地域の魅力は、つながるから見えてくる。ハロリノ流の「移住お試し住宅」を大磯に!
みなさん、こんにちは! ハロリノのダイキです。ハロリノではこれまでのコミュニティづくりの経験を活かし、神奈川県大磯町で“持続可能なお試し移住住宅”プロジェクトに挑戦しています。この取り組みが運営関係者や移住検討者が抱える課題解決のヒントになればと思い、“地域とつながる”というコンセプトに込めた思いや目指すあり方についてまとめました。
1. 移住お試し住宅の現在地と、いま抱える課題
行政主導で各地に広まったお試し移住住宅
自治体における移住お試し住宅の課題が「住宅づくり」から「いかに移住促進につなげるか」というフェーズに移行し、利活用のノウハウの取り込みがテーマとなっています。
移住お試し住宅とはどういった住宅でしょうか。誕生の背景には「まち・ひと・しごと創生法」の施行があります。同法が施行された2014年を境に移住定住の流れは大きく変わりました。各自治体が総合戦略を策定して人口の東京一極集中から地方に移住を促し、地方活性化の取り組みを進める中で始まったのがお試し移住住宅です。
いまの課題は「いかに移住へつなげるか」
スキームは、自治体が主導となって個人所有の空き家を借り上げたり公的賃貸住宅を活用したりして中長期滞在者用の施設に整備、運営していくことが一般的ですが、自治体予算に依存した事業構造だけでは持続可能な事業になりません。各地で成功事例が数多く生まれる一方、宿泊料金が周辺相場などを鑑みず安価に設定したり、先輩移住者との交流イベントなどの人件費がかさんだりして費用対効果が問われ、事業を断念する自治体も出ています。
移住・交流推進機構が2020年に発表した報告書によると、移住体験施設利用者の約9割が移住後の生活環境や暮らしをイメージしやすくなったと答えながらも、運営者の半数以上は実際の移住・定住につながらない、3割以上は施設の利用が少ないと回答。「いかに施設を利活用し移住定住の促進につなげるか、というフェーズに差し掛かる自治体が多くなってきていることがうかがえる」としています。*1
2. 住民主導の運営で、地域とつながる体験を
移住お試し住宅が抱える「運営コスト」と「施設活用のノウハウ不足」という課題を解決するため、ハロリノは地域コミュニティ運営で培ったノウハウに共感投資ファンドを掛け合わせ、移住希望者の受け皿が不足しているという神奈川県大磯町で持続可能な移住お試し住宅づくりにチャレンジしています。
平野邸に続く、暮らしを伝えるプロジェクト
つくるのは住宅というハードだけではありません。コロナをきっかけに都心を離れる選択肢を持ち始めた人たちに、移住体験を通してまちの魅力を感じてもらえる場です。これまで培ってきたコミュニティづくりのノウハウを活かし、地域と連携しながら観光では味わえない人や場所との橋渡しする役目も担っていきます。
ぼくらは鎌倉、逗子、葉山を中心にまちづくりの仲間を増やしていくことを軸に不動産仲介や建築設計、施設運営を展開してきました。物件を紹介する際も物件案内をするだけでなく、地域の魅力とコミュニティを体感してもらい「このまちに住みたい!」と思ってもらえてから自分らしい暮らし方ができる住まいを提案しています。
移住お試し住宅から生まれるソーシャルキャピタル
現地ではすでに交流イベントを開催しており、参加者から「大磯に移住したものの地域とのつながりがつくれていないので、こういった場があるととてもうれしい」といった声が寄せられています。
地域のつながりをつくる上では地域を知る人の存在が欠かせません。強力なサポーターとしてこのプロジェクトをいっしょに進めているのは「ふるさと回帰支援センター大磯」代表で、今回活用する建物のオーナーでもある富山昇さん。
富山さんは、これまで移住促進を目的に大磯の魅力を体験できるイベントなどを数多く企画するほか、町と移住支援に関する協定を結んで活動してきました。今回新たにご自身の建物を活用し、移住に向けてアクションを起こしたい人の背中を押したり、地域とつないだりする役割を担います。
プロジェクトの最大の特徴は、地域課題を解決するアイデアと共感、お金をつなぐハロリノの共感投資ファンドを用いて事業展開すること。一人ひとりの思いある投資にサポートされた事業構造は、地域の人たちがまちの課題を自分ごと化して移住者を迎え入れていく移住モデルをつくることにつながります。
大磯在住者や出身者、大磯エリアが好きな方はもちろん、移住お試し住宅の運営に悩んでいる人、空き家活用を検討している人など、ぜひこのプロジェクトに参加してください。
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参考資料
*1 2019年度移住体験施設実態調査 調査研究報告書