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自治体とともに空き家再生人材を育てる! 「空き家再生プロデューサー育成プログラム」

ハロリノ編集部

自分の好きなまちで、自分の仕事をつくりたいと思っている人。もっと地域の魅力を発信し、移住者を増やして地域を盛り上げたいと思っている自治体。その両者をつなぎ、サポートする「空き家再生プロデューサー育成プログラム」が始まっています。このプログラムを通して地域で活動を広げている三重県南伊勢町の最新状況をお届けします。

空き家再生プロデューサー育成プログラムとは

「空き家再生プロデューサー育成プログラム」は、空き家の再生利活用を継続的に進めていける人材を各地域で見い出し、つながっていきたい、そういった思いで2018年にスタートした取り組みです。もともとは個人を対象に実施してきましたが、2020年からは自治体と共創して行っていくなど、より実践的プログラムに進化しています。

地域おこし協力隊が3年任期であるように、地域で人材を育成していくには、時間が必要です。このプログラムでも、人材育成の土壌づくり、プロジェクトの実施、事業の振り返りと仕組み化までを三つのステップに分けて丁寧に行っていきます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
三重県の自治体と考える「空き家×移住・人材育成プログラム」

「空き家再生プロデューサー育成プログラム」三つのSTEPの例

全国に先駆けて始まった南伊勢町での人材育成

三重県南伊勢町ではすでにプロデューサー候補となる人材が見つかり、2020年からは具体的な空き家利活用事業を通したプロデューサー育成フェーズへと進んでいます。
2021年1月18日、誰でも参加できる形式で、南伊勢町で活動しているプロデューサー二人の最新状況を共有するイベントが開催されました。

地域に仲間をつくりながら仕事を生み出す

イベントはオンラインで開催されました。当日の参加者は全国各地から200名以上!参加者を対象に事前に行ったアンケートでは、参加の目的として「空き家を活用したビジネスや企業に興味がある」と答えた人が22%、「まちづくりを学ぶことに興味がある」も同じく22%と、空き家活用やまちづくりへの関心の高さがうかがえます。

当日の司会を務めるエンジョイワークスの濱口がプログラムの紹介をしたあと、いよいよ南伊勢町と地域のみなさんと育成している西川百栄さんと西岡奈保子さんが登壇!

お二人はもともと、人と人、人と集落、人と仕事、人と住まいをつなぐ「むすび目Co-working」のメンバーとして南伊勢町の移住定住コーディネーターをしていました。
「空き家再生プロデューサー育成プログラム」で実施した二日間のワークショップは、「甘いものがほしくなるほど充実した議論とワーク」だったそうです。

南伊勢町は人口1万2901人の漁業がさかんな町です。空き家は現在1760戸(南伊勢町役場調べ)で10年前の調査からおよそ2倍になっているそう。そんな町で、このプログラムから生まれたプロジェクトが現在進行中です。

西川さんはそんな町の中でも、あえて伊勢市などの市街地から山道を通ってのアクセスが必要な田園エリア「河内」に注目し、「シェア・リング河内」をコンセプトに次の二つの空き家活用を中心とした計画を進めています。

①地元青年團の方が元保育園をリノベーションした「わかくさカフェ」の活用
②大きな古民家を使ったシェアハウス

現在、河内地区の区長さんにもよく相談にのっていただき、当初予定していた物件よりも、よい古民家を教えていただくなど、地元が一丸となって取り組んでいます。

もう1一人のプロデューサー、西岡さんが挑戦しているのは、南伊勢町の役場などにもほど近い元町エリアを活性化するための「うみべのいえプロジェクト」です。元町エリアは、かつては商店街もあり栄えた地区でしたが、現在は人の集まる機会や場がなく、空き店舗や空き家が増えて、地域の活性化が課題となっていました。プロジェクトでは、3方を海に囲まれたエリア全体を一つの「うみべのいえ」と捉え、自由に部屋を行き来するように気軽に人が集い、交流できる場づくりを目指すことにしました。

黄色の丸で囲まれているエリアがプロジェクトの舞台

「車で通りすぎるまちから、歩くのがたのしくなるまちへ」という思いを込めてチームで考えたそうです。

いずれのプロジェクトも最初に行ったことは区長さんと民生委員さんへの挨拶。移住者としては緊張しそうな場面ですが、背中を押してもらえたと話していました。住民の方とのつながりは西川さんと西岡さんのプロジェクトが実現に向けて走り出すきっかけになりました。地元の方を通して地域の特色や空き家情報を知ることができたのです。お二人が活動拠点としていたコワーキングスペース「しごとば油屋Ⅱ」では、打ち合わせをするごとに集まる人が増えていきました。訪れた地域の方が「あの人も仲間に入れたほうがいいよ!」なんて、地元の人を紹介してくれたそうです。

「移住者にとって、一つのことで生計を立てることは難しい。一次産業がさかんなので、地域の方に教わりながらできることが増えてきた。一緒に地域のために何かしたいという仲間が増えてきてうれしい。」と西川さん。

西岡さんの「うみべのいえプロジェクト」では 「もっと町の人と仲良くなるきっかけが必要だ」と考えていたときに、応援してくれている方が使わなくなったキッチンカーを貸してくれることに! これを使って、地域との接点を深める焼き芋屋さんを始めるために動き出しました。
焼き芋屋さんのオープン日には、ワーケーションで南伊勢町に来ていた方々などもたくさん訪れ、大盛況!

焼き芋に引き寄せられて、ふだんはなかなか出会うことのないような人同士の組み合わせも生まれました。
焼き芋屋さんは最初の起点です。元町エリアの空き家は1件賃貸契約済み。こちらを誰もが挑戦できる場を目指してDIYする計画を進めている最中です目標は「大人のキッザニア」。

西川さんは「空き家単体としてではなく、エリアとしてビジョンを描いて、周囲に伝えて取り組むことが大事」と発表されていました。二人はまさにこの言葉を体現するべく地域での活動を広げています。

イベント参加者からの質問コーナーでは、空き家再生プロデューサーの給料についてなど、赤裸々な質問も。これに対し二人からは「空き家再生は副業として取り組んでいる。まずは家賃分の収入が目標だった。まずは稼ぐことよりも、人と人のつながりなどを大事に。空き家活用などのプロデューサー業が生業になるようになったらエリアが盛り上がっておもしろいことができそう。需要はすごくあると思う。空き家を新しくきれいな場にするだけならプロデュースはいらない。仲間を増やしながら再生していく過程にストーリーがある」と、実際に現場で手と足を動かしている経験から回答していました。

また、地域で仕事をつくることについては「空き家の中に眠っている家財道具の片付けなども、仕事になるのではないかと思っている。それを仕事にできる人がプロジェクトを通して生まれたらと願っている」と、心強い言葉も。

南伊勢町で実施したワークショップの様子

南伊勢町での取り組みから考える自治体連携

地域で活躍する人材にとって大切なことは、まずは小さな一歩を踏み出してみることです。西岡さんの事例でも、焼き芋屋さんはあくまでも地域との「むすび目」を生みだすためのひとつの手段であって、注目すべきなのは、焼き芋屋さんを起点にエリア全体へ活動を広げようとしていること。
自治体にとっては、空き家問題解決において地域のプレイヤーの育成が課題となっています。多くの自治体が移住定住促進の施策を行っていますが、自治体だけで十分な支援をするのは難しいのが実情です。南伊勢町では、移住定住コーディネーターの西川さんと西岡さんが、移住者と地域のコミュニティをつなぐ役目を担っていることもポイントです。

西川さんが代表を務める「むすび目Co-working」

すでに南伊勢町では自治体とプロデューサーの二人が連携して、空き家再生や移住をサポートするさまざまな取り組みが活用されている点もおおいに注目すべきでしょう。

<取り組みの例>
・空き家バンク
・お試し移住住宅
・若者チャレンジ応援事業
・インターンシップ制度
・補助金制度の共有

ただし、プロデューサーが自治体との連携で一番助かっているのは、やはり「人とのつながりや信頼」の部分とのことです。制度をつくるだけにとどまらない、より強い連携が求められています。
そんな自治体と地域のプレイヤーの両方をサポートするためにできたのが、今回の空き家再生プロデューサー育成プログラムです。プロデューサー候補となる人材の発掘から育成まで一気通貫でエンジョイワークスが伴走します。

エンジョイワークスは2018年から、個人の方を対象とした「空き家再生プロデューサー育成プログラム」を全国10都市で実施してきました。総参加者数は約600名となり、個人間のネットワークが育っています。こうした経験を活かし、空き家再生に必要な知識を無料で学ぶことができるオンラインツール「ハロリノノート」の提供や、まちづくりに関する横断的な知識やノウハウを実践授業を通して身に付けることができる「地域未来創造大学校・次世代まちづくりスクール」の運営などを行っています。

エンジョイワークスが提供する空き家再生の方法の例

「空き家再生プロデューサー育成プログラム」では、さまざまな角度から空き家再生に取り組んできたエンジョイワークスのノウハウをフル活用して、地域に根付いた人材育成を支援します。すでに南伊勢町以外にも、三重県全体、千葉県いすみ市、大分県別府市などが続々とプログラムに取り組んでいます。プログラムには各自治体の「空き家バンク」と連携する専用ウェブサイトの立ち上げも含まれています。その名も「空き家と仕事」。プロデューサーが仕掛ける空き家再生プロジェクトから、そのまちでの生業、暮らし方が垣間見え、移住促進、関係人口創出へと結びつきます。

現在もエンジョイワークスとプログラムを実施する自治体・地域金融機関を募集中です。
あなたの町でも私たちと一緒に空き家を使って地域に仕事をつくりませんか。ご参加、お待ちしています!
募集について詳しくはこちらをご覧ください。

▼南伊勢町のこれまでの取り組みについてはこちらもぜひご覧ください!
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