ハロー! RENOVATION

民泊Airbnbとリノベーションの観点で語った、賃貸マンション再生の新しいかたち

ハロリノ編集部

空室の多い築古マンションの再生に求められるのは、不動産・建築業界の脱慣習に挑むことでした。兵庫県尼崎市の築50年ほどのマンションを再生させるクリエイティブ賃貸プロジェクトのキックオフとして4月27日、トークイベントをYouTube Live配信で開催。豪華ゲストとともに民泊とリノベーションの観点から「賃貸物件の新しい可能性」を探ったトークセッションの様子をお届けします。

目次
1. ITの力で、賃貸の新しい仕組みが誕生
2. Airbnbがコロナ禍でも強い理由
3. 賃貸業界に求める脱慣習のリアル
4. 「賃貸」と「宿泊」の潮目探しをみんなで

1. ITの力で、賃貸の新しい仕組みが誕生

多彩なゲストをお招きして開催した今回のイベント「オーナーも入居者も稼げる!? “クリエイティブ賃貸”を考える会議」。メインコンテンツのトークセッションは、内山さん、森さん、大谷さんに加えてハロリノ運営元エンジョイワークス代表の福田、松島のメンバーで、民泊と賃貸リノベーションの事例をどのように活用していくとマンション再生プロジェクトがおもしろくなるかを考えました。

登壇者
u.company代表取締役 内山博文 さん
Airbnb Japanホームシェアリング事業統括本部本部長 森あつお さん
大谷マンションオーナー 大谷昌義 さん
エンジョイワークス 代表 福田、取締役 松島、事業企画部 長嶋

松島:どういったことをやっていくにあたっても仕組みが重要になります。そこで、まずは新しい仕組みがなぜ生まれてきたのか深掘りしていきたいと思います。内山さんは今年6月に仙台の元分譲マンションを一棟丸ごと複合施設にコンバージョンしたプロジェクト「Blank」を発表されましたが、その仕組みが生まれたポイントはどのあたりでしょうか。

「暮らす/働く/遊ぶ」の境界を取り払い、多様な機能が混在する東北の新たな活動拠点「Blank」 https://ucompany.co.jp/news/detail.php?id=321
本イベントでの内山さん発表事例「BLANK」パートの動画を限定公開中です。詳細は記事下をご覧ください。

内山:このプロジェクトには企画と建築プロデュース、プロジェクトマネジメントとして携わりましたが、ホテルと賃貸住宅事業は空間的には近くても運用はまったく違うもの。ITの力があったからこそ住宅に近いオペレーションで実現できたのではないかと思っています。Airbnbもですよね。僕もよく使って海外のいろいろな家を体験させていただいていますが、Airbnbは少し前まではありえないサービス。地球の裏側のホストとゲストがつながり、勝手に遊びに来てくれる。そんな昔の映画であったような非現実的だと思っていたことが、一瞬にしてできるようになったというのはすごいことです。

前職ではシェアハウスもたくさんやっていましたが、じつはシェアハウスはワンルームの賃貸物件より少し回転率が高いんですよね。だからプラットフォームに広告をのせて集めようとしても追いつかないくらいで。ITの仕組みができて一個人がSNSやメディアで発信できるようになった時代だからこそできるサービスだと思います。そこに集まる方々が大事になってきますね。

松島:僕もAirbnbのプラットフォームができてから急速にユーザーの暮らしが変わったんじゃないかなとめちゃくちゃ思っています。森さん、そのあたりいかがですか?

森 :そういっていただけると我々もありがたいです。みなさんの生活の仕方がどんどん変わってきましたし、それを内山さんがおっしゃったようにITの力が暮らしを支えているんだなあと。いま東京で部屋を借りている方が明日もその部屋にいる必要はなく、軽井沢で仕事をしてもいいし、海外でもいい。それができるような身軽な世の中になってきたんですよね。それがどんどん加速する中で、賃貸で借りている部屋を自分がいない間、ただ荷物を置いているだけである必要はないということがスタンダードになってきたんだと思います。資産を含めて、いろいろなものの持ち方が今どんどん変わってきているんでしょうね。

2. Airbnbがコロナ禍でも強い理由

Airbnb公式サイトのトップページ https://www.airbnb.jp

内山:話が飛んじゃうかもしれないんですけれど、コロナになってAirbnbさんは大変だなあと思っていたんですが、アメリカではコロナ禍で稼働率が高まったと聞いたことがあります。

森 :そうですね、人の考え方、住み方、暮らし方などすべてが変わったことで、これらのニーズにマッチしたんですよね。結果としてアメリカなどいろんな場所でAirbnbがさらに急速に広がっていきましたし、アジアでもそういった流れがあります。ご家族や身近な人だけで一軒家を借りて1、2週間の旅を計画し、お父さんお母さんはパソコンを持っていってそこで仕事していればいいじゃないかと。そうした中でも、人とのかかわりを欲するというのもものすごくあって、Airbnbは距離を保ちつつ身近になれるというんですかね。ホストさんとの会話を楽しんだり、現地のコミュニティとのかかわりを楽しんだりしたいといったニーズもあるので、人がいま求めているものをサービスとして上手にサポートしていきたいと思っています。

松島:福田さん、エンジョイワークスが鎌倉逗子葉山エリアで地域の人と暮らしについて考える取り組みをしている点から、お二人の話を受けて感じることはありますか?

福田:豊かさの軸の変化が大きいのではないかなと感じています。分かりやすいのはコロナ禍に入ってからの働き方の変化ですよね。お父さんたちがまちにいっぱいいるじゃないですか。保育園の送り迎えがママからパパに変わったり、家族が家にいる時間が増えたりして暮らしの解像度がぐっと上がっているのかなあということは感じます。同時に地域へのコミット度もすごく高まっていて。豊かさの軸はこうしたところに見られるのかなと。もうひとつ「新しい賃貸」の仕組みを考えるとき、キーとなるのは大家さんですよね。入居者さんとなんかおもしろいことをできたらいいな、新しい価値を見つけられたらといった大家さんの意識の変化も大きい。こうした意識のある大家さんがいて初めて「新しい賃貸」の仕組みが実現すると感じています。

3. 賃貸業界に求める脱慣習のリアル

松島:大家さんと入居者の理想的な関係についておうかがいします。いろいろな暮らし方を賃貸物件で実現しようと考えるとき、大家さん側がライフスタイルに対してどういった姿勢で臨んでいくのかは大切なポイントになりますよね。大谷さんは大家さんとして、これまでのお話をどのように感じていますか?

大谷:現状は大家と入居者の関係性はワンクッション置いているような感じ。もっと入居者さんの暮らしに寄り添い、近づけたら新しい関係性が生まれるかもしれませんね。この人はこういうスキルがあるから一緒にこんなことができるかもしれない、こういうこともできるかもしれないなと、話を聞いていて思いました。

松島:昔の大家さんはそこにどういった方が住んでいるのかをよくご存じで、寄り添う姿勢で暮らしをサポートしてくれるような人が多かったのかなと。それが賃貸(?)という「事業」になったときから、それが取りのぞかれていったのかと思います。今後改めて見直していきたい、といった思いなんですかね。

内山:仙台のBlank もそうですけど、とがったターゲットを設定すると、仲介する不動産屋さんが「こんなお客さんいないよ」と面倒くさがる。オーナーの思いが強くても、既存の不動産屋さんが伝ってくれない感覚が強いじゃないですか。そういうものを業界が思い込んで阻止して、マーケティング的、LDK的、機能優先的な発想で住宅をつくり続けてきた。でも本来、消費者は大家さんとのちょうどいい距離感やいろんな使い方を誘発する仕組みを求めていたと思うんです。原状回復など不動産業界や大家さんが当たり前だと思っているルールが、誰も何も考えない状況にした大きな要因かなと。でも消費者側が大きく変化してきて、Airbnbに象徴されるように多様な住まい方、働き方が実現できる世の中になってきたので、いよいよ賃貸業界側も「このままではやばいぞ」という感じになっているというのが実際のところなんじゃないかな。

ただ具体的にどうしたらよいか知っている人はまだ少ない。DIY賃貸という言葉があるように賃借人が自由にしていいよ、原状回復なしでいいよといった仕組みがある世の中ですが、それを知っている大家さんや不動産会社は本当にごく一部なので、業界全体が変わっていかなければならないんだろうなあと思っています。そして、そこにクリエイティブな発想をもった大家さんが不動産業者の動きを見て、こういうパートナーがいるんだったらやってみよう、となるといいですね。

松島:このLive配信を視聴してくださっているのは不動産業界の方が多い。だからナイスだと思う(笑)

4.「賃貸」と「宿泊」の潮目探しをみんなで

内山:不動産・建築業界はもっと自由な発想をもつべきだし、規制ギリギリのところを民間企業が突破していって、それにあわせて国がルールをつくってくれるというのがこれからの時代だと思います。賃貸物件をリノベーションするときは用途問題もある。僕らが実例をつくって大丈夫だよ、というところを見せてルールを変えていきたいですね。

大谷:Blankの事例もそうですが、この尼崎の物件はまもなく築50年を迎えるマンションで、全国にも同様の物件はたくさんあります。今回のプロジェクトを老朽化や効率化に悩むアパートやマンションのモデルケースとして社会課題を解決していけたらいいなと思います。

今回の対象物件である、尼崎マンション(兵庫県尼崎市)

松島:#新しい不動産業研究所( https://atarashi-fudousan.jp )みたいな話になってきましたが、森さんから見てこういうふうに取り組むとおもしろいなとか、不動産業に思うことはありますか?

森 :そうですね、みなさん新しい取り組みにはとても注目されているなと思いました。私は賃貸と宿泊の潮目が変わる瞬間に期待しています。たとえばペットOKな賃貸物件やテラスとつながったリビングのある物件が一気に広まった瞬間があったように、賃貸と宿泊の潮目をぜひみんなで探していきたいですね。境目を取り払うことで、より多くの方のニーズが出てくると考えています。

福田:今回のお二人の話はとても勉強になりました。内山さんのお話はいつもおもしろく聞かせてもらっていますが、Airbnb森さんの話は今回初めてうかがいました。あらためておもしろいと思ったのは、Airbnbの世界や新しい価値はユーザー自身がつくっているということ。いいかえると、ユーザーが新しい価値をいくらでもつくりだせるようなプラットフォームをつくられたのがAirbnbであるんですね。潮目もじつはAirbnbを見ていると感じられる。さきほど内山さんが業界は変わっていかなければならないと話されましたが、不動産業界もそうですし、入居者や大家さん、Airbnbを使って貸すことを考えるとAirbnbユーザーや一般消費者などさまざまなステークホルダーと“新しい賃貸”のあり方をつくることから一緒にできると、僕らでは思いつかないようなより価値のあるものが見えてくるのではないかと思いました。

内山:これまでの日本の考え方はグレードの高い、家賃の高い賃貸住宅は外から閉じるほうがよかった。マンション内のコミュニティも価値がありますが、地域とどう接点を持てるかも求められる価値観のひとつ。でもいまは逆で、どう閉じるかから、外にどう開くのか、開き方のコントロールがそれぞれの住宅で求められています。

福田:開いたときの開き具合、ちょうどよい着地点がわからないからこそ、みなさんと一緒に頃合いを見つけるという意味でも、ファンドも通じて広くみなさんと一緒に取り組む価値があると思っています。

松島:いろんなところで頃合いは大事ですね。みなさん、本日はご登壇いただきありがとうございました。視聴者のみなさま、ぜひ今日の感想を#クリエイティブ賃貸とつけて発信してください。そして尼崎マンションの再生プロジェクトにぜひ投資をお願いします。

 

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関連情報

尼崎マンション再生ファンドについて
本ファンドは、大きな賃貸マンションの一部をリノベーションし、クリエイティブな活動をされるみなさん(プロアマ問わず)が住まい、暮らしをつくります。自らがホストなりAirbnbなどを使い民泊を運営することが認められたアトリエ付き住居と制作活動のための自分専用の空間ができるシェアアトリエ。居住者、宿泊者、利用者が集う共同アトリエが誕生します。入居者及び利用者が自由に創作活動をし、住まうこともできる賃貸契約のアトリエです。
「クリエイティブ賃貸」のコンセプトを大家も入居者も民泊利用者も、さらには地域の人もオープンに共有し、建物の価値を高めるプロジェクトです。

ハロー! RENOVATIONについて
ハロー! RENOVATION(ハロリノ)は、想いのある投資によって全国の空き家や遊休不動産のリノベーションを推進する参加型プラットフォームです。双方の関わりが「投資」のみという一般的な不動産投資ファンドと異なり、場の再生過程に関わる機会を多く用意しています。それは、空き家問題という課題の解決に向けてみんなでアイデアを出し合うことが、豊かな地域づくりにつながると考えるからです。

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https://zero.hello-renovation.jp/

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