こんなアイデアでました! 尼崎シェアアトリエ「賃料0円で借りられたら何する会議」
今年3月に尼崎芸術祭が始まった兵庫県尼崎市。そこで展開されている築古賃貸マンションをシェアアトリエに再生するプロジェクトに、新しい投資家特典が追加されました! 200万円投資するとリノベーション前の約40平米の物件を2年間フリーレントできるというもの。そこで9月15日、オンラインと現地をつないで、どういった利活用アイデアがあるかブレストしました。少年野球教室、住人ママのスナック、鉄道模型好きコミュニティ月間など地域に開かれた自由過ぎるアイデアの数々を紹介します。
試行錯誤してきたマンション大谷
プロジェクト4回目のイベントは、おなじみ物件オーナーの大谷昌義さんによる物件説明からスタート。続いて、新耐震基準への改正から約40年、高経年ストックが今後急増する見通しという国土交通省発表データ(*1)に触れながら、マンション大谷のこれまでの試行錯誤や大谷さんらが考えてきたリノベーションコンセプトについての共有もありました。
大谷さんらが考えたリノベーションコンセプトは、部屋をきれいにリフォームするだけでなく、自分らしい暮らしを楽しめる部屋。たとえば土間を取り入れた部屋、野球グッズやキャンプ用品など趣味のものをたっぷりディスプレー収納できる棚を造設した部屋、快適にリモートワークできるようブースを設けたSOHO部屋、自由にDIYできるよう壁と床に合板を貼った部屋などを考えたそうです。
でもリノベーションした部屋は入居者が決まりますが、全体で見ると90室のうち47室は空室のまま(今年2月時点)。限られた予算で全部をリノベーションすることはできません。対策がおいつかないことから4階全体と5階の一部を対象にした「シェアアトリエで再生する賃貸マンション」プロジェクトが始まったのです。
2チームに分かれて、いざブレストタイム!
今回の本題である「賃料0円で借りられたら何する?」のブレストは、現地参加のオフラインチームとオンラインチームに分かれて行いました。尼崎市の在住経験者も土地勘のない人も、好きなことや自身のリサーチ情報、過去イベントの意見などを参考に妄想スイッチ全開で「これしたい!」を出し合ったら、広がる、広がる! 自分で不動産の利活用に挑戦中の人、お子さんが少年野球に夢中の人、大阪でアート事業をしている人など、さまざまな観点でイメージを膨らませました。そこで出されたアイデアを「クリエイティブ」「食」「アクティブ」に分けて紹介します。
クリエイティブ
- パトロンになる。お気に入りのアーティストに貸して活動を見守る
- YouTubeスタジオ。大学生は実家や一人暮らしで発信できる場がないので喜ばれるはず
- ダウンタウンは兵庫県出身なので漫才や落語、アートのための劇場をつくりたい
- ワークショップなどみんながチャレンジできる場所
- コーナン(ホームセンター)があるからDIYも楽しめる。一部屋を小さなDIYショップにして、みんなが工具を持ち出せるように
- 毎月テーマを設けて、共通の趣味や価値観で集まるコミュニティに場を提供する。ある月は“ミニ四駆場”にして走らせる。プラレールや鉄道模型Nゲージの月があってもいい。推しアイドルを語る月など
- 一人になれる、創作活動などに没頭できる場所
食
- ハイボールバーや地酒バーがマンション内にあったら、アトリエ利用者や入居者、近所の人がお隣さんや友人宅に飲みに行く感じで利用できて新しい体験になる
- アトリエに住んでいる人が日替わりでママをするシェアスナック
- 前回のイベントで朝採れ野菜を持ってこられるかも、というアイデアがあったのでぜひマルシェを。丹波の黒豆があったらわざわざ買いに行く
- 朝ごはんを食べる会
- お酒が飲めないのでカフェもほしい
- 出張ラーメン屋とか。ラーメンを作ってもらって共有スペースに自分で運んで食べる
- 近くにコストコがあるので3階のテラスに柵を付けて芝生を敷いてBBQ場もおもしろい
アクティブ
- “大谷”といえば野球。甲子園球場が近くスポーツの街というイメージがあるので、パブリックビューイングをしたい
- スポーツキッズが多いからスポーツ教室を。スペースはなくてもできるボールの握り方や投げ方などを学べたらおもしろい
- 1階の広いガレージが使えたら野球教室とかバッティングマシーンもおけそう
地域の人たちが体を動かしに来られるようにして、みんなで健康を気づかう場に - Eスポーツの合宿所に
- 近くに天然温泉・蓬萊湯があるので、貸し自転車を置きたい
ほかにも「雨が降って突然暇になって体力を持て余した子どもたちが遊べる場所」「大学と提携して学生が自由に使える曜日を設ける」「朝はマルシェでおばちゃんが殺到して、昼は子どもたちが野球のTIPSを学びにきて、夜はお父さんたちが集うような、すべての世代が使える地域に愛される場所」など、人が出入りできる仕組みをつくりたいという声も。
マンション大谷のリノベーションプランは、水回りなど最低限のもの。だからこそ、いろいろな使い方ができます。大阪・神戸エリアには芸術や建築、装飾系など新しい価値を生み出す大学や専門学校も多く、今年3月には尼崎芸術祭が始まりました(*2)。本プロジェクトではアートだけでなく、クリエイティブなことを誰もが楽しめるシェアアトリエをつくり、築古賃貸マンションという社会課題を地域の活性化につなげていきます。引き続きプロジェクトへの参加をお待ちしています!
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*1 新耐震基準への改正から約40年、高経年ストックが今後急増
「新耐震基準のマンションのうち、築40年超となるものが2023年末には約34万戸、さらに2038年末には、その約8倍の約260万戸となり、今後、高経年ストックが急増する見込み。新耐震基準への改正から約40年を迎え、今後、新耐震基準で建築されたマンションであっても高経年化が進むこととなり、新耐震基準マンションの再生を促進するための措置が必要となる」
国土交通省・第1回マンション政策小委員会配布資料「マンション政策の現状と課題」より
www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house06_sg_000001_00003.html
*2 尼崎の芸術祭「あまがさきアート・ストロール~Produced By 六甲ミーツ・アート芸術散歩」
毎年秋に六甲山で開催されている「六甲ミーツ・アート芸術散歩」のコンセプトをもとに、尼崎の街に展示された現代アート作品を自由に歩きながら鑑賞する試み。尼崎市の中でも特に活気がある阪神尼崎駅周辺に作品を展示して今年3月に9日間開催
kansai-tourism-amagasaki.jp/artstroll2022/