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自然のなかで祈り、先祖に水を捧げる「ギーザバンタ」。受け継がれる沖縄の正月行事

ハロリノ編集部

「本当の沖縄」を体感してもらいたいと、沖縄の八重瀬町で始まった「上江門家リノベーションプロジェクト」。琉球の影がそこかしこに残る伝統的木造住宅の魅力を残しながら、一棟貸しの宿として再生する取り組みが進んでいます。今回、プロジェクトメンバーの宮城さんから、上江門家で代々受け継がれてきたお正月行事のレポートが届きましたのでお届けします。

断崖そばで執り行われる、上江門家の正月行事

こんにちは。プロジェクトメンバーの宮城です。お正月の最中の1月2日は、上江門家の家主であり、みんなに「おかあさん」と呼ばれているプロジェクトリーダーの上門加代子さんの招待を受け、上江門家の方々が「ギーザバンタ」と呼ぶ正月行事に参加させていただきました。

ギーザバンタ(慶座絶壁)からの眺め。沖縄には何カ所も「バンタ」と呼ばれる絶景の断崖絶壁があります

ギーザバンタ(慶座絶壁)とは、八重瀬町慶座(ぎーざ)地区にある海に面した標高約40mの断崖の名称です。毎年その地で行うため、上江門家一族はギーザバンタと呼ぶようになったのでしょうか。観光地としての知名度は低く、地元の方々くらいしか行かないところだと思われます。

当日は上江門家一族の方々が15名ほどいらしてました。その中で女性はおかあさんだけです。親族一同のことを沖縄県では「門中(もんちゅう)」と呼びます。たとえば、基本的に男子は先祖伝来の共同墓に埋葬されますが、このお墓のことを「門中墓」と呼んでいます。

上江門家では門中から2年間のローテーションでこの行事を執り行う担当者が決まっています。ギーザバンタへ流れる水路脇の草藪の奥に以前は井戸があったようです。その前で、今年の担当者の方が、お酒やお米を入れた「ビンシー(瓶子)」(屋敷願いの内外で用いる道具箱)をお供えして祈ります。うしろにはほかの門中の方々が控え、同時にお祈りをします。

私の理解では、八重瀬町は昔から農業地域であり、そのために水はどうしても必要なものだった。そこで、地元の人々が水の神(?)を祭っていたのでは、と思います。つまり、この辺りを水源だと見なしていたのではないでしょうか。

先祖を敬う「うーとーとぅ」を、これからも絶やすことなく

さて、お祈りが終わり、そこで汲んだ水を持ち帰ります。上江門家へ向かう途中の八重瀬町安里地区に入る国道近くに松の木があります。その松の木の下でノロの祈祷があります。例年ならば、参加者それぞれに祈祷をするようですが、今年はコロナ禍なので代表して安里地区の区長さんだけとなりました。

区長さんだけへの祈祷でしたので、そこでの儀式はすぐに終わり、上江門家へ向かいます。ここには、当初ギーザバンタでの儀式に参加した方全員ではなく、おかあさんと門中の方がほかに2名、という人数になっていました。

ギーザバンタで汲んできた水をまず、上江門家の敷地内にある社のあった場所へ行き、その水を捧げてそこでお祈りをします。

そのあと、上江門家の屋内にある先祖代々の仏壇にその水を捧げます。ここまで参加した門中の方がご焼香をして「うーとーとぅ」をします。沖縄県では、先祖にご焼香をして仏壇に向かって手を合わせるときのことをこう呼んでいます。漢字では「御尊い」となります。

これで、上江門家の方々が呼んでいる「ギーザバンタ」の儀式が終わります。八重瀬町の方々は、上江門家も含めて先祖代々から受け継がれてきた儀式を絶やすことなく今でも続けています。

その後、私からのお願いもあり、おかあさんに上江門家のお墓を見せてもらいました。上江門家のお墓は戦時中に日本軍に接収されてしまい、それ以降は自然の洞窟をお墓にしています。沖縄県でもこういう形態のお墓は少ないと思います。

上江門家から海のある方向へ向かい、連なる畑の道を進んで行き、ちょうど海側と畑を分けるようにある小高い森にある洞窟(ガマ)をお墓にしていました。農道から約20メートルの階段を登っていきます。

そこは、戦後すぐに移されたとのことなので約70年は経過していると思います。お墓というよりは、自然の丘の岩盤に扉が付けられている不思議な感じがする場所でした。

「本当の沖縄」に出会えるプロジェクト、再始動

今回、上江門家の儀式「ギーザバンタ」に参加させていただき、上江門家の歴史に触れ、八重瀬町安里地区の文化を感じることができました。毎年、門中の方々が欠かさずに集まり、これを執り行うということも驚きでしたが、安里地区の方々が同じように行っている、ということにもこの地域の特異性を感じました。

「上江門家リノベーションプロジェクト」は、こうした八重瀬の地域で昔から受け継がれてきた、人と人の結びつきを大切にする沖縄の文化を、広くみなさんにもお伝えしたいと取り組んでいます。コロナ禍で活動自粛しておりましたが、オンラインの形を取り入れて、「本当の沖縄」を楽しんでいただける方法を検討しています。どうぞご期待ください。

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これまでのハロリノSTORIES記事
・沖縄県八重瀬町の琉球古民家で「本当の沖縄」を知る
https://hello-renovation.jp/topics/detail/6811

・沖縄の伝統と歴史に触れる「琉球舞踊から考える本当の沖縄とは Vol.1」
https://hello-renovation.jp/topics/detail/7063

・「本当の沖縄を知る」。沖縄の人が旧正月を大切にする理由
https://hello-renovation.jp/topics/detail/7683

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