温かみのおかげなのでしょう。経年劣化はしていても、長年丁寧に手入れされていたことが分かります。そして、平野邸のある葉山町の豊かな自然が、さらに訪れる人を懐かしく心地よい気持ちにさせてくれます。
この景観を守るために活動されているNPO法人「葉山環境文化デザイン集団」。ある日、代表である高田さんの元へ、とある古民家のオーナーさんから「この家をどうにか残せないか」と相談がありました。「そういうことならば」と、湘南エリアを中心に活動を行ってきた、私たちエンジョイワークスをご紹介いただきました。
「この家とオーナーさんの思い出を大切にしたい」
私たちはこの場所をただ綺麗にリノベーションされただけの施設にするのではなく、みんなで丁寧に使いながら育てていきたい。誰もが気が向いた時に帰ってくることができる、“実家”のような場所にしていきたい。そんな想いをもってプロジェクトが始まりました。
縁側のある部屋。長い縁側。
なつかしい絵本。
陽だまりがきもちよくて、思わず昼寝したくなる窓辺。
くつがいっぱいの玄関。
9月のイベントをしたときには、お盆に実家に帰ったみたいでした。私たちは、この家を単なる宿ではなく、「地域の実家」に、そして「みんなの実家」にしたいと思っています。このおばあちゃんちのような家には、地域のひとがつかえるスペースをつくる予定です。
一棟貸しの宿と地域交流拠点。二つの顔を持つ平野邸では地域の人たちが宿泊者と交流を楽しむことが当たり前の風景になっていくでしょう。古くなった建物はDIYイベントでさらに過ごしやすくなり、雑草が茂った庭はたくさんの人の手で耕されて花や野菜が植えられます。
そこでは、日本の暮らしにまつわることができます。梅ができたら梅仕事をしたり、秋にはさんまを焼いたり。シェア畑をつくって地域のみんなが育ててもいいし、旅行にきた人が植えて、収穫できるころにまた泊まりに来てもいい。旅行に訪れた人はそんな地域のみなさんと交流することもできるし、葉山の暮らしを体験することもできるのです。
地域で暮らす人、地域が好きな人の思いと出資で空き家を再生する
平野邸周辺にも、役目を終えた建物が地域を元気にする拠点となった事例があります。そして、こうした私たちハロリノならではの参加型の遊休不動産活用の取り組みは全国に広がっています。
遊休不動産再生プロジェクト一例
・古くて小さな蔵を一棟貸しの宿に(神奈川県葉山町)
・廃工場をクリエイターが育つ地域拠点、シェアアトリエに(神奈川県逗子市)
・中銀カプセルタワーをマンスリーカプセルで再生(中央区)
・能舞台のある古民家を企業研修所と地域活動施設に(神奈川県鎌倉市)
・元遊郭を泊まって食べて働ける複合施設に(京都府京都市)
・150年の蔵を古いけどいいものを散りばめたダイナーに(長野県松本市)
・門前の古民家を地ビール製造所と創業支援シェアキッチンに(大阪府藤井寺市)
・乗鞍岳の山小屋を登る人も登らない人も楽しめる場に(長野県松本市)
・ビルの空室をだれもが自由にアートを楽しめるラウンジに(大阪府大阪市)
これらのプロジェクトに共通しているのは、みんなのアイデアが反映された事業計画で再生・利活用する物件に、たくさんの人たちが少額の資金を投じてプロジェクトを応援していることです。
投資という言葉とお金を増やすためにするイメージが強く、地方創生やまちづくりに結び付きにくいかもしれません。でも環境や社会貢献を重視するESG投資が注目されるようになり、投資という行為が短期的な利益追求だけでなく、持続性のある経済成長を求める流れに変わってきています。空き家問題を解決するにも、一過性の補助金ではなく、一人ひとりの共感による行動や投資が大切なのです。
もし興味のあるプロジェクトを見つけたら、ぜひイベントに参加したりSNSをチェックしたりして、みんなで活用策を考え、ときには訪れてその土地の暮らしを楽しみ、第二のふるさと、第三のふるさとをつくっていきましょう!
現在、参加募集中のファンドプロジェクトはこちらからご覧いただけます。
https://hello-renovation.jp/projects
【終了しました】
平野邸の次回イベントは12月14日、DIYを行います!
みんなで宿づくりvol.4古民家の手入れを学びながら、DIYライフを楽しもう!
イベントページ:https://www.facebook.com/events/767289390417207/
日時:12月14日(土)10:00~12:30
場所:旧平野邸 葉山堀内1833
費用:無料
申込:https://ewform.enjoyworks.jp/index.php?id=89
持ち物:当日は寒くなることが考えられますので、どうぞ暖かい恰好でお越しください。また、汚れても良い服装でお願いいたします。持ち物は特にございませんが、できたら軍手など!
※駐車場はございませんので、公共交通をご利用ください。お申し込み頂いた皆様には詳細なご案内をお送りします。
※本案内に記載のイベントでは、ご紹介する投資商品等の勧誘を行う場合があります。
【当日内容】
・障子の張り替え
・木部の磨き
・本棚づくりについてアイディア出し
・プロジェクトに関するおはなし
https://www.facebook.com/hiranoteihayama