投資家インタビューVol.02 田中 直基さん

「カプセル保存再生ファンド#001」に投資家として参加する田中さんに参加のきっかけやその魅力をお伺いしました。 (インタビュアー:川村、松島)
―こんにちは。本日はお時間いただきありがとうございます。
田中:よろしくお願いします。
―今日は、この中銀カプセルタワービルのリノベーションを担当したウクライナ人建築家のヴォロディミール・デレズニチェンコ氏(愛称:テンシャン)にも来ていただいています。
テンシャン:こんにちは。
田中:テンシャンの名刺って住所がカプセルタワーになってる。かっこいいー。
テンシャン:はい、住んでます。
―テンシャンとはじめて会ったのは2017年の冬ですよね。中銀カプセルタワービルをプロジェクト化しようとアイディアを募集した際に彼が登録してくれたのがきっかけで。その後すぐ鎌倉まできてくれて、話している中で一緒にやろうということがすぐ決まり、だったらカプセルに住めば?ということになって。
田中: あとで部屋に行ってみてもいいですか?
テンシャン: はい、もちろんです。ただ、わたしのカプセルはただのカプセルですけど。
田中: ただのカプセルって(笑)
―ファンドで集めた金額のほとんどはカプセルのリノベーションに充てていますので、入居者にはこのスペースを快適に使ってもらえると思っています。田中さんには、出資してもらった上で、さらに賃料を払う側になってもらうという(笑)
田中: いやいや、楽しみですよー
―では、そろそろ本題に入らせてください。田中さんは普段どのようなお仕事をされているのでしょうか?
田中: 会社は、そこに見えている某広告代理店でして(笑)
最初4年ぐらい営業をやっていました。その後、クリエイティブの部署に移ってからはコピーとかCM制作も担当しました。
もともと理系で機械工学出身なんですけど、ちょうど就職するタイミングで世の中のITの流れがデジタルコンテンツ寄りになってきたこともありまして、初期のころからコピーも書いて映像もつくる一方でデジタルの企画もやっていました。
ハロリノってもともとおもしろいなって思っていました。地域と建物の課題とアイデアを結びつけてファンドレイズさせるという話だと思うんですが、僕らの潮流でいうと、テクノロジーとかスタートアップで起こっていることなんですよね。でも建築とかコミュニティでやりきれている事業ってないなと思っていて、ハロリノはそれを最初にやり始めている感じがしているので、すごく新しいしおもしろいなって思っています。
―投資家でもあり、また入居者として1ヶ月実際に借りることになるまでの経緯をおしえてもらえますでしょうか?
田中: ハロリノのページで中銀カプセルタワープロジェクトを見つけてから、建物がどういう状況なのかを調べはじめました。目の前で15年間見続けてきた建物ですし。
個人的にこの目の前の建物をなんとかしたいって思いはもちろんあるんですが、この建物がどうなるかって、日本とか東京の健康状態だなって思っていて。健康状態が良くないとこの建物は残せないだろうし、良いと残せるんだろうなって思えた時に、中銀はすごく良いリトマス試験紙になるなと。
あとは、ずっと建物の目の前通っていて入りたくても入れなかったですよ。立入禁止って書いてあるし、エントランスにものすごい圧があって。僕も一応良識のある大人なので(笑)。さすがにこの看板を目にして中に入る勇気ないなって(笑)。
黒川紀章の名建築として名は知れていますけど、生活圏内に中銀があったというのは大きいですね。
そういう興味がもともとあって、そしたら投資の案内がきたので、最低金額ではありますけど出資させてもらいました。
―いまは逗子にお住まいとのことですが、逗子はご出身ですか?
田中:出身は横浜なんですが、結婚をきっかけに逗子に賃貸で住みはじめました。
仕事は東京なので逗子は遠いかなって思ったんですが、住み始めてみたら全然大丈夫で、むしろ良いことのほうが多かったので、じゃあ買おうかなってエンジョイワークスでいまの家を購入しました。
―1ヶ月の中銀生活のあいだは逗子に毎日帰られるんですか?
田中:このカプセルに泊まりはしないですね。子どもはまだ二歳で、朝の保育園は自分の担当ですし、どんなに遅くても逗子には帰るかなと。
ここはオフィスとして使う感じですかね。ちょっとした打ち合わせとか。みんな来たがってるので。facebookでここ1ヶ月借りることにしたよってポストしたらいろんな人が来たいってリアクションくれて。
―お金取れますね、一人500円とか(笑)。
田中:それダメじゃないですか(笑)。
さっきそういうことは禁止っていう契約書にサインしたばっかですよ(笑)
―この中銀は仕事の延長線で縁があったという話でしたが、そもそも田中さんの中で、投資ってどういう位置づけなんでしょうか?
田中:投資そのものは一応やってはいるんですけど、、
―この中銀プロジェクトは、投資としての要素はあるんでしょうか?
田中:ゼロではないですけど、投資寄りの理由ではないですね。このカプセルの事情も知ってますし。もしかしたら他のプロジェクトであったならば、もっと投資寄りの思いで出資していたかもしれません。蔵のプロジェクトは出資したかったんですが、気づいたときには終わってたということもあって。
―利回り3%というところへの期待はどうでしょうか?
田中:まあそうなったらなったで嬉しいという感じですかね。
そもそも投資って自分の中で2種類あって、1つは単純に遊ばせている資産を増やしたいというものと、もう1つはそこに関与していくという楽しさとか意義とかが優先されるものであって、ハロリノに関して後者が強いですね。
―運用と投資ってそもそも違いますもんね。
田中:そう、手伝いたいとかサポートしたいとか助けたいとか、そういう意味での投資ですね。
―そういう意味での投資をしている人と話してみたいとか繋がってみたら面白そうだなとか思ったりしますかね?
田中:投資とかしている人ってオラオラしている気がしていて、苦手なタイプなんですよね(笑)。人間観察が大好きなので、中銀の住人の方とはおもしろそうさだなと思うので接触したいですが、投資家さんはオラオラな感じだとちょっと(笑)
―中銀プロジェクトって40人ぐらいの方から出資いただいていて、半分ぐらいの方とはお会いしているのですが、ほとんどがこの建物を残したいという中銀ファンなんですよ。夏ぐらいには投資した方同士で集まる機会を設けようと思っているんですが、オラオラ系にはならないと思いますよ(笑)
田中:であれば、ぜひ参加したいですね(笑)
なぜさっき僕がそういうリアクションをしてしまったかというと、別でやっている運用の方でそういうのがあったんですよ、お食事会みたいなものが。その時すごく気まずくて、すぐ帰ったんです(笑)。そういうのじゃないのがハロリノなのかもしれないですよね。
―あとぜひお聞きしたいなと思っているのが、田中さんがハロリノをサービスとしてどう見ているのかという点でして。
田中:まずはハロリノというサービスを知っている人が少ないんじゃないかなーって思いますよね。サービスが認知されたらいっきに火がつくんじゃないかなって。
いまあがっているプロジェクトは全部おもしろいし、どれも素直におもしろいって思うってことは、自分の近い人たちもおもしろいって思うんじゃないかなって。
いまは素材自体がおもしろいじゃないですか、蔵だったりアトリエだったり中銀だったり。一方でなんの変哲もないものに対してこういう風にやったらいいんじゃないかっていう青図を書いて、その場合どういう反応が起きるのかを見てみたい気はしますけどね。
あとは、特に日本人とかそうだと思うんですが、あの人がやっているなら間違いないでしょみたいなことがもっと起きやすくなるといいんじゃないかなって思いますね。
会社とかでも、あの人がやってるらしいとか聞くと、なんか大丈夫なんじゃないかなとか思って興味持つケース多いと思うんです。みんな結構不安だと思うんですよね。貯金しかしてないけどみんなどうしてんのかなーって。言葉には出さない不安っていうのがあるから勉強会とかにも参加したりするんじゃないのかな。自分の場合は自分が信用できる人がやっているという理由で投資をはじめましたけど。
―ハロリノは、まちづくりというリアルな場と人がいることを大切にしているので、そこで起こっていることを伝えていきたいし、改めて1ヶ月経ったときに、暮らしてみた感じがどうだったのか含めてお話伺えたらなとも思っています。
田中:ハロリノは自分が投資することによって当事者感覚が増すというか、おかげでこういうお借りする機会もいただけたり、人と出会えたり、これをきっかけにいろいろ広がりそうだなって気はしています。ありがとうございます。
―こちらこそありがとうございます。ではまた1ヶ月後のカプセル退去したあたりにお話しお聞かせください。
田中:はい、ぜひ。
プロジェクトの詳細について