TOIビル誕生ストーリー。日本橋横山町・馬喰町問屋街で事業を実現する人を応援する「さんかくプログラム」

日本橋問屋街の通りに面した5階建てのビルが昨春、器をテーマにした「コミュニティビル」に生まれ変わりました。事業を展開するのは、さんかくプログラムの最終プレゼンで同ビルの優先交渉権者に選ばれた堀田卓哉さんと、1階部分に入居する河賢男さん。プログラムをふりかえって感じること、エリアの魅力、そしてこれから地域に入り事業を起こそうとしている人に向けたメッセージなどをうかがった昨春公開のインタビュー動画から、収録の裏話やトークで触れたプログラムのイベントの様子を紹介します。

堀田 卓哉 さん
日本全国の工芸産地の商品開発や販路開拓の事業を手掛ける株式会社Culture Generation Japan代表。器のサブスクリプションサービスなどを通して、工芸関連の事業を全国各地の窯元と提携して展開しています。プログラムではビル一棟を活用し、器を軸とした飲食店、物販店、ワークスペース、イベントスペースの構成で全国の器や伝統工芸の産地の方、日本橋問屋街の方、グローバルの方が訪れる拠点づくりを提案しました。

河 賢男 さん
開発を手掛ける大手不動産会社に勤めながら、さんかくプログラムに応募しました。提案事業は、パティシエとパートナーを組んで昼と夜で業態を分けるスイーツ&バルを運営するというもの。季節ごとの料理教室を企画するなどコミュニティづくりの拠点となるサードプレイスを目指し、堀田さんと協働しながら開業を目指しています。

ビル1棟を利活用し、日本橋問屋街のエントランスに

具体的な事業内容

ビル1棟を利活用し、日本橋問屋街のエントランスとなる場所を目指します。4月には堀田さんが代表を務めるカルチャージェネレーションの本社機能が移転。5月までは助走期間として少しずつ営業を始めながらグランドオープンを目指しました(堀田さんの最終プレゼン資料より抜粋)

【応募者インタビュー:堀田卓哉さん&河賢男さん】連携して臨んだ実証実験」のインタビュー風景

インタビューで一番盛り上がったのは、実証実験の機会として「いっぴんいち@日本橋問屋街」に臨んだエピソードです。さんかくプログラムは実施1回目とあって前例がなく、応募者はもちろん運営側も、サポートしてくださった問屋街やメンターの方も、手探りの状態。そんななかプログラム応募者のみなさんは事業計画の実証実験に向けて試行錯誤しながら準備を進めました。

ほかの応募者と連携して臨んだ「いっぴんいち」での実証実験

「やったもんがち!」と笑いながらそのときを振り返る堀田さんと河さん。「実証実験で成果を残そう」と物件見学ツアーや懇親会で知り合ったほかの応募者と連携して企画を練ってチラシをつくり、手分けをして地域に配布してまわったそうです(素晴らしい行動力!)。

「いっぴんいち」は出店者が“逸品”を“一品”持ち寄るマルシェスタイルの人気イベント。各地で実施されてきたこの屋外イベントを日本橋問屋街でも行おうと、企画・主催の合同会社パッチワークス(+PLUSLOBBY日本橋問屋街を運営する唐品氏が所属する)とさんかくプログラムが共同で開催しました。

そのときのチラシがこちら、印刷枚数500枚!

応募者同士の連携は集客ツールづくりに終わらず、当日の運営でも展開されました。河さんを始め、飲食事業として出店した応募者らに堀田さんが器の貸し出しを行い、イートインスペースを利用する来場者に「食」を五感で楽しんでもらえるよう考えたそう。

(2021年10月16日〜24日の9日間、日本橋問屋街を舞台に初めて開催された「いっぴんいち@日本橋問屋街」の実施風景。地域内外から集まった29の出店者でプロの街として知られる問屋街がにぎわいました

堀田さんの最終プレゼン資料より、実証実験のふりかえりページ

器を軸としたコミュニティビルを提案、優先交渉権を獲得!

こうした努力が実を結び、堀田さんはプログラムの最終選考で器を軸としたコミュニティビル事業を提案して優先交渉権を獲得し、その後UR都市機構と賃貸借契約と締結。1フロアの利用でケーキ&バルを提案した河さんが堀田さんと賃貸借契約を結び1階部分を使用することになりました。

12月17日、ビルの所有者であるUR都市機構と事業用建物賃貸借契約を締結

いよいよ2月、ビルのリノベーション工事に着工し、さんかくプログラムをきっかけに、靴工房として地域に親しまれていたビルが、問屋街に初めて出会うきっかけをつくるコミュニティビルに生まれ変わりました。さんかくプログラムはこれからも広く参画者を募っていきます。どうぞ続報にご期待ください!

インタビューのあと……

インタビューのあと、現場を見させていただくために一同URビルへ向かいました。祝日で問屋さんがお休みの日本橋横山町は静けさに包まれ、たまにベビーカーを押す家族連れや地域住人、配送業者が通る程度。堀田さんと河さんは少し角が丸みを帯びた窓が印象的なURビルを見上げ、何やら語り合っている様子です。リノベーション後の様子をお伝えするのが今から待ち遠しいです。

日本橋横山町・馬喰町エリア参画推進プログラムについて

本プログラムは、日本橋横山町・馬喰町エリアの遊休不動産を活用するアイデアのある事業者を募集し、チャレンジを支援するアクセラレーター型の事業推進プログラムです。横山町馬喰町街づくり会社、UR都市機構、エンジョイワークスの三者が協力して遊休不動産を活用して事業を興すことができる人材を育成し、物件を再生して事業を展開することで地域の活性化につなげていきたいと今年度、初めて実施しました。日本橋横山町・馬喰町エリアの活性化および遊休不動産の利活用促進につなげるため、当エリアにおいて新たに事業を始める事業者に対し、事業づくりと事業の持続性、展開性を高めるためのサポートを幅広く行っていきます。
https://sankaku-nihonbashi.com/

プログラム紹介記事はこちら
舞台は日本橋問屋街! 横山町馬喰町まち会社、URとの3社協業「さんかくプログラム2021」始動


エンジョイワークスについて
エンジョイワークスは不動産探しから建築設計、建築後の建物の運営・管理ノウハウの提供まで、まちづくりに関連する事業を展開しています。その活動の柱にあるのが「共創(Co-Creation)」です。企業のミッションに「ライフスタイル(暮らし方、働き方、生き方)について自ら考え、自ら選択することのできる仕掛けを提供し、共創する機会を生み出すことで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します」を掲げ、達成に向けてさまざまな「参加型まちづくり」のツールをワンストップで提供。多様な人々と一緒に、みんなにとって価値あるものをつくり出すため、多様な人々の多様なライフスタイルと事業の実現をサポートしています。現在、自治体や金融機関と連携した事業者育成プログラムも全国で展開中。詳しくはこちらをご覧ください。

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※この記事は、さんかくプログラムの記事「【応募者インタビュー動画:堀田卓哉さん&河賢男さん】連携して臨んだ実証実験」(2022年2月28日公開)を再構成したものです

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