「共感で得るものも、インセンティブのひとつ」投資家インタビューvol.17鈴木美衣さん

人気連載のハロリノ投資家さんインタビュー。今回は、2019年に沖縄の粟国しまカフェプロジェクトに参加いただいて以来、成長を見守るようにハロリノに関心を寄せてくれている鈴木美衣さんです。「共感で得るものもインセンティブのひとつ」と、最近も函館のプロジェクトに参加しています。建築ファン、不動産好きという観点でハロリノへの思いを聞かせてくれました。

ハロリノ投資家 プロフィール
鈴木 美衣 さん 東京都在住
職業:メディア関連
出資先:
粟国しまカフェプロジェクト(購入型・募集終了)
函館・歴史的建造物の継承ファンド(募集終了)

――先日は初めてイベントに参加いただきありがとうございました。出資されたプロジェクトだったからでしょうか?

はい、「函館・歴史的建造物の継承ファンド」関連イベントということで、「大人の部室 北海道会」の案内をいただきました。函館プロジェクトのメンバーが参加すると書かれていたので、ハロリノさんのプロジェクト担当者や、私と同じように出資している人が集まる会なのだと思って行きました。

実際は「+PLUS LOBBY 日本橋問屋街」さんとのコラボ企画で、広い意味で北海道にかかわる方が参加される会でした。第一声で「北海道出身なんですか?」と聞かれて、「???(なぜその質問!?)」となりましたが、ハロリノのお二人とお話ができ、函館プロジェクトやそのほかのプロジェクトの内情、エンジョイワークスさんが展開されているハロリノ以外のサービスについて知ることができたので、実りが多かったです。なにより、夕闇の中、おいしいお酒片手におしゃべりできて、とても楽しかったですね(記事最初の写真)。

――そうだったんですね。ほかにどういった投資家さんがいるのか興味はありますか?

私は2019年からハロリノのサイトをウォッチしてきましたが、関係者にお会いしたことはなかったので、「北海道会」の案内をもらったとき、どういう人が私と同じように出資しているのかなと気になり始めました。

私はアートが好きで、その延長線で建築を好きになりました。素敵な建物を訪ねて、外観や内装の美しさ、空間のもたらす感覚を堪能するのが好きですし、図面や模型を見て、「この空間に立ったらどんな感覚がするだろう」と想像するのも楽しいです。一方、不動産物件を見るのも好きで、間取りと立地、金額の兼ね合いをチェックするのが楽しいですね。

そんな趣味嗜好から「建築家とまわる建築散歩」という講座に参加してきました。街中に現存する有名建築やかっこいい建築を建築家の先生と見て回るツアーです。そこには建築好きが集まるので、同じ興味関心を持つ人とおしゃべりできるのもおもしろさのひとつです。

建築家とまわる建築散歩」のイベントの様子(URLは現在募集中のもので、鈴木さんが参加された回と内容は異なります)

ハロリノは建築、金融、地方創生、まちづくり、社会課題解決、地域貢献など、関連するキーワードがたくさんあるので、どういった点に興味を持った人が集まるのか、話が聞けたらおもしろそうだなと思いました。

――函館プロジェクトはどういった良さがあるとお考えでしょうか?

「歴史的価値のある建造物を再生して、地元の人たちのスタートアップの場として有効活用し、新たなコミュニティを創る」というコンセプトが分かりやすく、納得感があるのがよいところだと思います。

伝統的建造物を小商いで未来につなぐプロジェクト「函館・歴史的建造物の継承ファンド」。小商い人の知恵と発想力で、古さも楽しむ事業拠点に

1階に店舗が並び、2階は事務所アトリエが並ぶという図面も、ほどよいスケール感で実現性の高さを感じました。コミュニティとしてうまくいきそうな大きさに思えます。

さらに、函館といえば洋館が多く残る雰囲気のよい街ですし、金森赤レンガ倉庫のすぐ近くということで、建築や店舗が魅力的であれば、多くの人が立ち寄る可能性の高い立地だと思いました。函館は求心力のあるスポットがコンパクトにまとまっているイメージで、地方で人を呼び込むスケールのあり方として、ちょうどよいサイズなのだろうという印象があります。リノベーションが完成したら仕上がりを見に行こうと考えたとき、函館だったら旅先としても楽しそう!というワクワク感もありました。

――追加出資をお考えいただいているとうかがいました。

イベントで実際に話を聞き、「こんな思いで頑張ってるんだ」と知ると、応援したい気持ちが高まりますね。SNSからの情報も応援したい気持ちを盛り上げることに貢献していると思います。先日、函館プロジェクトのFacebookで、「角麻(かくあさ)」という文様の組子細工が織り込まれた建具の写真を見ました。繊細で素敵なデザインで、こういった明治期の設えを残していこうとしていることを知り、いいなぁと感じました。

函館プロジェクトの取り組みは函館新聞と北海道新聞でも紹介されたそうですね。これからもメディアに取り上げられて、広く知ってもらう機会が増えるといいなと思っています。



via www.instagram.com
伝統の組子細工が折り込まれた贅沢な建具。この文様は角麻と呼ばれるもので、麻の葉が正方形の中にあしらわれています。厄除けや魔除けの意味があるそう。住まい手を失った家からも、当時の暮らしぶりを豊かに想像できます。明治期の設えを、次の世代にも

楽しむことで「共感」というファンドになる

――ハロリノを知ったきっかけは何でしたか?

メディアで紹介されていたのをきっかけにサイトを見たところ、福島県楢山集落プロジェクトの記事が興味深くてじっくり読んだことを覚えています。「地元民も秘境という、たった2軒の集落に、暮らすように泊まれる宿をつくる」というランドスケープアーキテクトの方のプランです。ただ、当時のサイトは運営者情報や実績などが分かりにくい印象でした。でも今は改善されていますよね。実績も増えているので見ていてうれしくなります。実績の紹介は信頼感の醸成につながると思います。

記事を読む
地元民も秘境という、たった2軒の集落を宿に。「暮らすように泊まれる」集落で伝えたい未来への学び

――長いこと見てくださっていて、ありがとうございます。励みになります!

気になっていたのは、一口の金額が50,000円だと運営側が大変なのではないかということですね。目標額を達成しようとすると小口の出資が数多く必要で、手間がかかり過ぎるだろうと思っていました。ですがその理由が「多くの人にまちづくりに参加してほしいから」とうかがい納得しました。デジタルネイティブ世代、Z世代は社会課題の解決に意識を向けている人が多いようですし、目的意識が持って行動する傾向にあるようなので、そういった若い世代の人たちも参加しやすい金額設定になっているのは理にかなっているのだと思います。

2019年に「沖縄の知られざる離島でつくる、みんなのしまカフェ」プロジェクト(購入型)に参加したときにも、粟国島のおばあたちが作ったもちきびかりんとう3袋が届いたり、お礼のハガキが届いたりして、とてもうれしかった一方、かりんとうとハガキ、なにより送料を考えたら、出資した額のいくらもプロジェクトリーダーの手元に残らないのでは……と心配になりました。私としては、ちょっといいことしたな、役に立てたなと気分が良く、かりんとうをかじりながら島に思いを馳せて、楽しい時間を持てました。

しまカフェの記事はこちら

――リスクに対してはどのように受け取られていますか?

信託スキームによる不動産開発を、小規模の物件に当てはめることで、個人が参加できるESG投資に組成しているのがハロリノのよいところだと思います。地方創生、関係人口の創出、地域社会への貢献、持続可能なまちづくりなど、目標としていることに共感することが出資する側にとってのインセンティブになっているので、投資対効果として想定利回りはチェックするものの、金銭的なフィードバックの多寡よりは、素敵な建築ができていくワクワクを共有することが満足感につながり、リスクを許容する気持ちにもなるのではないでしょうか。

社会課題解決に挑戦する人たちを応援したい

――社会課題の解決に対するハロリノへの期待は大きいでしょうか? またハロリノと近いと感じるサービスや関心のあるサービスがあったら教えてください。

最近おもしろいと思うのは「Kuradashi」です。フードロス削減に貢献するサービスで、食品メーカーにも買い手にもメリットがあるソーシャルグッドな仕組みに感心しました。旅をしながらお手伝いするというコンセプトの「おてつたび」は人手不足解消や関係人口の創出を目的にしており、お手伝いする側は地域に入り込むことで旅行だけでは知り得ない魅力に触れられる、よいアイデアだと思います。定額住み放題の「ADDress」は空き家問題や地域交流に貢献しつつ、多拠点居住という新しいライフスタイルを提案していて、ハロリノとコラボできるのではと期待しています。どのサービスも、今までなかった目の付けどころで社会課題の解決に貢献しており、新しい価値観を提供しているところがすごいですね。

――鈴木さんは日ごろどのように情報収集をされていますか? ハロリノではFacebookやInstagram、LINE、メルマガなどで情報をお伝えしているのですが、どれが届きやすいなどあったら教えてください。

ツールはメルマガでもLINEでも、情報はあればあるほど良いと個人的には思います。ハロリノさんに対しては、より多くの人にリーチするような発信を頑張ってねと応援したいですね。ソーシャルグッドなアイデアを紹介するウェブメディアや、地方創生やESGなどをテーマにしたメディアにも露出が増えるといいなと思います。

法隆寺が境内の整備費が捻出できないということでクラウドファンディングで資金を募ったところ、目標額の2,000万円を1日で達成し、ニュースになりましたね。投げ銭感覚で応援する人たちがたくさんいるということがわかります。ハロリノのサービスもより多くの人に知ってもらい、共感してもらうことで、オーナーの夢を実現し、持続可能で豊かなまちづくりにつながればと思います。

――はい!たくさんの人にハロリノを知っていただけるよう、これからも取り組んでまいります。今日は本当にありがとうございました!

写真上が鈴木美衣さん

ハロリノについて
空き家再生プラットフォーム「ハロー! RENOVATION」は、資金調達という空き家問題の根本課題にひとつの解決策を示し、みんなで空き家再生を加速させる仕組みづくりに取り組んでいます。想いを持って投資いただいたみなさんにファンドの運営状況を定期的に共有し、投資家コミュニティで交流できる機会を設けています。事業アイデアや応援の声をシェアすることで、より良い事業運営や場づくり、さらにはまちの活性化やまちづくりにつながると考えるからです。「共感投資」という形で想いを託したプロジェクトをぜひみんなで育てていきませんか。

これまでの投資家インタビューもご覧ください
https://hello-renovation.jp/hashtag/result/89

ハロリノ・ファンド一覧
https://hello-renovation.jp/projects

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