房総いすみから、移住の「最初の一歩」を踏み出す。築140年の古民家シェアハウス

プロジェクトの概要を教えてください。

古民家シェアハウス「星空の家」は、ながらく空き家だった古民家をシェアハウスとして活用しています。広すぎて管理しきれない古民家もみんなで暮らせばちょうどいい。広い畑も裏山も、誰かと一緒ならば活用ができる。今の時代だからこその「古民家」を「シェア」する形。地方への移住を考える人の「最初の一歩」として6年間で20名以上もの移住者を受け入れてきました。見知らぬ土地で、新しい暮らしをはじめることは勇気のいること。どこでどんな暮らしをするのか、わからないこと、不安なことも多い。そんな不安も先輩移住者と共に暮らすことで、解消できることも多いのです。一緒にご飯を食べながら日々の情報交換をし、人との出会いを広げていく。自分のペースでここでの暮らしを楽しみながらこれからのことを考える。理想の仕事と暮らしを見つけ、地域への足掛かりとして、今なお多くの人を受け入れています。

プロジェクトが始まったきっかけは何でしたか?

単身で移住をしてきたときに、一人では無駄が多いこと、できないことが多いと感じました。移住のハードルも実はとても高い。1年間の一人暮らしを経て、今あることでも誰かと上手にシェアすることで、できることが増えるのではないかと考えます。その中で、築140年の古民家と出会いました。一人で住むには大きすぎる。でも何かに活用できるかもしれない。そして、シェアハウスとして活用することを思いつきました。

プロジェクトを始めるにあたって、どのような工夫をされましたか?

まず、地域の人たちにどうしたら理解してもらえるかを考えました。設立当時、まだシェアハウスが一般的ではなかったこともあり、地元の人にとって異質のモノに見られがちでした。「広すぎて一人ではすみきれない」「下宿のようなもの」と理解してもらいやすい言葉で説明し、地区のリーダーにあいさつにいきます。ちょっとした声かえや地域行事への参加を通じて知り合いが増え、地域の方の歩幅に合わせるスピード感で、理解を得る工夫をしました。


プロジェクトを始めるにあたって、大変だったこと・失敗談を教えてください。

長らく空き家だったため、片付けが大変でしたが、すべてを大家さんにお任せするのではなく、一緒に作業を行うことでそれぞれの負担を軽減することができました。作業を通し、互いに理解が深まったこともよかったことです。母屋の他に長く放置され荒れていた庭と畑裏山の整備も必要でした。すぐにはすべてを片付けることはできなかったので、少しずつ時間をかけて手入れを進めましたが、終わりの見えない、答えのない作業。今も継続して手入れを続けています。家や敷地が広いことでやるべきことがこんなにはあるとは。想像以上に管理の大変さを実感しました。


物件との出会いを教えてください。

移住して1年ほど経った頃、行政の方や親しくしていた不動産屋さんから「いい物件があるよ」とお話をいただきました。当時は、自分自身で活用するよりもどなたか興味のある方を紹介できたらと考えていたのですが、、いいご縁が繋がらず、ほどなくして「自分だったら何ができるだろう」と考えるようになりました。カフェやゲストハウス、多くの方から様々なアイデアを頂き、今の自分ができることで、あったらいいことを考えた結果、自分でシェアハウスをはじめてみようと、お借りすることを決めました。

どのような方法で物件を入手しましたか?

市役所の方、不動産屋さんから大家さんにシェアハウスとして活用したい旨をお伝えしていただき、直接お会いして事業内容を説明しました。移住してからまちづくり活動に参加していたこと、市役所職員さん、不動産屋さんから私の人柄や今までの経緯などを丁寧に伝えてくださり、大家さんも快く了承してくださいました。行政で取り組んでいる「空き家バンク」の物件だったこともあり、双方安心して契約ができたことも大きいかもしれません。


プロジェクトがスタートしたことで、地域に変化はありましたか?

長らく空き家だった家に人が住み始めたことを地域の方は喜んでくださいました。元は地元の名主さんの家。親戚やお世話になったという方が気にかけ訪ねてきてくれるようになり、地域に活気が戻ったようです。また、移住先の最初の住まいとして、移住促進にもつながりました。家と仕事の往復だけではない出会いがあり、自然とご縁が広がっていくよさがある。また、畑や裏山の整備を一人で最初からはじめようとするとハードルが高いけれど、誰かと一緒にならば始められる。そんな、新しいことに挑戦したくなる環境がシェアハウスから生まれました。より様々な側面から地域を知れるようになるのはシェアハウスの良さではないでしょうか。

今後、地域とつながる中で、どんな場所にしていきたいと考えていますか?

「はじめの一歩」を踏み出す場所として、今後も移住希望者を受入れていきたいと考えています。地域での暮らしの拠点として、ここから新しいことをはじめていってほしい。興味があれば引っ越し先のひとつとして検討してほしいと思います。もし、少しだけ様子を見てみたいのであれば同じ敷地内にある「星空の小さな図書館」にお気軽にお立ち寄りください。(開館日:日・月13時~19時)
地域の人との交流や、里山暮らしを体験してみたければカフェ&シェアオフィス「星空スペース」で開催しているイベントに参加してみるのもいいかもしれません。「きっかけ」を見つける場所として、小さくとも長く「あったらいいな」を地域の人、移住者関係なく、様々な人が行き来する場所であり続けたいと思います。

紅葉時期の古民家

お餅つきの様子

自転車置き場づくり

図書館内観

via
LIFULL HOME’S空き家バンク・みんなの空き家!活用Collection
https://www.homes.co.jp/akiyabank/usecase/detail/7/

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