<MONZEN対談 前編>親しい幼なじみ同士で語る道明寺エリアの今昔

生まれ育った地域で繰り広げる、道明寺MONZENプロジェクト。どのような想いで取り組みを進めているのか、まちづくりに関わる幼なじみ同士の2人に前編・後編にわたり聞きます。前編は藤井寺球場や商店街での思い出や活気あふれるまちの可能性について。

地元の同級生二人が、年を経てMONZENを切り拓くキーパーソンに

――まずはお二人の出会いから聞かせてください。
森田小学校からの同級生。
西村僕が小学3年生の時に引っ越してきて。そこから遊ぶようになったかな。
森田:僕らの時代は野球が多かったね。

――野球は何世代ですか?
西村:オレは王・長嶋(巨人)。
森田:オレは何も疑うことなく野村克也(南海ホークス)やね。ドカベンはひとつ先輩で。

――地元の藤井寺球場は?
森田:藤井寺は近鉄バファローズの本拠地やったからねぇ……。ま、南海ホークスが来たときは観に行きましたよ。

――当時は断然野球が流行ってたんですよね。
西村友達と出くわしたら、道具やグラウンドがなくてもそこで野球が始まるみたいな。三角ベースとかね。
森田:昔は空き地がたくさんあって、稲刈りの後の田んぼでも、駐車場でもどこでもやってたよ。今は怒られそうやけどね。

道明寺のにぎわいを肌身で実感してきた森田さん

――森田さんは、ずっと道明寺に?
森田:江戸時代までさかのぼれるんやけど、少なくとも4代前にはこの道明寺にいました。

――道明寺が「河内の春ごと(菜種御供大祭)」などで賑わってた時期には、すでに森田家は道明寺にあった、と。
森田:そうです。ウチの店の裏、ひとつの区画の中に4軒もの料亭があったんですよ。

――えー! あのエリアに4軒って、それぞれとても大きなお店だったってことですよね。
森田:そうそう。桃太郎、千石、菊水、梅廼家。桃太郎なんかは娼妓も揚げて遊べるお店で。この界隈にもそういったにぎわいがありました。

まちは生活様式や環境に合わせて形を変えていく


森田:現在の商店街(駅から道明寺天満宮を結ぶ)はそれほど古くなくて。僕らが小学校に上がる前に、天満宮のすぐ脇の池を埋め立てた「天神の森」という新興住宅地ができたんです。その住宅街に居住者が流入してきたタイミングで、現在の駅-天満宮への商店街ができたはず。

西村:商店街は小学三年四年のころにはできてたんじゃなかったな。子供だからあんまり商店街に用事はなかったけど。遊ぶのはもっぱら天満宮か道明寺。地面が土だったので、穴を掘ったり釘で線を引いたりできるから、ビー玉、足の陣地取り、ケンパとかやって遊んでましたね。

――昔は道明寺天満宮に夜桜見物もありましたよね。
森田:あったね。まだうちがコンビニになる前の酒屋の頃に、よく走らされましたよ。あの頃は瓶ビールしかなくて。花見の酔っ払いは容赦がないので(笑)「今すぐ持ってこい!早よせえ!まだか!」と、どやされて店から天満宮への配達に駆り出されてました。

――今と比べて昔の道明寺エリアはどうでしたか?
森田まず人が多かった。サントリー(道明寺工場)、三元バルブ(製造株式会社)がそばにあって、玉手の中小企業団地も元気で、玉手山遊園地が子供たちで賑わっていてね。
西村:玉女(のちの関西女子短期大学)のスクールバスも道明寺から発着していたので、学生もたくさんいて活気に溢れていましたね。

――最近の道明寺はどうですか?
森田:最近では、商店街にベトナムのお店がいくつもできたりして、昔とは違う新しい流れが生まれていますよね。阪南ジャンボハイツあたりから玉手橋を渡って道明寺商店街へ、の人の流れができていて、なかなか面白いことになっています。

と、前半はここまで。

僕は、かつて活気のあったエリアにはどこでも「にぎわいの地霊」とでも呼ぶべきものがいる、と信じている。
かつてにぎわいを生んだ場所は、たとえ今が廃れていてもそれはスリープ状態のように寝たふりをしているだけで、環境の作用によって再びにぎわいが再興しやすくなっているように思えるのだ。

昔とったナントカ、三つ子の魂ナントカ、とか。そーゆーやつ。ちがうか。しらんけど。

かつて栄えて盛り上がったエリアというのは、今は時を経てすっかり古老のようなフリをしているが、またカタチを変えてにぎわいを生むチカラを基礎体力的に奥に秘めている。

水の枯れた路地に。夏草だらけの廃屋に。
にぎわいの地霊は、まだ生きている。

(聞き手 ASANOYA BOOKS 高山純)

あわせてお読みください
<MONZEN対談 後編>それぞれの想いが重なって進化していくプロジェクト

 


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集、飲、食、歩。天満宮門前が地域にひらかれる未来プロジェクトとは?
門前にある築96年の古民家を“まちの案内所×地ビール醸造所×チャレンジキッチン”に生まれ変わらせます。プロジェクトに取り組むのは、建設業・不動産業を営み市民主体のまちづくりをプロデュースする西村剛、道明寺まちづくり協議会会長・森田剛浩、そして道明寺天満宮宮司・南坊城光興。ともに古き良いものと未来への可能性が交差する場をつくっていきましょう。

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<プロフィール>
森田 剛浩(もりた たけひろ)
一般社団法人とこなり 代表理事
ニューヤマザキデイリーストア道明寺駅前店 代表
2001年、(社)藤井寺青年会議所第31代理事長を拝命。2003年、藤井寺市こども会育成連絡協議会に入会し、各役員を歴任の上、現運営専務。2013年、道明寺まちづくり協議会を設立、会長に就任。各事業を開催し道明寺周辺のまちづくり活動に邁進中。2020年、道明寺駅周辺まち整備協議会を設立、会長に就任。道明寺駅周辺のハード整備を目指す。

西村 剛(にしむら つよし)
es.NiShiMURA 株式会社西村興産 代表取締役
1962年大阪府生まれ。立命館大学産業社会学部卒業。ハウスメーカー勤務後大阪府藤井寺市にて家業を引き継ぎ現在に至る。リーマンショック後、地元で業を継続するためにはエリア活性は不可欠と認識。長屋等を中心に企画からデザイン・建築・リーシング・管理まで請負。現場は自転車で30分以内とし、まったくもって井の中の蛙を目指す。

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