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三重県の自治体と考える「空き家×移住・人材育成プログラム」

ハロリノ編集部

空き家再生プロデューサー育成プログラム」では、自治体と連携した取り組みを進めています (※1)。千葉県いすみ市、大分県別府市、三重県南伊勢町(2021年1月5日現在)。そして、もうひとつ。三重県全体とこの人材育成について考えるプログラムを実施中。これが「2020空き家×移住・人材育成プログラム」です。全5回の折返しを迎えたプログラムをレポートします。

 

三重県×空き家バンク推進機構×ENJOYWORKS

全国空き家バンク推進機構ウェブサイトより

三重県県土整備部・三重県地域連携部と進めているこのプログラムは、三重県全体の市町や関係団体のみなさんと、空き家を「不動産としての空き家」ではなく、まちづくりの拠点となる事業をつくり、地域住民と共通体験のできる「コミュニケーションツール」として捉え、これを先導していく「空き家再生プロデューサー」を育成することの重要性を学ぶもの。

三重県は昨年から空き家バンク推進機構(通称ZAB)と「空き家」を軸とした年間プログラムを実施しており、2020年度はその2年目にあたります。ZABは「空き家」の利活用を通じて地方創生・公民連携を図るための組織で、多くの自治体と連携した取組みを進めています。三重県との2年目の研修は、「空き家再生プロデューサー育成プログラム」と三重県・ZABの目指すヴィジョンが一致していることから「三重県×ZAB×EW」のタッグを組み、三重県の市町のみなさんと一緒に人材育成を考えています。

3STEPで学ぶプログラム

3つのSTEP・プログラム研修資料より

地域おこし協力隊が3年任期であるように、地域で人材を育成していくには、時間が必要。地域住民との丁寧なコミュニケーションを積み重ねていく信頼関係から「空き家再生プロデューサー」は誕生します。STEP1となる今年の研修では「どんな人材を育てていくのか」「どんなプログラムを実施するのか」を実践や研修を通じてみなさんと考えています。

STEP2では、空き家再生プロデューサー候補となる人を発掘し、育成し、実践の場をサポート。具体的な空き家利活用事業を創っていくことで、自治体のみなさん、地域住民のみなさん、そしてこの事業に参加する「プロジェクト関係人口」となるみなさんと一緒にプロデューサーを育成していきます。

さらに、STEP3では「プロジェクト関係人口」と地域の関係を可視化する取り組みを行い、人と地域との結びつきを明らかにし、三重県全体の地域の魅力を共有していきます。ここから移住にもつながる仕組みをつくっていきます。

三重県南伊勢町で先行実施

南伊勢町で9月に行われたプログラムの様子

この三重県とのプログラムと並行して、三重県南伊勢町ではSTEP2を2020年から実施中。すでに南伊勢町で活動されている「むすび目Co-working」の西川百栄さん、西岡奈保子さんと一緒に「空き家再生プロデューサー育成プログラム」(※2)を実施し、お二人を南伊勢町を先導していく人材として、南伊勢町、地域のみなさんと育成しています。

この南伊勢町での先行したプログラムの動きを、この研修のなかで三重県の市町にフィードバックしています。全国のさまざまな取り組みを学んだ1年目の学びの上で、最も身近な隣町での実践を三重県市町のみなさんに体感いただくことで、それぞれの市町ではどのような取り組みが、どのような人材が必要かを考えていきます。

蒸し暑い、真夏の津からスタート

ZAB池上さんの研修

1回目のプログラムは、これから本格的な夏を迎えるはずの2020年7月。ですが、訪問した津の町はすでに真夏。とても暑い日にも関わらず、60名程度の方がご参加くださいました。駅前で名物のうなぎもいただきつつ、研修会を開催。4時間にもおよぶ研修は、その文字通り熱気あふれるものでした。
ZAB事務局長の池上明子さんからオンラインでご挨拶をいただき、2020年度のプログラムの主旨を共有。先を見据えた長期的なヴィジョンと、空き家の利活用を通じた地域活性、人材育成、移住への想いを語っていただきました。

エンジョイワークス福田による研修

後半は、エンジョイワークス福田より「参加型まちづくり」とその中心となる「空き家再生プロデューサー」について、エンジョイワークスの活動を通じた実践的な取組みをお話しました。空き家を使った利活用事業に多くの人を巻き込む「参加型」の手法によって、オンライン、オフライン問わず、事業計画をつくる段階から、事業運営フェーズまで、300〜400人の人が参加。ひとつの空き家でこれだけの「プロジェクト関係人口」を生み出しています。

そして最大の特徴は「資金調達も参加型」であること。投資型クラウドファンディングによって、事業に共感してくださっている一般の人たちが事業に投資し、長期間関わっていく仕組みを構築しています。そして、これらの事業をリードしていく存在として、地域に根ざした「空き家再生プロデューサー」が必要であると。「参加型」をコンセプトとした、事業の組み立てから資金調達、事業運営までをサポートできる存在。この人材が各地域に増えることが、自律分散型のまちづくりにつながることを、みなさんと共有しました。

人材育成が先か、空き家の発掘が先か

南伊勢での取り組み中間報告の様子

2回目のプログラムは、コロナウィルスの影響もありオンラインでの開催。ZOOMを使って双方向のコミュニケーションができる方式として、多くの自治体に参加いただきました。このプログラムでは実際に行っている「空き家再生プロデューサー育成プログラム」について、エンジョイワークス松島より共有しました。

2018年、福島県西会津町の地域おこし協力隊の隊員だった荒海さん一人を対象としてスタートしたプログラムは、2019年に600名に参加いただいたプログラムへと発展。全国10都市で多くのプロデューサー候補に参加いただき、すでにいくつものプロジェクト、活動の実践へと結びついています。そして、2020年は自治体のみなさんと一緒にこのプログラムを実施することが重要と考えて活動中。地域に根ざす人材は、地域のみなさんと一緒に実践を通じて育成する。これが3年目を迎えたプログラムのコンセプトです。

また、オンラインでのメリットを活かし、南伊勢町の西川さん、西岡さんから、プログラムの近況を報告いただきました。9月に彼女たちが中心となった二日間のプログラムを実施。どんな人が参加し、どんな学びがあったのか、中間フィードバックいただきました(詳しくはこちらの記事を)。

2回のプログラムを通じて、参加いただいたみなさんの意見として印象的だったのは「空き家利活用したい人はいるが、貸してくれない」「空き家バンクに登録してもらえない」という共通問題。地域の資産としての「空き家」がまだまだ利活用手前での問題から抜け出せていない。いわゆる仏壇問題、知らない人には貸したくない問題、面倒は困る問題。即効性のある解決策が難しい問題だからこそ、これらの空き家で地域とひとを結びつけるプロジェクトを、空き家再生プロデューサーが地域のみなさんを巻き込んで進めていくことで、その効果を示し、徐々に解決へと結びつけていきましょう、そんな想いをともにしたプログラムとなりました。

オンラインからオフラインの場づくりへ

UNKNOWN本池中オープンの様子

3回目のプログラムは、三重県のご出身で、インターネットサービス「はてなブログ」の創業者である近藤淳也さんが登壇。近藤さんは現在、京都の京町家をリノベーションした「UNKNOWN KYOTO」の運営を行っているOND社の代表。UNKNOWN KYOTOは、京都で町家再生に取組む八清、エンジョイワークス、そしてONDの3社で行っているコーリビング施設。女将さん探しのイベントからスタートし、数えられないくらいのイベントを行っている「参加型」のプロジェクト。活動に共感いいただいた別の町家のオーナーが「UNKNOWN本池中」という別館を先にオープンするなど、五條楽園という地域のみなさんと一緒に進めている施設です。近藤さんは、OND社の事務所をUNKNOWN KYOTOに置きつつ、その施設の運営をリアルな場で行っています。

ブログという文化を日本に根づかせた近藤さんがオンラインではなく、オフラインの場づくりに取り組んでいるのは、社名の通り「温度感」のあるコミュニティや事業を行いたいと考えているから。滋賀県を1周できるトレイルランコースを仲間と一緒につくる(!)など、現場でのコミュニケーションで生まれる場づくりを大事にされています。そして、このオフラインでのコミュニティを、再びオンラインでのコミュニケーションにつなげていく。これが近藤さんだからこそできる、新しい空き家再生のカタチではないでしょうか。元々不動産や建築のご出身でもない近藤さんのような方が、空き家再生プロデューサーという職能を全うされる。そんな多様性と幅広い視野が求められ、かつ、地域への愛情が必要な仕事であることを、近藤さんから学んだプログラムになりました。

いよいよ、2021年。みなさんも参加できます

4回目のプログラムが、2021年1月18日に開催されます。南伊勢町で取り組んできた西川さん、西岡さんの活動を共有するイベントです。このプログラムは、全国各地のみなさんにも参加いただける、オンラインプログラム。空き家再生プロデューサー育成プログラムの現場での活動や、今後の展開・課題をみなさんと一緒に考えます。ぜひご参加ください。

空き家再生プロデューサーと変えるまちづくり~三重県南伊勢町からの最新報告~

 

【こちらもご覧ください】

「空き家と仕事」三重県南伊勢町オンラインツアー開催。いつか地方で暮らしたい!

ここから始まる! いすみ版の空き家再生モデル

空き家再生プロデューサー育成プログラム

ZAB 一般社団法人全国空き家バンク推進機構

 

※1/国土交通省による2020(令和2)年度「官民連携まちなか再生推進事業」に採択

※2/国土交通省による2020(令和2)年度「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」に採択

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