ハロー!RENOVARTION

ハロー!RENOVATIONとは? menu

収益性の高いプロジェクトはどうつくる? 「福田和則 研究室」レポート(3)

ハロリノ編集部

こんにちは! 次世代まちづくりスクール「福田和則 研究室」TA(ティーチングアシスタント)の矢吹です。12月10日に開催された第3回ゼミの模様をレポートします。

「福祉×空き家再生」の可能性

今回プロジェクト発表をされたゼミ生は、地域に開かれたグループホーム開設を目指して活動してきた速水さん。

ご自身も重度の重複障がいをもった娘さんを育ててこられた速水さんがまず語られたのは、医療的ケアが必要な重度の障がいを人たちをとりまく厳しい現実でした。

障がい者の方の介助のほとんどはその親が負担し、親がいなくなった後は全国の中でベッドが空いている施設に行かなくてはならないことが多く、住みなれた地域で暮らし続けることは難しいのだとか。住みなれた地域やこれまでの人間関係を離れ、知らない土地で暮らしていくというのは、誰にとっても不安なものです。
速水さんは娘さんが安心して住まえる場所をつくりたいという思いをきっかけに、住み慣れた地域で、生涯、誰もが安心して暮らし続けられる街づくりを目指し、グループホームの開設に向けて奔走してこられたそうです。

しかし、国の基準をクリアできるグループホームの確保は困難を極め、度重なるプランの変更を余儀なくされたといいます。そんな速水さんがいま検討を進めているのは制約が多いグループホームではなく、空き家となった築60年のご実家を活用した障がい者向けシェアハウス及び一般向けの賃貸というかたち。
ゆくゆくは近所の集合住宅の空き部屋を活用した障がい者向けの住まいづくりも視野に、地域に受け入れられる拠点的役割を果たしていきたいと言います。

一方でこのアイデアを形にするには、建物の活用方法や賃貸事業の運用、地域との関係づくりなど乗り越えるべき課題も多く、これからの課題解決のためのアイデアが今回の福田ゼミのテーマとして投げかけられました。

私をはじめとするゼミ生、そして福田教授やエンジョイワークスのプロデューサーの皆さんにとっても、こういった福祉の問題はあまり身近ではなく、質問も多く飛び交いました。課題が多岐にわたることから、このテーマについては今回で完結させるのではなく、引き続き議論を続けていくということで持ち越しになりましたが、福田教授は「近隣理解を得ながら収益化するやり方はあるのではないか」と言います。

個人的には、高齢化が進む日本社会において避けて通れない福祉の問題と、今後一層増えていくであろう空き家を掛け合わせた事業展開は非常に興味をそそるものでした。
速水さんのプロジェクトがきちんと収益を生んでいく仕組みをつくり、より豊かな地域づくりのモデルケースとなるように引き続きゼミを通して一緒に考えていければと思います。

「アート×場」の需要を探る。プロデューサーNOW!

続いてはエンジョイワークスプロデューサーのお仕事紹介「プロデューサーNOW」。
今回のプロデューサーは大学時代から空き家を活用したまちづくりに取り組まれてきたという永田大樹さん。

今回は永田プロデューサーが携わっているプロジェクトの中から大阪市瓦屋町で進行中の「ペイント・ラウンジ」について紹介していただきました。

「ペイント・ラウンジ」のプロジェクトリーダーを務めるのは、グラフィックデザイナーの松下美沙子さん。「アート(絵)の需要を高めて、より豊かな社会にしたい!」をビジョンに、普段絵を描かない人が日常的に気軽に絵が描けて、カラオケに行くような感覚で絵の具を楽しめる場所を全国に展開し、講師によるワークショップ事業とドロップインやマンスリーで絵が描ける施設・道具を使える施設利用という二つの事業を展開していく予定とのことで、来年7月のオープンに向けて事業計画書のブラッシュアップを進めています。
(エンジョイワークスが展開しているハロリノノートを使って作成された事業計画書はこちら

そんな「ペイント・ラウンジ」ですが、目下の課題はニーズが読みきれないことによる収益性への不安。そこで、ゼミ生に向けて収益アップに向けた施策アイデアが求められました。

ゼミ生からあがった声は、「絵に限らず物づくりができる場所にしてみては」「ターゲットを絞りすぎない方がいいのでは」「画材一式を外に持ちだせるレンタルがあってもいいのでは」「儲かっているレンタルスペースの収支を研究してみては」などさまざま。

福田教授は「“絵を描く楽しさを多くの人に知らせたい”というのは難しいチャレンジなので、まずは絵を描くことが多くの人にとって喜びになりえるのかを確かめるイベントを繰り返しながらニーズを確認していくことが必要ではないか」と総括されました。

第3回のゼミは「福祉」と「アート」という、全く異なるようでありながら、どちらも人間の営みに欠かせないものにまつわる場づくりについて考える時間となりました。志の高いプロジェクトをいかに事業化させ、収益を生み出していくか。今後もその動向を見つめていきたいと思います。

 

\これまでのレポートはこちら/

・次世代まちづくりスクール「福田和則 研究室」スタート
https://hello-renovation.jp/topics/detail/9446

・「共創」について考える。福田研究室レポート(2)
https://hello-renovation.jp/topics/detail/9547

ハロリノSTORIES一覧へ戻る