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乗鞍岳「冷泉小屋」再生に学ぶ、オンライン時代の仲間づくり

ハロリノ編集部

地域に入って何か新しいことを始めようと思ったとき、応援し、時におもしろがって一緒に取り組んでくれる仲間の存在ほど心強いものはありません。
そんな仲間はどうやったら集めることができるのでしょうか?
クラウドファンディングを活用し、空き家になっている山小屋の再生に挑戦している村田さんご夫婦にお話をお聞きしました。

事後報告で始まった山小屋再生計画

長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる乗鞍岳の中腹にある山小屋「冷泉小屋」。小屋のすぐ脇に湧いている約4℃の硫黄冷泉が名前の由来です。2006年に閉鎖し、それ以来空き家となっていました。この冷泉小屋再生プロジェクトのリーダーである村田淳一さんは、都内の映像制作会社のプロデューサーとして働いています。2018年に仕事を通して冷泉小屋に出会い、この小屋を残したいというオーナーの強い思いに心打たれ、経営を受け継ぐことを決意しました。

もともと山が好きだった村田さん。週末、登山を通して自然に触れることで仕事とのメリハリが生まれることを身をもって体験していました。

“ 時間が分断して意識が前後で変わるんです。
歩き始めて最初の1時間くらいは仕事のことや辛かったことをずっと考えて、気持ちの滓(おり)が表面に出てくるんですが、歩いているうちに無になる。考えているようで考えていない状態になり、そのあと頭がすっきりする。 ”

出典:プロジェクトはどうやって生まれるのか | 日本初の山小屋再生が始まるまで #冷泉小屋再生プロジェクト

「登山人口の高齢化が進む一方、AIの普及に伴って産業が変化していく時代に登山のポテンシャルは高い」と考えた村田さん。自分の体を使って自然に触れ合いたいというニーズが今以上に高まっていくなかで、登山はぴったりのレジャーです。

「登山を楽しむ人のすそ野を広げたい、山好きを増やしたい」

そんな想いから、冷泉小屋をリノベーションし、便利で快適な新しい登山の拠点をつくるプロジェクトが始まりました。
あまり知られていませんが、山小屋経営は世襲制が基本とされています。移譲の手続きは林野庁や小屋のオーナーにとっても初めてのことでした。また建築のこと、資金のこと、運営のことなど、すべてが手探り。

(左が村田さん、右が冷泉小屋オーナーの筒木さん)

村田さんを陰ながら支えているのが、奥さまである宇野さんです。広告コミュニケーションが本業の宇野さんは、小屋の情報の打ち出しやファンとの交流をSNSを使って行っています。まさに夫婦二人三脚で歩んできたように見えるお二人ですが、山小屋の購入については事後報告だったとか!

「実は私は別に山が好きなわけではないんです。でも、もうやるしかなかったので」と笑いながら話す宇野さん。そんなスタートでしたが、村田さんのプロジェクトに懸ける姿を一番近くで見ているからこそ、一番の味方となり、SNSでの発信などができるのではないでしょうか。
夫婦のプロジェクトとして発信することも考えたそうですが、やはり村田さんの山への強い思いがあって成り立っているプロジェクトのため、村田さんを主役として全面に出し、宇野さんはサポートに徹しています。

オンライン時代の巻き込み方

宇野さんの強力なバックアップにより、FacebookやInstagram、TwitterなどSNSを中心に複数の媒体でプロジェクトの情報を発信し続けています。

企画を立ち上げたのはいいものの、その後の動きが外から見えなくなってしまうプロジェクトはたくさんあります。宇野さんはそうした事態を避けるために、些細な内容でもいいから投稿を続けるように心がけているそうです。

「プロジェクトに動きがあることをイベントの参加者や視聴者に分かっていただくことが大事なので、そのために定期的な発信をするのがSNSの役割だと思っています」と宇野さん。

(様々な媒体でプロジェクトの様子が日々アップされています)

こうした発信のおかげで、プロジェクトに興味をもつ人が日々増えています。
さらにコロナ禍でのリモート会議の普及なども追い風となり、イベントもオンライン化することで、より多くの人に参加してもらえる状況が生まれました。
村田さんにとって、このようなオンラインでのつながりは決して意識的につくってきたものではありませんでした。しかし実際にオンラインでイベントをやってみた結果、そのメリットに気づきました。

「リアルイベントならせいぜい20名程度しか参加できず、1回のイベントのインパクトは小さい。オンラインイベントやSNSを通じて、より広く知ってもらう可能性はむしろ広がった」と村田さんはオンラインイベントの手ごたえを感じているようです。

(オンラインイベントの裏側。配信を担当したエンジョイワークスのスタッフ)

現在、冷泉小屋再生プロジェクトでは次の5つのツールをつかっています。
1.Facebook(冷泉小屋再生プロジェクト
2.Instagram(reisen_hutte
3.Twitter(乗鞍 冷泉小屋再生プロジェクト(公式)@NORIKURA_Reisen
4.YouTube(冷泉小屋
5.note(冷泉小屋広報部

それぞれの特性を活かしつつ連動させることで、より効果的にコミュニケーションをとることができます。たとえば最近では、興味関心が近い人と交流が楽しめると話題の音声メディア「Clubhouse(クラブハウス)」にも早々に個人で参加。山が好きな人とつながり、そこからInstagramやTwitterのフォロワーが増えたそうです。

宇野さんとしては、もっと動画での発信を強化したいと考えています。広報全体として、よりプロジェクトの日々の動きを伝える方法を模索中です。

それでも大切なオフライン

複数のツールを使い分けながら発信し続けるのは大変そうですが、すべてを二人だけで運用しているわけではありません。村田さんの考えていることなどを丁寧に綴っているnoteは知人が発案し、自らインタビューと執筆を行っています。こちらの知人がプロジェクトに興味を持ったきっかけは、実際に山小屋を訪れたことでした。

「オンラインとオフラインが行ったり来たりしながら、いろいろな人が巻き込まれている。重層的に参加の状況が起こっている」と村田さんが言うように、現地に来た人がSNSへ感想を投稿し、それを見た人がイベントに参加するような流れも起きています。

イベントにもゲスト出演した 「ハシケン」こと橋本謙司さんは、乗鞍を愛するスポーツジャーナリストでありサイクリスト。冷泉小屋で出会い、いまでは冷泉小屋再生プロジェクトのメンバーとして、主にサイクリスト向けのコンテンツを一緒に考えています。

(橋本謙司さん。「ハシケンさんと語る!乗鞍と冷泉小屋とサイクリスト」というイベントを開催)

環境技術系のエンジニアである倉田眞秀さんは、ハシケンさんの発信を見てイベントに参加しました。その後、冷泉小屋のインフラを整備するうえで頼もしいアドバイザーとして、今度はご自身がイベントに登壇しました。

(右が倉田さん。YouTubeライブで開催したイベントではチャット欄もにぎわいました)

現在は都内に住んでいるお二人ですが、今夏には乗鞍との二拠点生活を始めることを考えているそうです。よそ者としてではなく、地域の方々とつながりをつくりながらプロジェクトを進めていきたいと語ります。

これからも余白をもって柔軟に

冷泉小屋のオープンに先立って、2階のダイニングスペースのみ年内に営業を開始する予定。当初はすべての工事が完了してからオープンする予定でしたが、夏のオープンに間に合わないことが分かりました。そこでこのように段階的に営業を始めることにしたのです。
ハシケンさんや倉田さんとの出会いも、もちろん想定外のできごと。村田さんは「進めながら変えればいい。まずはやってみる」と、状況をみながら柔軟に対応していく前向きな姿勢です。

「自分たちで枠を決めすぎると他の人が入ってくる余裕がなくなる。ちょっとしたゆとり、幅があった方が柔軟に進むと感じています」と村田さんは、まだまだどんな人が仲間に入ってくれるか分からないからこそ、余白を残すことでプロジェクトの可能性を広げます。

まとめ

山への想いから動き出した冷泉小屋再生プロジェクトでは、いよいよクラウドファンディングがスタートします!
これからどんな場になっていくのか、どんな仲間が増えていくのか。あなた自身がプロジェクトの一員として、冷泉小屋の再生に参加してみませんか。

村田さんは別のインタビューでこのようにも言っていました。

“ 参加型というのは、いろいろな人が交わることなんです。このプロジェクトの参加者は以前から知っている知り合いだけでなく、立ち上げてから初めて出会う人も多いんです。そんな人たちとこのプロジェクトをきっかけに会話して意見を交わせるのがおもしろい。

実はプロジェクトの進行だけでなく、冷泉小屋自体をそういう場にしたいんです。さまざまなバックグラウンドの人が交わり、カルチャーの話ができる場所。登山の人が登山の話だけをする場所ではなく、自転車の人と交わったり、登山初心者と交わったり。 ”

出典:山小屋再生の手順を考えてみる #冷泉小屋再生プロジェクト

山小屋で知り合った仲間たちと鍋を囲みながら乾杯し、夜通し語り合う……そんな未来にグッとくる方、お待ちしています!

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