公的不動産とは? 民間の有効活用の考え方やメリット、留意点などを解説

人口減少や高齢化社会において地域の活力を維持していくためには、人が気軽に集まり、さまざまな活動に使える場が必要です。近年は空き家など民間の不動産ストックに加え、廃校など使われなくなった公的不動産(PRE)も地域資源として積極的に活用されています。遊休不動産の利活用に向けて不動産まちづくりの基本を知るシリーズ、今回は「公的不動産」についてです。

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公的不動産の証券化とは? 活用方法やスキーム、事例を解説

1.公的不動産(PRE)とは

(1)公的不動産の定義

一般的に「公的不動産(PRE:Public Real Estate)」とは、国、地方公共団体、地方公営企業、地方三公社、第三セクターなどが所有する土地およびその定着物(建築物など)を指すと考えられています。また、国土交通省においては、地方公共団体が所有する不動産のこととされています。

(2)公的不動産の民間活用推進の背景

国や地方公共団体が不動産を保有する主な目的は、公共サービスの提供など施策目標を達成すること。しかし、リーマン・ショック後、多くの地方公共団体において厳しい財政状況や人口減少、公共施設の老朽化などに対応しながら活気あふれる地域経済や行政の効率化を実現していくことは難しいのが実情。次第に行政と民間の連携による創意工夫が求められるようになりました。さらに、官民パートナーシップの動きが広がっていることも公的不動産の活用に影響を与えています。このようにして使われていない公的不動産を有効活用することで、まちのにぎわいを創出して地域の価値や住民の満足度を高め、新たな投資やビジネスの機会をつくることができるのです。

こうした公的不動産を取り巻く社会環境の変化を、次の4つの観点から整理しています。

・人口減少と少子高齢化の進展
公的不動産の活用に関わる要素として、人口減少と少子高齢化が重要です。多くの地域で総量の見直しが必要で、子どもの減少や高齢者の増加により必要な公共サービスも大きく変化しています。こうした状況を踏まえ、今後のまちづくり戦略を考慮した公的不動産のあり方が求められています。

・公共施設の老朽化に対応した適正管理の必要性
国や地方公共団体が保有する公共施設は、1970年代に集中的に整備されたため、施設の更新時期が到来しており、その建て替えや大規模修繕は今後10〜20年間に集中することが見込まれています。しかし、財源確保が大きな課題となっており、現在ある施設を修繕・改修して長期間使用する取り組みや、集約・再編などの方法で財政負担を減らす必要があります。

・財政制約の高まり
地方財政の財源不足は、地方税収の落ち込みや減税などによって拡大しており、財源確保が課題となっています。また、借入金残高も増加しており公共施設の効率化が求められます。将来の人口と税収見込みを踏まえた持続可能な経営を行う観点から、公共施設の保有と利用のあり方を考えることが求められます。

・民間の資金・ノウハウの活用拡大
公共施設整備においてはPPP/PFIや指定管理者制度、市場化テストなどの官民連携手法や民間参入が求められており、公的不動産においても民間の資金やノウハウを活用する選択肢が広がっています。PFIと公的不動産は両者ともPPPの一形態であり、PFIは公共サービス調達の手法、公的不動産は公共施設の有効活用が主な目的ですが、両者は密接に関連しており、PFI事業の中で公的不動産を活用する場合や一緒に実施する場合もあります。

なお、PPP/PFIは公共サービスに民間資金を活用する官民連携手法で、新しい資本主義における「新たな官民連携」の取り組みの柱となっています。「PPP/PFI推進アクションプラン(2022年改定版)」では2022年から10年間の事業規模目標を30兆円に設定し、文化・社会教育施設、大学施設、公園など新たな分野を重点分野に追加。さらに民間提案制度の実効性の向上など民間の創意工夫が一層発揮できる施策の強化が重視され、特に2022年度からの当初の5年間を「重点実行期間」として、関係府省が連携して支援策を拡充・重点投入するなどのポイントが盛り込まれました。

2. 公的不動産における民間利活用の考え方

国土交通省では、コンパクトシティ推進のために公共施設の再配置や民間機能の不足に対する公的不動産の活用を進めるなど、まちづくりの観点からも公的不動産の有効活用が推進されています。活用の考え方はさまざまですが、地方公共団体だけで進めるには限界があるため、近年は合築による施設整備や民間事業者からの提案に応じた有効活用、民間事業者との連携も増え、創意工夫による効果も見られるようになりました。

公的不動産の有効活用の考え方

出典:公的不動産の有効活用等による官民連携事業 事例集 P.7

3. 地方自治体の情報一元化で、民間事業者とマッチング

国や民間事業者が運営する公的不動産に特化した情報サイトでは、公的不動産の有効活用に積極的な地方公共団体と民間事業者などのマッチングを目的に、地方公共団体が開示している関連情報を一元的に提供されています。たとえば国交省のポータルサイトでは民間提案窓口情報をはじめ、地方公共団体等の開示している低未利用地の売却・貸付け情報、国土交通省や関係府省における公的不動産に関する取り組み情報なども紹介し、公的不動産の有効活用を促進しています。

物件情報を3つの区別で見ることができます。

(1)公的不動産の民間提案窓口

公的不動産の有効活用に資する民間提案を積極的に受け入れるための窓口を設置している地方公共団体の情報を提供しています。

(2)公的不動産の売却・貸付け情報

地方公共団体などが開示している低未利用地の売却・貸付け情報を掲載しています。

(3)総合評価一般競争入札/公募型プロポーザル情報

競争入札は公報やホームページ等で広く入札希望者を募集し、入札参加資格を満たす者の中から定められた価格以上で最も高い価格の入札者を落札者とする方法です。また、公募型プロポーザルは公報やホームページ等で広く参加希望者を募集し、提出された企画書・見積書やプレゼンテーションの中から最も優れた提案を決定します。このほか競争の方法によらないで、任意に特定の相手方を選択して締結する随意契約という契約方法もあります。

なお、公的不動産に関する情報は国土交通省のポータルサイトをはじめ、以下のサイトなどで見ることができます。

・国土交通省 公的不動産(PRE)ポータルサイト
・LIFULL HOME’S 空き家バンク・公的不動産物件全国一覧
・アットホーム 公的不動産(PRE)物件情報サイト

4. 公的不動産の民間活用のメリットと留意点

公的不動産の民間活用のメリットは、まちづくりの観点と財政の観点、留意点について、公共側から見た場合と民間側から見た場合それぞれの観点を表にまとめました。

(1)民間活用のメリット

まちづくりの観点からは、公的不動産の一部を民間事業者に貸し付けることで、商業開発や住宅整備を進め、公共サービスと複合化することが可能であり、地域の活性化を図ることができます。これにより、住みやすく持続可能なまちづくりを目指し、地域活性化に貢献することが期待されます。また、財政の観点からは、公的不動産を民間事業者に貸し付けて賃料収入を得ることで、公共サービスの提供などに必要な財源を確保できます。不要な公的不動産の処分は管理コスト削減やリスク軽減に繋がり、市町村で民間事業者が取得したり公有地に建物を保有したりすることで、固定資産税等の税収増にもつながります。これらは財政健全化への貢献となります。

(2)民間活用の留意点

公的不動産を民間活用する場合には、事業内容への反対や心理的抵抗感などに対処する必要があります。地方公共団体は説明責任を負うため、事業実施条件の設定や事業者選定に留意する必要があります。また、民間事業者の倒産や撤退、望ましくない第三者による権利譲渡などの事態を防ぐための対策が必要です。

出典:公的不動産の民間活用の手引き P.16

今年度から国は地方公共団体における民間事業者からの提案を促進するため、受付体制や情報発信を強化。PPP/PFIに対応する窓口の設置状況やサウンディングの公募及び民間提案の事業リストの公開状況を一覧化し、民間提案が積極的に実施された事例を紹介することで、地方公共団体が民間の創意工夫によって効率的かつ効果的な公共サービスを実現するための支援を行っています。

公的不動産の利活用には、事業資金の確保が求められます。ハロリノでは不動産証券化手法の一つである不動産特定共同事業(FTK)を活用し、共感投資ファンドを運営しています。共感を軸に投資いただいたみなさんと地域住民とが長期的に関わる機会をつくりながら遊休不動産の利活用に取り組んでいます。空き家や空きビルなどの利活用に関心のある人はぜひお気軽にお問い合わせください。

株式会社エンジョイワークス 事業企画部
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〔エンジョイワークスについて〕
エンジョイワークスは不動産探しから建築設計、建築後の建物の運営・管理ノウハウの提供まで、まちづくりに関連する事業を展開。地域の一人ひとりが、自分の家づくりやお隣さん、まちとの関係を「自分ごと」として考え、行動する人を増やしていくことで、「住」の分野を進化させ、自分自身もまわりの人もより豊かに生きられる社会となるよう活動しています。

その活動の柱にあるのが「共創(Co-Creation)」です。企業のミッションに「ライフスタイル(暮らし方、働き方、生き方)について自ら考え、自ら選択することのできる仕掛けを提供し、共創する機会を生み出すことで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します」を掲げ、達成に向けてさまざまな「参加型まちづくり」のツールをワンストップで提供。多様な人々と一緒に、みんなにとって価値あるものをつくり出すため、多様な人々の多様なライフスタイルと事業の実現をサポートしています。

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