購入型と投資型、 二つのクラウドファンディングで仲間を探す。冷泉小屋再生プロジェクトのおカネの話

長野と岐阜の県境にそびえる名峰「乗鞍岳」。その中腹2100mに建つ、昭和6年創業の歴史ある山小屋「冷泉小屋」は長い間、空き家になっていました。2020年、この小屋を再生する「冷泉小屋再生プロジェクト」が始動。いよいよ始まる投資型クラウドファンディングに向けて、6回目となるオンラインイベントが行われました。

この日は「冷泉小屋のおカネの話」をテーマに、プロジェクトリーダーの村田淳一さんが資金計画などについて語りました。購入型と投資型という種類の異なる二つのクラウドファンディングの違い、それらを組み合わせる意味、さらに冷泉小屋再生プロジェクトの最新情報についてお伝えします。

クラウドファンディング、購入型と投資型の違いって?

神奈川県葉山町の〈葉山〉泊まれる蔵プロジェクトの投資家ミートアップの様子

クラウドファンディングがプロジェクトなどの資金を集める手段だということは知っていても、購入型や投資型などの種類の違いは意識したことがない人が多いかもしれません。一般的にクラウドファンディングといえば、応援したいプロジェクトにお金を払い、お返しの品が送られてくるといったものを想像するかと思います。これは「購入型」と呼ばれます。

一方の投資型の特徴は、その名の通り支援者に「投資」をしてもらう点にあります。銀行からお金を借りた場合は利子をつけて返金しますが、投資型クラウドファンディングでは、事業で得られた利益を上乗せして投資家へお金を返します。

つまり出資者の立場からみた購入型と投資型の一番大きな違いは、購入型は応援したいプロジェクトにお金を出して商品を買うのに対し、投資型で出資すると、プロジェクトの結果によって出資した額よりも少し多めのお金が手に入る可能性があるということです。
もちろん、投資なので元本割れのリスクがある点は注意が必要です。

プロジェクトへのかかわり方の間口を広げる「購入型」

プロジェクトの舞台となる冷泉小屋は、2階建ての、いかにも山小屋らしい外観を持つ木造の建築。宿泊機能と飲食機能を持たせ、乗鞍岳を訪れる人々の憩いの場になる予定です。
山小屋再生の総予算は、建物の工事費用と宿泊・飲食事業の運転資金も含めて3000万円以上。このうち、1000万円はプロジェクトリーダーが自己資金で用意し、2000万円を投資型クラウドファンディングで支援者から出資してもらう計画です。

5月中旬予定の投資型クラウドファンディングの募集開始に先駆け、キャンプファイヤーにて購入型クラウドファンディング「聖地・乗鞍にサイクリスト憩いの小屋を誕生させよう!」にも挑戦しました。2パターンのクラウドファンディングを行う一番の目的はより多くの仲間を見つけるため。プロジェクトに興味をもってくれる人の関わり方の選択肢を増やそうと考えました。

購入型クラウドファンディングは、小屋前の広いスペースをサイクリストが快適に寛げる場所にするために実施。1口1000円から支援でき、リターンは自転車乗りにうれしいメーカーコラボのオリジナルデザインTシャツやキャップ、トップヒルクライマーによる特別体験などと、テーマが明確です。

リターンのために用意した、国内トップ選手も多く着用するサイクリングウェアメーカーの最高峰、SUNVOLTと冷泉小屋がコラボしたオリジナルプロダクト

このクラウドファンディングは乗鞍岳を愛するサイクリストたちの間でも話題になり、プロジェクトの存在を知ってもらう機会となりました。

そして、いよいよハロリノで募集を始めるのが、投資型クラウドファンディング。テーマは事業を一緒に成長させる仲間づくりです。たしかに、支援者にとって金銭的なリターンを得られる可能性があることは投資型クラウドファンディングのひとつの特徴です。しかし今回のプロジェクトの投資家メリットは、それだけではありません。
投資家は、ファンド運用予定期間の約5年間、事業メンバーのより近くでプロジェクトに参加することができます。四半期ごとに発行されるIRレポートで事業の状況を詳しく知ることができるだけではなく、投資家限定イベントなど、プロジェクトにより深く関われる機会が用意されています。

共感が生む一過性の思いを、仲間へとつなぐ「投資型」

とくにハロー! RENOVATIONの投資型クラウドファンディングの特徴は、投資の動機が「プロジェクトやリーダーへの共感」と話す投資家が多いことです。
イベント中に参加者に投げかけられた次の質問に対する反応も象徴的でした。

参加者の意見はAの「事業に関われることが面白いので、元本は戻ってきてほしいが、それ以上のリターンは望まない」と、Cの「事業改善にできるだけ協力をすることで、売上が向上したら、それに応じた収益シェアがあったら、より面白い」の2択に分かれました。
共通しているのは、参加者自身がなんらかの形で事業に関わりたいと考えられていたことです。

このプロジェクトでは、これまでオンラインイベントだけではなく、SNSでも積極的に情報を発信し、プロジェクトを応援してくれる人と丁寧にコミュニケーションを行ってきました。その結果、村田さんの乗鞍岳への思いに共感する人が増え、自ら熱意を企画書にして送ってくれる仲間まで現れました。
投資型クラウドファンディングも、目には見えない共感を「参加」という行動に変える一つの手段です。また、プロジェクトへの共感によって発生する盛り上がりを一過性のもので終わらせず、長期的に事業を応援する仲間同士のコミュニティへと育てる側面も持っています。

たとえば冷泉小屋再生プロジェクトでは、投資家をチームに分けて、チームごとの関わり方を楽しめるように準備をしています。

村田さんの「参加型でいろいろな人がメンバーになってくれることで、自分たちだけでは思いつかないことを言ってくれるので心強い。乗鞍岳が好きという気持ちで関わってくれている」というイベント中の言葉も印象的です。
さらにイベント参加者からも「(アイデアとして提案した)プランを具体化するにあたって、ファンディングを考えるより以前に、労働奉仕ででも実際に現地で具体的に関わって(貢献して)冷泉小屋を良くしたい」という発言があり、改めてプロジェクトに関わる人たちが地域への思いで繋がっていると感じました。

冷泉小屋は8月末にプレオープン。いまからあなたも仲間に!

これまでに実施した過去5回のイベントは、YouTubeのライブ配信という形式でした。その場合、村田さんからはイベント参加者の顔は見えず、主なコミュニケーション方法はチャットです。しかし今回はZoomを使い、参加者の顔も見ながら説明することを選びました。
慣れない状況に村田さんは少し緊張しているように見えましたが、イベント参加者からの応援の言葉などを聞き、イベントの最後には「お金のことだし丁寧に説明したくて、今回はじめてZoomで開催しました。みなさんの反応など、どうなるか分からず緊張したけど、いろいろな意見を聞くことができてありがたかったです」と安堵の表情を浮かべながら感謝の気持ちを伝えていました。

また、ゲストスピーカーとして参加したハロリノプロデューサーの濱口は、「普段は個人のこととして、あえて深く聞けない、お金に関する皆さんのスタンスを伺えたことが最大の成果でした。いかに事業に継続的に関わっていただけるか、投資家特典も参加者からいただいたご意見を参考に、再考しています。またイベント時に4チームでの関わり方をご紹介しましたが『登山チームもほしい』との声を受けて、こちらも追加する予定です」と、みなさんの参加によってプロジェクトが進んでいることをあらためて実感したといいます。

8月29日には「乗鞍岳ヒルクライム」が計画されています。冷泉小屋もその時期のプレオープンに向けて準備を進めています。宿泊以外のレストランスペースの運営が始まります。
完全オープンの2022年7月を目指し、間もなく投資型クラウドファンディングの募集も始まります!
乗鞍岳や登山が好きな方、サイクリストのみなさんはもちろん、少しでもこのプロジェクトに興味がある方なら誰でも大歓迎。
みなさんのご参加をお待ちしています!

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次回イベントは「冷泉小屋にサウナ要る?」をテーマに、6月開催予定です。
イベント情報などは冷泉小屋再生プロジェクトのSNSなどで随時発信しています。
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乗鞍・冷泉小屋再生プロジェクト

▼前回の記事はこちら
乗鞍岳「冷泉小屋」再生に学ぶ、オンライン時代の仲間づくり

 

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