【2024最新】不動産投資ファンドとは? 仕組みやメリット、リート(REIT)との違い
不動産投資と聞くと「高額な初期費用が必要」「空室が心配」「管理が大変」といったイメージを持つ人も多いでしょう。不動産投資はそういった一面もありますが、高額な費用が必要ないと注目されているのが不動産投資ファンドです。不動産投資ファンドは従来の現物不動産投資と同じく投資先は不動産です。そこで本記事では不動産投資ファンドの仕組みやメリット、デメリット、リートとの違いについて解説します。(最新更新日:2024年8月15日)
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1. 不動産投資ファンドとは
不動産投資が人気の理由は、長期的かつ安定的に賃貸収入が得られる点です。しかし不動産の取得には多額の資金が必要で「貯金あるいはローンを使って、高額な不動産投資を行うのは不安」という人も少なくありません。こういった不安を解消できるのが不動産投資ファンドです。少額で始められるため、初心者でも手を出しやすい投資のひとつといえます。
不動産投資ファンドとは
投資対象を不動産に限定した投資ファンドです。ファンドとは、複数人の投資家たちから小口の資金を調達し、運用をプロに任せ得た収益を投資家が投資した金額に応じて分配する投資方法のことです。運用をプロに任せるため、投資家は不動産の知識がなくとも投資を始められます。投資である以上リスクはありますが、知識がない人でも投資を始めやすいでしょう。
不動産投資ファンドは大勢の投資家から資金を調達するため、個人では投資できないような高額な物件(オフィスビル、商業ビル、医療機関など)も投資対象です。さらには投資対象が日本だけでなく海外も含まれることがあります。
不動産投資ファンドで得られる収益は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。インカムゲインとは、資産を保有中に得られる収益のことで、家賃収入が該当します。キャピタルゲインとは、資産価値の上昇により得られる収益のことで、売却益が該当します。不動産投資ファンドはその運営に多額の費用がかかるため、そのコストは出資者の負担になります。
不動産の所有権が出資者にあるタイプと、出資者ではなく営業者にあるタイプがあります。所有権が出資者にある場合は、投資対象の不動産の流動性が下がります。逆に所有権が出資者にない場合は、流動性が上がります。所有権の有無で売買の簡単さが変わるので、キャピタルゲインに影響してくるといえます。
現物不動産との違い
不動産投資ファンドが従来の現物不動産投資と違う点は、主に「必要な投資の最低額」と「運営が投資家本人か委託先か」です。現物不動産投資の場合は、投資家一人で対象の物件を購入します。不動産投資ファンドであれば、複数の出資者からお金を集めるので、一人あたりの投資額を抑えられます。
投資対象も異なることがあります。現物不動産投資の場合は、マンションやアパート、戸建てなど住居用物件が主な投資対象です。しかし不動産投資ファンドの場合は居住用物件に加え、オフィスやホテル等の商業施設なども投資対象になります。
現物不動産投資の場合は、自己資金に加えて不動産投資ローンの利用ができます。しかし不動産投資ファンドの場合は、自己資金のみで投資するのが普通です。運用利回りは投資家自身で運用するか、委託先に任せるかの違いで、そのコスト分は投資家自身で運用した方が利回りは高くなるといえます。
まとめると以下のようになります。
ファンド | 現物 | |
投資対象 | 住居用や商業施設など多数 | 住居用物件が中心 |
投資金額 | 少額から可能 | 高額であることが多い |
出資資金元 | 自己資金のみ | 不動産投資ローン利用可能 |
物件の運営 | ファンド運営者 | 自身か委託先 |
物件の所有権 | タイプによる | あり |
流動性 | ファンドによる | 低い |
2. 不動産投資ファンドの仕組みとリートとの違い
個人投資家が投資可能な不動産投資ファンドを大きく分けると2種類あります。「不動産投資信託」と「不動産特定共同事業」で、それぞれ仕組みと特徴が異なります。不動産投資信託は別名をREIT(リート)と呼びます。
1.不動産投資信託(リート)
投資信託および投資法人に関する法律に基づく投資商品です。金融商品のひとつとしてアメリカで誕生しました。Real Estate Investment Trust を略して、REIT(リート)とも呼ばれます。特に日本の不動産投資信託は、J-REIT(ジェイ・リート)と呼ばれ、2001年にスタートしました。
特徴として複数の不動産へ分散投資が可能です。ファンドはオフィスビルなどの商業施設、ホテル、マンションといった不動産に投資します。投資額は数万円からはじめることができます。またファンドは収益の90%以上を分配するなどの、条件を達成すれば法人税が非課税になるため、収益のほとんどを投資家に分配しています。投資先物件の所有権は投資家にはありません。投資期間は定められていないので、投資家は投資口の売却により投資資金を回収します。
2001年にスタートして以来、J-REIT(ジェイ・リート)市場は拡大しています。2023年末には58銘柄になり、所有する不動産の価値は22兆円を超えました。そして今後も成長が期待されています。
ファンドはオフィスビルだけのような特定の不動産のみを持つ特化型と、異なるタイプの不動産を持つ統合型があります。そのためどのような物件が含まれているかの確認が、投資するにあたって重要になります。
不動産投資信託(リート)は資金の調達方法によって下記2つに分けられます。
公募ファンド
投資口が証券取引所に上場されていて、銀行や証券会社を経由して一般に投資者を募るファンドです。新聞やテレビなどでも宣伝されているので見たことがある人も多いかもしれません。不特定多数の個人投資家に対して販売されており、流動性が高いことが特徴です。株式と同じように経済状況や需要と供給の影響を受けやすいため、価格が変動しやすくなっています。株式と同じように取引ができるため、換金性に優れています。
私募ファンド
投資口が証券取引所に上場されておらず、2人以上50人未満の投資家だけに販売されるファンドです。販売される対象も事業法人や機関投資家などの一部のみになります。上場されていないため、市場で取引することができません。そのため流動性が低いことが特徴です。また最低投資金額が高く、億単位の投資額になります。キャピタルゲインも積極的に狙っていくような運用をするものもありますが、インカムゲインが重視される傾向にあります。
2.不動産特定共同事業
不動産特定共同事業法に基づく投資商品です。
現物不動産への投資を行うために複数の投資家から資金を集め、獲得した収益を投資家に分配する仕組みを持つ事業を「不動産特定共同事業」といいます。これは投資家保護の観点から国土交通大臣または、都道府県知事から不動産特定共同事業の許可、または登録を受けなければ、事業を行えないようになっています。
ファンドごとに、あらかじめ投資予定の特定の不動産へ投資することが多く、不動産投資信託(リート)と異なります。そのため現物不動産投資に近いイメージでとらえることができます。
投資する物件や期間が定められており、投資開始時点でリターンの想定がしやすいとも言えます。この不動産特定共同事業を行う事業者が販売する商品を不動産小口化商品とも言われ、一人の投資家だけでは購入不可能な高額物件を複数の投資家で共同投資することになるため、一人当たりの投資額は少額から可能になります。
不動産クラウドファンディング「ハロー! RENOVATION」で取り扱っているファンドの多くが、不動産特定共同事業に基づくファンドです。不動産小口化商品には「任意組合型」「匿名組合型」「賃貸型」の三つのタイプがあります。
基本的に全投資家が不動産の共同持分を取得するスタイルで、投資家間で任意組合契約を締結します。組合が物件の管理と運営を行い、獲得した利益を、投資家の出資持分に応じて分配します。
複数の投資家が共同で所有するという形になることから、投資額は通常であれば数億円するような物件でも、比較的少額から取得することが可能です。実際に不動産を所有しているのと同じ状態になるので、不動産取得税や登録免許税などの費用がかかります。また、分配金は不動産所得となるため、税金対策としても注目されています。
投資家は事業者と個別に匿名組合契約を締結します。投資家は匿名組合に対して金銭を出資します。不動産の所有はないため、不動産登記に投資家の氏名は載ることはなく、匿名性が保たれます。出資を受けたい業者が主体となり事業を運営し、利益を出資額に応じて投資家に分配します。
長くても10年以内の商品が多いため、短期で資産運用を考えている人に向いているでしょう。また、数万円から投資可能なものも多いため、分散投資先として利用可能です。分配金は雑所得として扱われます。
不動産クラウドファンディング「ハロー! RENOVATION」はこのタイプの商品になります。
賃貸借型は、投資家が宅地建物取引業者から物件を共同で購入して取得し共同所有者となります。そのため不動産の所有権は、投資家が共同で保有するのが一般的です。取得した不動産は不動産特定共同事業者に賃貸し、運営業務を委託します。委託された事業者は、賃貸収入を投資家に分配します。投資金額は任意組合型と同様に匿名組合型と比較すると高額になることが多いです。
3. 不動産投資ファンドのメリット
不動産投資ファンドには紹介してきたようにさまざまな種類があります。どの商品にも共通するメリットが以下のようにあります。
- 現物不動産に比べて少額から投資が可能
- 複数の不動産への分散投資でリスクが軽減
- 管理の手間が不要
それぞれくわしく紹介していきます。
現物不動産に比べて少額から投資が可能
不動産投資ファンドは小口化されている商品が多いため、投資額が少額から可能になります。通常の現物不動産投資では小さい物件でも数百万円が必要になったり、魅力的な物件があっても用意できる資金が足りず諦めることがあります。しかし不動産投資ファンドなら少額(数万円~)から投資することも可能です。そのため一等地の物件や、資産価値の高い物件への投資も出資しやすい金額からはじめることができます。
複数の不動産への分散投資でリスクが軽減
少額の不動産投資が可能なため、通常の現物不動産投資では1件にしか投入できない資金でも、2件目、3件目と複数の物件に投資できます。そのため資産価値の変動や空室や災害などで損失が発生するリスクを分散できます。物件の場所を分けて地理的なリスクを下げることも、投資のタイミングを分けて時間的なリスクを下げることも同時に行えばよりリスクを分散可能です。
管理の手間が不要
自身で賃貸経営を行うとなると、不動産の維持・管理や入居者の募集などさまざまな手間と費用がかかります。さらに専門的な知識やノウハウも必要です。しかしファンドを運営するのはプロなので、管理は任せられるだけでなく、多くのノウハウも持っており、安心でリスクも下げられます。
4. 不動産投資ファンドのデメリット
不動産投資ファンドにはさまざまなメリットがありますが、デメリットも以下のようにあります。
- 上場廃止や倒産によるリスク
- 受け取れる配当金が少額になる可能性
- ローンを活用したレバレッジ効果が低い
それぞれくわしく紹介していきます。
上場廃止や倒産によるリスク
投資先が証券取引所の定める上場基準に抵触したりすると、上場廃止になることがありえます。その場合、流動性が大きく低下することになります。また運用会社が倒産する可能性もあり、その場合証券市場での値下がりが懸念されます。現物不動産投資では空室などで利回り悪化などはあっても、不動産以外の要素によるリスクは少ないので、その点は違いといえます。
受け取れる配当金が少額になる可能
小口化されているため、出資者が多くなります。そのため一人当たりの分配金は少額になる可能性があり、振り込み手数料等のコストの影響が大きくなる可能性があります。さらにファンドの運用費用や、事業者への手数料などが必要となるために、分配金は現物不動産投資と比較すると、利回りが悪くなる場合があります。
ローンを活用したレバレッジ効果が低い
現物不動産投資では多くの融資を受けることで、自己資金よりもかなり高額な物件に投資することもありますが、不動産投資ファンドでは融資は利用しないか、融資割合はある程度に抑えられていることが多いため、レバレッジ効果は低くなります。
5.さらなる成長が期待される日本の不動産投資市場
日本の不動産資産の規模は大きく、不動産投資市場のさらなる成長が期待されています。
なかでも「不動産証券化」の手法は、不動産市場の活性化と効率化に役立ち、投資規模の小口化と多様な商品提供によって新たな投資機会を創出しています。日本での歴史は10年ほどですが、不動産ビジネスに多くの影響を与え、不動産証券化手法を活用したJリートや不動産プライベートファンドなどの市場が形成されています。こうした手法は不動産投資をより身近にし、市場の透明性を高め、多様な投資家ニーズに対応することで不動産市場の発展に大きく貢献しています。
不動産証券化の仕組みを活用した不動産投資は各国で行われていますが、制度は国によって異なります。日本における代表的な不動産証券化スキームは以下の5点です。
(1)特定目的会社(TMK)
(2)GK-TK
(3)Jリート
(4)不動産特定共同事業(匿名組合型)
(5)不動産特定共同事業(特例事業型)
6. 不動産投資ファンドを始めたくなったら
ここまで不動産投資ファンドについて解説してきましたが、利回りやリスクについては実際の商品を自身で調べて検討することが重要です。紹介したようにいくつかの投資の種類があるため、それぞれの特徴を理解して、自身にあった投資先を決定しましょう。また投資先を決定するにあたっては、運営会社の手数料などの費用を確認するのもおすすめです。
不動産投資は現物とファンドでは違いがあります。両方を調べて理解することで自身に合った、投資方法を決定しましょう。不動産投資に興味がある場合、不動産投資ファンドをまず検討してみてはいかがでしょうか。少額から始められ、選択肢の幅も広がります。不動産投資ファンドの種類もたくさんあるため、自分に合うサービスを選びましょう。
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不動産投資はハードルが高いと思われていますが、少額から気軽に投資できる不動産投資ファンドについて解説してきました。また不動産投資には現物、ファンドどちらも実際にある物件に対して投資となるため、「自分が投資しているもの」に対する実感があります。
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