「社会におけるウェルビーイングを高める」投資家インタビューvol.15 北名勝正さん

ハロリノ投資家さんに、投資にいたった理由やハロリノに期待することなどをうかがい、ハロリノサービスの向上を目指すインタビュー企画。今回登場いただくのは北海道にお住まいの北名勝正さんです。「投資家の人たちとプロセスを共有しながら、”共感投資”という新しい市場をつくり上げていこうとするところに乗っかってみようと思った」という北名さんはなんと福田研究室※にも参加中という、ハロリノ愛にあふれた人でした。

ハロリノ投資家 プロフィール
北名 勝正 さん
北海道札幌市出身、札幌市在住
職業:フリーランス(ビジネスデザイン)
趣味:森づくり
出資先:鎌倉雪ノ下シェアハウスファンド(募集終了)、函館・歴史的建造物の継承ファンド(募集中)

1. “社会の価値”の伝え方を模索して出会った共感投資

――北名さんはいまビジネスデザインなどをされていらっしゃるんですね。
ゼロからイチを生み出す事業創出が得意で、さまざまな企業で1、2年併走しながら事業の立ち上げをサポートする、みたいなことを生業としています。最近はまちづくりのなかでエネルギー施策の検証と策定支援、制度設計にも取り組み始めていて。子どもがまだ小学生と中学生なので、時間の使い方は、半分は仕事、半分は子育てで、社会的な価値を提供していくにはどうしたらよいのか、みんなが持っているペインをどう解消していけるのか、といったことを考えています。

いま僕が事務所としているのは、自宅近くにあるボロボロの古民家でした。旗竿地にあって再建築不可のためオーナーに利活用の相談を受けまして。地域コミュニティが生まれる場所にするために自分で直してカフェ営業ができるような状態にして事務所兼用で使っています。

DIYで修繕して地域に開いた「ピコロ」

週に一度、地域にひらくと地域の子どもたちが遊びに来ます

2. 地域とつながりながら不動産投資を組成するということ

――場づくりの経験から、ハロリノに興味を持たれたのでしょうか。
そうですね、「地域コミュニティのつくり方 不動産」といったキーワードをネットで検索していたときに出会いました。“共感する投資”みたいな言葉で表現されたエンジョイワークスの活動を見かけてすごいなと思ったのがきっかけですね。地域の方々とコミュニケーションをとりながら不動産投資を組成している点に非常に興味を持ちました。

北名さんが初めて参加されたハロリノイベント「空き家・空室課題を解決! 共感投資ファンド説明会」2022年1月8日開催 https://hello-renovation.jp/news/detail/13000

僕は不動産免許を持っていて不動産開発の仕事に携わることがありますが、地元の方々を無視した開発が多いんです。たとえば北海道ではニセコの開発を見ていると「上の人たちがやっていることだから自分たちは関係ねえんだよな」といった地元の方のネガティブな印象もあって。地主さんは坪1万円より坪50万円で売りたいから外資系企業にポンって売ってしまうみたいなことも目の当たりにしてなんか変だなと。

そんなときに“共感する投資”を知って、この方が人間っぽいし、人として心がきれいな投資だなと思いました。そこでたまたま鎌倉雪ノ下ファンドを募集していたので、ちょっと参加してみよう、とリノベーション工事中の現地を見学させてもらったんです。

3. コミュニティをつなぐため、自分のリソースを社会へ

――まちづくりはご自身で事業をするなかで関わられてきたのでしょうか?
まちづくりは50代になってから始めました。20代は音楽業界、30代は不動産業、そして40代では子どもが生まれて仕事を全部やめて専業主夫になって。10年間子育て中心の生活をしていくなかでいろいろ見てきて「豊かさって何だろう?」と考えたら、経済的なもの以外の方が大事ではないかと思ったのです。

今年は親子で木工デビューも

地域で一人で暮らすおじいちゃんやおばあちゃんを見たり、お子さんが地方や東京に行って帰ってこない、といった話を聞いたりすると、なんかもの悲しくて。分断されたコミュニティをつなげないかなと考え始めたのがちょうど3年ほど前ですね。そこでビジネスデザインをして稼ぎつつ、僕のリソースを社会にうまく還元していける循環モデルづくりを試しながらやっています。

――ハロリノへの投資のモチベーションになったことは何でしょうか?
とくに興味を持ったのはプロセスを投資家の人たちと共有してつくり上げていく部分です。お金しか生まない株や為替のフェーズは自分の中では終わっていて。一人ひとりのウェルビーイングの指標であるGDW(国内総充実)をどう増やしていこうか、というところにいまは関心があるので、それをGDP(国内総生産)と一緒に両輪で回していこうとしている福田さんはすごいと思いました。鎌倉といえばカヤックさんも同じで「地域社会資本」といっていますよね。鎌倉すげえなって最近、思うんです。

4. GDPだけでなくウェルビーイングも大切

――一口5万円、運用期間5年間について、どのような印象でしたか?
5万円は参加しやすい設定だと思います。ファイナンシャルのリテラシー教育が学校で始まるタイミングということもあって、お金や投資に対してネガティブな印象を持つ人の多い日本人の認識がどんどん変わっていくなかで、投資に興味を持った人が参加しやすい金額。5年という運用期間は不動産開発をしてきた立場としては短いほうですよ。

――身近な方でハロリノに共感(投資)いただけそうな方、イメージできますでしょうか。
「お金のフェーズが終わった人」というんですかね。お金はもちろん大事ですが、お金だけでは幸せにならないということを分かっていて、「世の中はお金だけじゃないよ」といえる人たち。どっちがいいとか悪いではなく、GDPだけでなくウェルビーイングも大事だと感じています。

5. 知見は次に生きる。気持ちはハロリノ全体への投資

――ハロリノへの出資に対して、投資という概念はどれくらいありますか? 投資の有無や口数の判断基準は?

正直なところ利回りは期待していないです。リスクのある物件、たとえば対象物件が山の上に建つ鎌倉雪ノ下ファンドに普通なら投資しないと思います。でもその物件単体で見るのではなく、それをたくさんして広く横展開して仕組み化していこうとしていること自体に意味がある。だから僕は個別のファンドという部分的な話ではなく、ハロリノという全体の価値に投資している感覚があります。

「鎌倉雪ノ下シェアハウスファンド」を募集した「ていねいな暮らしを楽しむ女子のシェアハウス」プロジェクトの草刈りイベント

オーケストラとバイオリニストの関係のように部分が全体で、全体が部分ですね。僕が投資しているのはチェロとバイオリン。だから僕はいろいろなものが奏でるオーケストラとしての響きが聴きたい、ハロリノの響きが聴きたいです。

投資の判断基準は、共感投資という新しい市場をつくり上げていこうとするところに乗っかってみようという感じなので、おもしろそうな案件が出たらまた出資すると思います。どれがうまくいったとか、回収できたというのは結果でしかなく大事なのはプロセス。うまくいったプロセスにはどういった背景があるのか? うまくいかなかった背景は何だ、というところに価値があると思っています。投資の結果が元本割れしても知見は次に生きていくので。

――先ほど「お金だけを追うフェーズは終わった」と話されました。まさに私たちハロリノは不動産投資への関心から、ウェルビーイングなどの文脈でハロリノに関心を持っていただける方を増やしていきたいと考えています。今日は本当にありがとうございました。


ハロリノについて
不動産クラウドファンディング「ハロー! RENOVATION」は、資金調達という空き家問題の根本課題にひとつの解決策を示し、みんなで空き家再生を加速させる仕組みづくりに取り組んでいます。想いを持って投資いただいたみなさんにファンドの運営状況を定期的に共有し、投資家コミュニティで交流できる機会を設けています。事業アイデアや応援の声をシェアすることで、より良い事業運営や場づくり、さらにはまちの活性化やまちづくりにつながると考えるからです。「共感投資」という形で想いを託したプロジェクトをぜひみんなで育てていきませんか。

これまでの投資家インタビューもご覧ください
https://hello-renovation.jp/hashtag/result/89

ハロリノ・ファンド一覧
https://hello-renovation.jp/projects

※ハロリノの運営元エンジョイワークスの代表福田和則が担当する次世代まちづくりスクールの専門課程。実際に動いているプロジェクトを教材にした実践型ゼミで、福田やハロリノプロデューサーと一緒に共感とお金を集める事業計画とファンド活用について学びます。 https://hello-renovation.jp/machi-school/lab/3

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