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あなたの社員もサーフィンに行かせよう①

ハロリノ編集部

鎌倉の「由比ガ浜」と言えば、真っ先にビーチを思い出す人もいるかもしれない。都内からJR横須賀線で1時間の距離にあるため「ふと、海が見たい」の思いつき行動にも応えてくれる点が魅力だ。そんな由比ガ浜の海からほど近い位置、江ノ電「由比ヶ浜」駅からも徒歩20秒という場所に、古いテナントビルが建っている。海辺のこのビルに持ち上がった「これからどう活用する?」というプロジェクト。話の発端から工事の進捗に至るまで、一部始終をほぼリアルタイムでレポートしています。

 

鎌倉で不動産業と一級建築士事務所(に始まりカフェやゲストハウス、空き家再生など多様な事業)を営む我々エンジョイワークスと、この古いビルとの出会いは、ある地元の不動産業者さんからの紹介だ。1階のテナント管理をやりませんか?という話だった。理由は「あなた方のほうが物件の近所だからよりきめ細かくケアしてあげられる」というもの。鎌倉らしくなんとも素朴な、しかしありがたい話である。

1階は洋装店、革製品店、洋食屋、美容室などの店舗が営業しており、いずれも観光客相手というより地元の固定ファンを抱えたローカル色の強い店群。

そしてこのビルの2階・3階はオーナーの住居となっている。建った当時は小さな子どもだったオーナーもとうに成人して巣立ち、今はオーナー一家のお父上が2階の半分に一人で住んでおられ、2階の残りと3階部分はあまり使われないままになっていた。

 

 

由比ヶ浜駅から近い

テナント管理の打ち合わせでオーナーにお会いすると、「このビルも随分古くなったから建て替えたいと思ってる」と打ち明けられた。お父上もご高齢になられたので元気なうちに、後の心配がないよう、特に耐震面を含めて建物を整えておきたいとのことだった。

ところが、である。

 

 

外観横から

調べて行くとこの建物は、実は建て替えをすることによるデメリットが複数あることに行き当たった。

まず第1に、新築に建て替えると今よりも小さな建物になってしまう。この建物が建てられた後に法令や自主ルールに変化があったため、これから新築すると当時と同じ規模の建物は建てられない。

第2に、コストの問題。

建物をまるきり建て替えるとなると、この規模のビルであればそれ相応にコストがかかる。コストがかかれば、賃料もいずれ上げざるを得ない。そうなった時、果たして地元密着の今のテナントさん達は商売を続けられるだろうか?

3に、テナントの営業の問題。建て替えることになれば、嫌が応にも全てのテナントにいったんは出て行ってもらわねばならず、テナントにもオーナーにも負担が大きい。

 

このように、新築のビルへ建て替えるのには、さまざまなリスクがあることが分かってきた。

しかし何より我々が気になったのは、オーナー自身のお気持ちはどうか?ということだった。

古くなったとは言え、自分が育ってきたビルだ。子どもの頃から長い時をここで過ごし、友達や近所の人や家族とのたくさんの思い出が詰まった場所である。それが本当に、全く違う建物になってしまった時、オーナーはどんな気持ちになるだろうか?ふるさとを失ったような淋しい気持ちになりはしないか?

オーナーは言葉にこそしなかったけれど、我々はやりとりを重ねる中で、無視できない何かを感じていた。

ここへきて「リノベーション」の可能性が浮上してきた。

 

 

由比ガ浜の海までは歩いて数分

時を同じくして、鎌倉市で2つの新しい動きが起きていた。

鎌倉は言わずと知れた「観光のまち」だ。自然があり、歴史があり、文化もあり、商業も充実している。

しかし「仕事場」が少ない。

鎌倉で仕事がしたいと思っても、小売・飲食・サービス業以外の選択肢は多くはない。これだけ都心にも近く、大勢の訪問者があるまちでありながら、ビジネスのバリエーションが乏しいのだ。

そこで鎌倉市は2016年に「働くまち」のイメージを目指し、鎌倉市内の空き家・空き店舗などを改修してオフィスとして活用する事業に対しサポートすることを決めた。

一方で、都心にオフィスのある名の通った大手企業やその社員から「湘南でテレワークできる場所はないか?」という相談が我々に寄せられる機会が増えてきていた。

「働き方の自由化」が進み始めている今、都心のオフィスに毎日通うのではなく、自宅はもちろん、その日によって好きな場所で仕事をするスタイルが、企業でも認められるようになってきたのだ。

これまでは「在宅ワーク」と呼ばれ、子育てや介護、療養など特別な事情の下で許容されてきた「出社しない働き方」が、より良い成果を上げるための効率的な手法の一つとして、あるいはより優れた人材を確保するための手段の一つとして、企業の側でも積極的に取り入れようとする動きが高まっている。ノマドワークはもはや、フリーランスだけのワークスタイルではなくなってきている。

そんな流れの中で、東京から電車で約1時間でありながら、海も山もカルチャーもある「鎌倉」は、極めて魅力的な2つ目の拠点になりうる。新しい働き方に取り組み始めた企業や社員にとっては、気軽にトライしやすい別天地。鎌倉から始めてみよう。そう考える人は少なくないはずだ。

 

 

打ち合わせ風景

こうして、我々は由比ガ浜の古いビルを「都心企業のサテライトオフィス」としてリノベーションすることをオーナーに提案してみた。

お父上の居住空間は3階につくり、2階部分および1階の裏手にある遊休スペースを活用してワーキングプレイスをつくる。

しかも「鎌倉の海に近い」からこそ実現できるスタイルがここにはあるはずだ。

我々のそんな提案を、果たしてオーナーはどう受け止めてくれるのだろうか?

次回へ続く>>

 

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